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第十二章 異界の年明け
370.常に消極的(シェイリティーヌ視点)
しおりを挟む☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(シェイリティーヌ視点)
(…………ほんま、うちはあかんなあ)
なんで、カティアちゃんにまで愚痴っちゃうんやろ?
けど、あの子八十歳くらいやのに……めちゃくちゃ大人なねんな?
オトンがずっと護衛しとった、リチェルカーレ家のご令嬢くらいな感じ。料理もめっさ上手いし、受け答えもハキハキしとる。
せやから……つい、頼ってしまうんやんなあ?
護衛対象に何しとんのとか、オトンには言われそうやけど……せやけど。
「なんで、シャルの方が先に御名手決まるんやねん!!?」
そのリチェルカーレ家のご子息。
中層食堂の料理長、イシャール様。シャルの上司やって言うのはよーく、知っとる。ちょぉ、怖い顔つきやけど……まあ、女受けしやすい感じや。うちは……副将軍にぞっこんやけど。
てか、シャルから聞いたけど……カティアちゃんの目の前で御名手の儀式があったらしいわ。まさか……あの子の近くやと、なんか起きるのが鉄板か?
あの魔法省のあほんだらに誘拐されかけたのもやけど……。まあ、あいつはあいつで充分反省して今じゃカティアちゃんの家庭教師や。そこはええねん。
「……カティアちゃんは今、どしとんのやろ?」
カティアちゃんの護衛は、オトンからの指示でずっとやない。
宮城内に居るうちは……うちは近衛騎士の仕事もあるんでそっち優先。半分半分、オトンと交代して務めてる感じや。せやから……今うちは、宮城内で見回りついでにうろちょろしとる。
そろそろ……腹減ってきたんで、食堂に行くかと思ったら。
後ろから、いきなり誰かに肩をつかまれた!?
「だ……誰!? って…………」
まさか襲撃かと半分思ったら、そうやなかった。
今、うちの頭を占めてた……副将軍やったんや。しかも、ものっそい怖い表情で!?
うち、また何かしでかしたん!!?
「…………はぁ……はぁ……み、見つけ」
「……副将軍?」
なんかいつもとちゃう?
うちを叱るために探してた割には……怒ってるとかが全然感じ取れへんのや。
「……………………シェイリティーヌ」
息が整うと、副将軍が…………今度はうちの手を掴んだ!?
「な、なんですか!?」
「…………話がある」
「へ?」
やっぱり、うちなんか知らん間に副将軍を怒らすことしたん!?
わざわざ探しに来ることは……今までなかった。
てことは……それだけ怒っているんや!?
とにかく、手を掴まれたまま……うちは副将軍に執務室ではなく、中庭に連れて行かれたんや。
何でやろ?
東屋に着くと……副将軍は背を向けてたのを、うちの方に向いてくれた。
その表情は……眼鏡あるけど、怒っていると言うよりは…………なんや、めっちゃ照れとってん。
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