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番外編②
第61話 私の人生は
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イツキとワルシュ先輩が、新しく作ったという果物を使ったサラダ。
見た目は可愛らしいのに、粒のマスタードを使っているからピリッとした刺激がとてもアクセントになっていて。
私は飲まなかったが、陛下は白い葡萄酒といっしょに食べすすめていた。
「美味い。果物をあえてこのように味付けするのが」
「薬効もとびっきりだ。いいもんだろ?」
「ああ。これは食堂にも加えた方がいいな。臣下らにも気にいるだろう」
「そう言うと思った」
本当に……このお二人はとても気が合っていらっしゃる。時々妬けるくらいだけれど、この関係がなければ私も陛下と婚約することがなかった。
ワルシュ先輩とサーシャ先輩がいなければ……私は陛下とお近づきになることが出来なかった。
二十年くらい前だけど……今でも鮮明に思い出せる。
貴族だけど、気弱な性格だった私は同級の淑女たちから見ればからかいの対象にしやすい存在だった。
おまけに、見目も良くて妬みの方も強く……私はいつもひとりだった。
だから、授業以外は逃げるように裏庭で篭るように静かに本を読むのを習慣にしていたのだけど。
ある日、出会いが訪れた。
『ん? 見ない顔だな』
茂みをかき分けてやって来られたのは、王太子だったマーリュカルド様。姿絵だけでなく、集会の挨拶で壇上にあがられることがあるから、存じてはいた。
だけど、こんなにも間近でお顔を拝覧する機会などあり得ないと思ったので、びっくりして口を開けてしまった。
『そなたはどこの姫だ?』
『ろ……ロクシアン……です』
『! キルビアの娘か!』
『ち……父を、ご存知で?』
『ああ。我が父上の腹心だからな』
すると、陛下は何故か私の横に腰掛けられ、にこりと笑ってくださった。
『あの……?』
『ワルシュとサーシャと鬼追いをしてるんだ。足腰を鍛えるためとはいえ、少々疲れていた。そなたとの出会えたんだ、いくらか話さないか?』
『そんな! 私のようなものが』
『訳ありでこのような場所にいるのだろう? その理由も知りたい』
『お、畏れ多いです……』
『俺が知りたいと思ったんだ。命令のつもりはないが、聞かせてくれないか?』
同級生には妬まれ、殿方は変に言い寄ってくる方しかいなかったから……そのように優しく問いかけてくださる方がはじめてで。
不躾だとは思ったが、あの時から既に陛下をお慕いしていたのよね?
それから、ワルシュ先輩とサーシャ先輩にも紹介していただけて……どちらも私を貶むことなく『普通』の人間として受け入れてくださった。
陛下方が学園を卒業される時に、陛下から妃にしたいと望まれた時は気を失いそうだったが……きちんと受け入れ、私は自分が卒業してから王妃となった。
気苦労は色々あったけど、今の家族だけでなく友も出来たのだから……この人生は、良かったと素直に思っているの。
今の陛下の隣に居てよかったと、本当に心から嬉しい。
間に、ワルシュ先輩たちだけでなく、イツキもいるおかげ。
このサラダも美味しいけど……もう少し、別のも食べたい。イツキの提案だと言うのなら、聞きに行こうかしら?
見た目は可愛らしいのに、粒のマスタードを使っているからピリッとした刺激がとてもアクセントになっていて。
私は飲まなかったが、陛下は白い葡萄酒といっしょに食べすすめていた。
「美味い。果物をあえてこのように味付けするのが」
「薬効もとびっきりだ。いいもんだろ?」
「ああ。これは食堂にも加えた方がいいな。臣下らにも気にいるだろう」
「そう言うと思った」
本当に……このお二人はとても気が合っていらっしゃる。時々妬けるくらいだけれど、この関係がなければ私も陛下と婚約することがなかった。
ワルシュ先輩とサーシャ先輩がいなければ……私は陛下とお近づきになることが出来なかった。
二十年くらい前だけど……今でも鮮明に思い出せる。
貴族だけど、気弱な性格だった私は同級の淑女たちから見ればからかいの対象にしやすい存在だった。
おまけに、見目も良くて妬みの方も強く……私はいつもひとりだった。
だから、授業以外は逃げるように裏庭で篭るように静かに本を読むのを習慣にしていたのだけど。
ある日、出会いが訪れた。
『ん? 見ない顔だな』
茂みをかき分けてやって来られたのは、王太子だったマーリュカルド様。姿絵だけでなく、集会の挨拶で壇上にあがられることがあるから、存じてはいた。
だけど、こんなにも間近でお顔を拝覧する機会などあり得ないと思ったので、びっくりして口を開けてしまった。
『そなたはどこの姫だ?』
『ろ……ロクシアン……です』
『! キルビアの娘か!』
『ち……父を、ご存知で?』
『ああ。我が父上の腹心だからな』
すると、陛下は何故か私の横に腰掛けられ、にこりと笑ってくださった。
『あの……?』
『ワルシュとサーシャと鬼追いをしてるんだ。足腰を鍛えるためとはいえ、少々疲れていた。そなたとの出会えたんだ、いくらか話さないか?』
『そんな! 私のようなものが』
『訳ありでこのような場所にいるのだろう? その理由も知りたい』
『お、畏れ多いです……』
『俺が知りたいと思ったんだ。命令のつもりはないが、聞かせてくれないか?』
同級生には妬まれ、殿方は変に言い寄ってくる方しかいなかったから……そのように優しく問いかけてくださる方がはじめてで。
不躾だとは思ったが、あの時から既に陛下をお慕いしていたのよね?
それから、ワルシュ先輩とサーシャ先輩にも紹介していただけて……どちらも私を貶むことなく『普通』の人間として受け入れてくださった。
陛下方が学園を卒業される時に、陛下から妃にしたいと望まれた時は気を失いそうだったが……きちんと受け入れ、私は自分が卒業してから王妃となった。
気苦労は色々あったけど、今の家族だけでなく友も出来たのだから……この人生は、良かったと素直に思っているの。
今の陛下の隣に居てよかったと、本当に心から嬉しい。
間に、ワルシュ先輩たちだけでなく、イツキもいるおかげ。
このサラダも美味しいけど……もう少し、別のも食べたい。イツキの提案だと言うのなら、聞きに行こうかしら?
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