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番外編②

第55話 女としての幸せ

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 熱いうちはふわふわらしいから、冷めるまで待つ間にイツキが紅茶を淹れてくれたわ。

 ダージリンとかアッサムとかの銘柄がない異世界のお茶だけど、渋みがあんまりなくて美味しいのが特徴。

 イツキは王族じゃないけれど、王族と交流が深いために最高級の茶葉はこの屋敷に置いてある。私が来ることもだけど、お母様とはいわゆる『ママ友』でもあるからお母様が持ち込むことも多いそう。

 さらに、イツキはイージアスを含める世界の救世主的存在でもあるから、普通の貴族以上に贅沢出来るのよね? けど、豪華絢爛は求めていないから食材の質以外は普通らしい。

 私と違って、異世界転移してきたイツキのもともとの性格がおとなしめであることが大きいでしょうけど……丁寧口調と気品の良さから貴族でも十分通じるもの。夫人になってからはもっと様になっている気がするのよね?


「アルベルト~? いないないーば!」


 そして、赤ん坊のアルベルトは今日も可愛い。

 今の弟のジェラルドももちろん可愛いけど、他所の子も可愛いのは当然だわ。あやしてあげれば、『だあだあ』と返事してくれるからぷくぷくほっぺをツンツンと触った。

 この赤ちゃん特有のベビースキンはやっぱり羨ましいわ……。期間限定でも、私の肌に宿ってほしい……とまでは出来ないから。

 抱っこしてみると、だいぶ重くなったので前のようにひょいとは抱っこ出来なかったわ。


「アルー? 良かったね。リュシアーノ様に抱っこしていただけて」

「だ!」

「見るたびに、顔はアーネストに似てくるわね?」

「立派なイケメンになること間違い無しですね!」

「嬉しそうね?」

「リュシアーノ様も考えたことはありませんか? 自分の子どもが旦那さんに似るのは」

「うーん。ネルにそっくり」


 逆に、女の子でネル似だったらどうなるか見てみたいけど……それはそれで、ネルが嫁入りさせないとか言いそうな気がする。勝手な予想だけどね?

 普通に男の子だったら、親子揃って『麗しの』の異名が世界中に広まると思う。それはそれで、女の子たちが騒ぎそうだわ……。


「まだ先ですものね? 難しい質問をしてすみません」

「いいわよ。イツキもあと数年で二人目とか考えているの?」

「……既に準備が」

「あら。アーネストはイツキにベタ惚れだものね? それくらい不思議じゃないけど」


 むしろ、精力有り余って……イツキに無茶させていなきゃいいけど。イツキも幸せそうだから大丈夫ではあるみたい。

 女として求められる幸せがきちんとあるのなら、友人としてはこれ以上にない安心材料だもの。

 私もいつか……ネルと情熱的なまでにいちゃいちゃするんだから!! とりあえず、キスはしたいのにネルがダメって言うんだものぉ!!
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