【完結】ピッツァに嘘はない! 改訂版

櫛田こころ

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第十六章 異界のバカンスのために

477.駄々っ子大変

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 ◆◇◆










 いやあ、大変でした。


「あうあう!! あううう!!」


 僕には、赤ちゃん言葉にしか聞こえないディシャスの言葉だけど。

 どうやら……この個室厨房で大人しく待っていることが出来ない、とフィーさん翻訳でわかったのです。


「……ここで待っててよ、ディシャス?」
「あーうー!」
「……嫌なの?」
「あう!」


 強く言うので、フィーさんがまたぐりぐり攻撃をしようとしたのだけれど。


「ああああああああああああああ!!!!!」



 って、部屋中に響き渡るくらいの爆音でギャン泣きしちゃった!!?

 すぐに僕が抱っこしたら泣き止んでくれたけど……これはもうどうしようもない。

 イシャールさんも、フィーさんもぐったりしてしまい……厨房に戻ったわけなんだけど。


「……あらあら」


 ファルミアには、事情を小声で伝えたら苦笑いされちゃったけど。


「……と言うわけで、この子もちょっとだけここで預かることに」
「……そうなの? けど、綺麗な子ね?」


 シャルロッタさんには、ディシャスだとは言えないけど……とりあえず、エディオスさんからつけられている『ディー』の方で呼ぶことにした。


「あ?」
「ディー? いい子にしないとご飯食べれないよ?」
「う!」


 クラウじゃないけど……まだディシャスにはピッツァも他の料理も食べさせたことがない。

 いい子にすると約束してくれたからか、端っこの小さい椅子でちょこんと座っています。料理人さん達が入れ替わりで頭を撫でても嫌がったりしない。……食欲恐るべし。


(さあて)



 なんでも食べるだろうが……赤ちゃんちょっと上くらいの体だから、胃袋の許容量が違うだろう。

 ファルミアと協力して……クアトロタイプのピッツァに仕上げ。

 出来上がってからは……今度は休憩室に、僕とフィーさんとクラウと、ディシャスを連れて移動したのです。


「お待たせ、ディー」
「うぅ!!」


 出来上がったピッツァがテーブルに乗っているのを見ると。

 いい匂いがするから……お腹がぐーぐーなっていた。

 ただし、素手で食べるのは難しいだろうから……僕が切り分けて、お口あーんとさせました。
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