【完結】ピッツァに嘘はない! 改訂版

櫛田こころ

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第十五章 異界の夏に向けて

456.約束のピッツァ-②

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 まずは、ミックスピッツァからだったけど……ガツガツと食べてくださる様子が、見ていてとっても嬉しい感じだ。

 よく噛んでいるようには見えるが、一ピースがすぐに消えて行ってしまう。

 大きめの六ピースにカットしたけど……あっという間だった。

 次はビスマルクだったから、注意点を言うことにした。


「中央が半熟卵なので、巻きつけるようにして召し上がってください」
『ほー? あんま見たことねぇな?』
「一応、イタリアのピッツァです。是非」


 食べ方を伝えると……レイアークさんは、またがぶりと口に入れてくださった。口の端に黄身がついたけど、顔はとても輝いたものになったよ!


『うんめ!? つか、チーズと半熟卵が合わねぇわけないもんな!!』


 こちらも気に入ってくださったようで……まるまる一枚が消えるように召し上がってくださったよ。

 それ以降のお皿は……食べずに、お皿だけを取り込むのでした。


「もういいのー? 兄様?」


 復活なされたフィーさんは、魔術で濡れた服を瞬間乾燥機みたく乾かしたのでした。


『ああ。あとでゆっくり食うわ。……兄者から聞いてはいたが、マジででっかくなったな? カティア』
「……はい。全部ではないですが、記憶も戻りました。クロノさん達のお陰です」


 トリップじゃなくて、転生。

 それを言えなかった……レイアークさん達を責める気持ちも特にない。

 セヴィルさんと再会出来て……ちゃんと気持ちを確かめ合って、こ、恋人以上にちゃんと婚約者さんになれたんだから。

 向こうの家族を心配しないのは嘘じゃないけど……あの記憶通りだと、両親や兄さん達は相当悲しんだだろうなあ?

 ツッコミ親友も……きっと。


『ん。じゃ、俺からひとつ。お前のあちらでの葬式は……密葬だったが、まあ大人数集まったらしい。慕われてたってことだな』
「……もったいないことです」


 悲しんでくれる事を……嬉しく思っちゃいけないけど。

 でも、少しでも僕を慕ってくれた気持ちは……嬉しいな。


『あともうひとつあるが』
「はい?」
『お前の親友……なんでか、こっちに転生してんぞ』
「……へ?」


 ツッコミ親友も?

 なんで? なんで?

 あの子は別に……僕のように殺されていないんじゃ?

 疑問に思っていると、レイアークさんは首を縦に振った。


『時間軸はズレているが……カティアよりだいぶ先だったな。異世界と地球とじゃ……時間の軸はかなりズレてんだ』
「ど……どこにいるかわかりますか!?」
『あー? たしか……フィー。お前もよく知ってんぞ?』
「……ミーア?」
「ファルミアさん!?」


 全然性格も顔も違うけど……異常に料理がお上手だ!!

 にしては……僕の顔見ても全然ピンときていなかったし。持っている記憶も違うような?

 フィーさんと顔を合わせてみても、お互い首を傾げるだけだ。


『……兄者あたりが、記憶戻しているだろうな?』
「……クロノ兄様ならやりそう」
「え……えぇ?」


 あの美女が……僕のツッコミ親友??

 記憶……戻っちゃったら、どうなるんだろう??
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