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第十七章 異界のバカンス旅行
561.告げねば(セヴィル視点)
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婚姻。
考えていないわけではない。
むしろ、カティアの身体が成人体となった今ではまた……俺の中では最重要事項となっていた。
(……申し込むとしたら、俺からがいいだろう)
エディオスやユティリウスにくどいほど、言い聞かせられてきたからな。想う相手が御名手であれば尚更……己の手で幸せにする事を誓うのだと。
俺にとって、唯一無二だったカティア……カナタが転生してまでこちらの世界に来てくれたのだ。想いも交わしたし、次は……俺からまた一歩進まなくてはいけない。
愛する存在として、俺が手を差し伸べる番だ。
とはいえ、この場で誓いをする度胸はさすがにない。エディオス達が茶化す以上にからかうだろうから……今日か明日、あの洞窟へ連れて行こうか。カティアの身体が成人体となったあの場所へ。
俺が愛おしいと口付けてしまった、あの美しい場所で。雰囲気とやらも悪くない。であれば、カティアに伝えようと決めたのだが……フィルザス神の祝会である今、次々と料理を作っているのでなかなか声をかけづらい。
だが、それもいつか落ち着くというもの。
ゆっくり歓談する頃合いを見計らい、俺はカティアに近づいた。
『……カティア、あとで話がある』
小声で声をかければ、軽く肩を跳ねる姿も愛らしかった。
『……あとで、ですか?』
『ああ。あそこの洞窟へ行こう』
『……? はい……?』
鈍感とも違うが、彼女は意味があまりわかっていないのだろうな。そんなところも愛らしいが、今はわからないでいい。
告げた時の愛らしい顔を想像するのも、俺としては楽しみであるからだ。
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