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番外編②

第82話 神の方も挑戦②

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『お野菜いっぱい!』

『ピザの要は具材とソースらしいもの』


 私は神だけど、イツキがいた世界の神ではないからそちらほど詳しくはない。けど、全く知らない訳ではないわ。

 アルベルトがゆっくりゆっくり、材料を切っている間に私はソースの材料を混ぜていく。

 トマトから作のは難しいので、すでにある調味料で作るなんちゃってだ。そこにアルベルトが切った玉ねぎを加えて。

 あとは、二人で細切りや刻んだ材料を器に分けて。

 パンにソースを塗ったら、具材を適度に乗せていく。


『お姉さん。これ好きに並べていいの?』

『いいわよ? 何か考えがあって?』

『顔にするの!』

『……ああ』


 イツキの血などを受け継いだから、異世界の知識も少し流れているのだろう。あちらでは料理の盛り付けを面白くする方法があるとされていた。

 なら、アルベルトがその知識を少しでも引き継いでいてもおかしくない。


『ダメ?』

『いいわよ。けど、食べる時大丈夫?』

『大丈夫ー』


 しっかり言ったから、好きにさせることにしたけど。

 せっかくだから、私もやってみようかしらと材料を手に取り。

 二人でそれぞれ、チーズを乗せる前状態にまで行き着けば。


『……あら』

『僕、お姉さんの顔!』

『私もあなたの顔を作ってしまったわ』


 偶然とはいえ面白いわね?

 チーズで顔は隠れてしまうけど、たっぷり乗せてから窯ではなく異世界の機械、オーブントースターでじっくりしっかり焼いたら。

 空間の中に、暴力的なまでにいい匂いが漂ったわ。


『すっごーい! いい匂い~!!』

『さて……』


 私のはともかく、アルベルトの方のピザトーストに変化があるか鑑定してみれば。

 母親のイツキほどではないけど、弱いながらも薬効のある料理となっていたわ。

 意識体でこのレベル。

 であれば、身体と魂が育っていけば……イツキ以上の存在になるかもしれない。

 料理と錬金術は紙一重。

 どちらも切って切り離せない事象。

 だからこそ、私は動くの。

 管理している世界の安寧のためにも。

 存在する多くの子どもたちが死を迎えないように、させない。

 フルコースがきっかけで……世界に広まった、悪循環。

 それを止められなかった罪は、神である私にもあって当然。

 だから、異世界での兆しを見つけてイツキをこちらに転移させたの。

 ここまで偉業を成し遂げるとは、予想以上だったけれど。

『お姉さんー、食べていーい?』

『……そうね。食べましょう』


 とりあえず、今はこの時間を楽しむことにしたわ。

 だって、チーズとソースもいい匂い過ぎるもの!!
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