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第十三章 神王の御名手
388.大きなピッツァを作ろう-②
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大きな~。
大きなピッツァを作ろう~~。
作りましょう~~!
るんたった!
僕はとっても上機嫌だ。
なんと言っても、進展があるようでなかったエディオスさんとセリカさんが……直接は見てないけど……恋人すっ飛ばして、婚約されたんだもん!!
これは、気合を入れてお祝いのピッツァを作らなくてはいけない。
その規模がいつもと違って当然。
「カティ~? 最後よー」
「はーい!」
手伝っていただいているファルミアさんに呼ばれると、たしかに長机の上に載せられる箇所がもう最後だった。
「ちょうど焼き上がったよー」
フィーさんがその箇所のピッツァを持ってきてくださり……ゆっくりと布を引いたその部分に置くと、やっと完成したのでした!!
「壮観ね……」
「すげぇなあ?」
「改めて見ると凄いよ!」
「ふゅふゅぅ!!」
机の上にお皿じゃなくて、ほぼ直接色んなピッツァが一枚に見えるように載っているんだもの。圧巻されるのも無理はない。
それと、匂いがすんごい。
色んなソースとチーズの匂いが部屋に充満しているけど、ちっとも嫌じゃないんだ。
「エディ、まだかなあ?」
「落ち着きなさい、リース? ふたりの語らいを邪魔しては良くなくてよ?」
「そうだけどぉ。こんな美味しそうなのが目の前にあるのに拷問だよ!」
「けど、出来れば早い事がいいよな? 識札飛ばすか?」
「んー? 僕が行ってこようか?」
まだちょっとよろよろしているフィーさんが挙手したけど、皆さんはフィーさんならと頷いた。
フィーさんはそんな反応に苦笑いしてから、指パッチンでお得意の瞬間移動をされた。ピッツァが出来上がったし、片付けはマリウスさん達がやっていただけるので……ピッツァにはファルミアさんがユティリウスさんのつまみ食い防止のために、保温と障壁の結界を張って下さったよ。
「う~~……」
「我慢よ、リース?」
「目の毒だよぉ」
「我慢しろ。俺だって食いてぇ」
「あら? 将軍閣下でもダメよ?」
「わかってる」
などとやり取りしているのをのほほんと聞いていたら……何かをガリガリするような音が聞こえてきたので、一斉に振り返ると。
「クラウ!?」
結界の上に器用に乗って、もう今はないあの神力パワーたっぷりの結晶をかじるように、ガジガジとかじりついていたのだ。
慌てて、位置的に届かない僕ではなく、サイノスさんがクラウを掴んで引き剥がしてくれた。
「ふゅぅ?」
「ったく、デカくなっても食い意地はそのままだな?」
「ふーゅぅ!」
サイノスさんの腕の中でもジタバタするので、彼が軽く小突いてから僕も『めっ!』と注意した。
「皆さんで一緒に食べるんだよ? がーまーん!」
「……ふゅぅ」
たしかに、良い匂いが充満しているので食いしん坊のクラウが我慢出来ないのは無理はないけど。
皆さんと一緒に美味しいものを食べたいのは本当だもん。
そして、少し経った後。
セヴィルさんとアナさんが食堂に来た頃に、フィーさんも瞬間移動でエディオスさんとセリカさんを連れてきたので、パーティー開始かと思いきや。
「……セリカさん?」
お顔が真っ赤っか、体はカチコチ。
そんな言葉が正解と言えるくらい……セリカさんは硬直しきっていたのでした。
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