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番外編②
第84話『似たものピザトースト』②
しおりを挟む『ピザトーストか? 面白いな』
水鏡越しだけど、レイアーク兄様が呼びかけに応えてくださり……今は現実に帰ったアルベルトと作ったピザトーストを振る舞うことにした。
今回のも、アルベルトが顔を作りたいとイツキとアーネストを模したものとなったわ。
『兄様のおかげで、導きが叶ったわ。その子どもとここで作ったけど』
『子どもには作りやすい料理だからな。フィーんとこに導いた子どもは、本格的なのを作れるが』
『……あら? こちらの子も作れるけれど』
『俺はそいつをよく知らんが、料理人か?』
『おーえる? と言ってたけど。知識は桁外れだったわ』
『会社員でも、趣味以上に知識を持つのは珍しくない』
『そうなの?』
兄様は透けた幽体でしかなくとも、食べることは出来るので……手に取って一口食べてくれた。サクサクする音が心地よい。
『うん。定番の味付けだな? カティアならもう少し色々工夫しそうだが』
『そちらの子はカティアというのね?』
『フィーが一等気に入っている。あいつを成長させたくらいだしな』
『……フィーが成長?』
『見た目は、クロノの兄者そっくりだ』
『えぇえ?』
もともと、末弟は長兄に近い位置の兄様に似ているとは思っていたけど……そんなにもそっくりに?
美麗男性が二人も誕生って……目の保養だけど、フィーは嫌がりそうね。あの子、なんでか兄様苦手だから。
『……しかし。うまくいっているようで何よりだ。俺の世界の埋もれそうな人材を導くのも、他の世界の神の仕事だからな』
『そうね。次は別の子もいるけど』
リュシアーノに転生させた若菜。
あの子の魂を、何故この世界に導いたのか。
本人への記憶をすべて思い出させていないのは、負担が大きいだろうと初回は思っていたからだけど。
今なら……いいわよね?
肉体もだけど、精神との馴染みもいい感じ。
このピザトーストのように、具材やソースとの調和が整ってきた頃合い。
だから、次のステップアップをしてもいい頃よ。
『ラディアーノ。……ライラ。俺たちの次のステップのためにも、こちら世界を頼んだぞ?』
『……ええ。レイアーク兄様』
正式名もだけど、愛称も誰かに呼ばれるのは久しぶりだから。
とても嬉しくなって、幽体に抱きついた。すり抜けはしないが体温などは感じない。
兄様は私の頭を撫でてくださってから、帰って行かれた。
『……またな』
次に会えるのはいつだろうか。
すぐか、とても先か。
神の時間軸じゃよくはわからないけど……空になったピザトーストの皿を見て、次はもっと美味しいものをイツキを通じて教えてもらわなきゃと意気込んだ。
務めももちろん忘れないわ。
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