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第十三章 神王の御名手
401.心配したんだから
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もう、本当にびっくりしたんだから!!
クラウとビービー泣きながら、起き上がったフィーさんには『ごめんね、ありがとう』とは言われたんだけど。
僕とクラウは、しばらく子供のように涙と鼻水が止まらなかった。
「はいはい。それ以上泣かないのー」
「……ずびっ」
「ふゅぅ……」
泣き終わった頃には、顔のあちこちがヒリヒリしていた。ちょっとかきそうになったところをセヴィルさんが魔術で治して下さったけれど。
「とりあえず……心配かけてごめんね? もう大丈夫だから」
「……ほんとかー?」
フィーさんがベッドから出ても、まだエディオスさんとかは疑いの目を向けていた。それはまあ、仕方がないもの。
「ほんとほんと。兄様達から力分けてもらったし」
「お前の兄貴って……蒼のとかか?」
「そう。他にも」
と言うことは、フィーさんが寝ている間にレイアークさんとかが助けてくださったのかな? なら、心配は無用と言うことだろうか。
「ほっほ。であれば心配は無用。さて、儂は離宮に戻るわい」
レストラーゼさんは、自分はもういなくても大丈夫だろうと帰って行かれた。フィーさんには何度も『どんちゃん騒ぎはするな』って釘を刺されていたけど。
「僕のことはほんとごめんね? けど、明日から忙しいよー!」
「「「「だな」」」」
「「ええ」」
「だねー」
「……は、い」
これは、部外者(?)だった僕でもなんとなくわかるよ?
セリカさんとエディオスさんが、御名手となり……つまりは、婚約されたのだから。国内外がどんちゃん騒ぎになっちゃうんだ!!
「あ。僕明日から、カイツさんの授業だけでいいですか?」
セリカさんがお忙しくなるから、授業はしばらくお休み……もしくはなくなるかもしれないもの?
「そだね? 代わりに、授業は僕が受け持つよ。セリカ、だいたいどの辺まで教えた?」
「え……っと。黑の成り立ちのところに入る手前です」
「じゃ、ちょうどよかったね? そこからは僕が教えるよ」
「はい」
授業に関しては、これでいいとして。
僕の体がおっきくなったのは、クラウ同様にしばらくは記憶操作。
明日からは、お城の中はどんちゃん騒ぎだろうし……色々決まって解決も出来たけど、大変だなあ……と思っていたら。
セヴィルさんに、移動出来ないかと手を引かれて……隣にある僕の部屋に場所を変えた。
「セヴィルさん?」
扉を閉めても、セヴィルさんは顔を真っ赤にしてるだけで……どうしたのかと思っていると。
「……カティア!」
と、叫んだかと思えば、いきなり抱きしめられた!?
クラウがいたから、またサンドイッチになったんですぐに離れたけど。
「ど、どどど、どうされました??」
「ふゅぅ……」
「…………すまない」
けど、鈍い鈍い僕でもわかったことがひとつ。
きっと……僕が大きくなったことで、いろんな嬉しさで心がいっぱいになったかも。
幼女卒業はしたけど……まだ中学生手前だからね?
出歩くのに、兄弟設定ぽいところはあるけど……一歩、婚約者として隣に立てるのに進めたかな?
とりあえずは、クラウを頭に乗せてから……僕も一度ハグをするのだった。
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