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番外編②

第51話 何を作ろうか?

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「いっちご、いちご!」


 樹木精の沈静化をさせてから、急いで採りに採って採りまくる! 用意していた魔法鞄マジックバックがひとついっぱいになったら次へと繰り返しに繰り返して。

 途中、また沈静を施したらまた採取をしていけば……まあ、群生地の一部を丸ごと刈り取ったくらいになっちまったぜ。


「これだけありゃ、バクスの爺さんも困らなねぇだろ」


 リュカルドに許可を申請しに行った時に、ちょうど爺さんもいたからな。白いいちごを採取にいるなら、アレルギーの薬剤に一部を譲って欲しいと請われた。

 それに役に立つんなら、俺とて悪い話じゃない。いちごはアレルギーの目立つ食材だが、こいつは普通のいちごじゃねぇからな。薬になるんなら使って欲しいもんだ。

 採取が終わってから帰る途中、いくつかサーシャと食ったが久しぶりに食べるせいか美味く感じた。苦労して採取したって理由もあるんだろうな?


「シューくん。これで何か作れるの?」


 サーシャはこのいちごを薬材扱いしかしてなかったから、本来の目的である食材調達の方に興味を持ってくれた。


「そうだな。イツキはペーストにしてヨーグルトにかけたりしたらしいが……ジャムやジュースにしても美味いそうだ」

「いっちゃんの提案なら納得! どれも食べたいなあ……」

「まあ、帰ってから考えさせてくれ」


 まだまだ危険区域を出たばかりだからって、油断はしてられん。サーシャはともかく、俺は元冒険者に成り下がったものだ。ひとつの油断で命取りになったら、マジでやばいですまん。

 サーシャもくっつくが腕組みしようとはしないからな。そこは現役を自負しているだけある。


(とまあ、意気込んだが……)


 道中特に問題なく城に帰ることが出来た。杞憂といえば杞憂だが、魔物が徘徊する区域での油断は禁物だからな。……稼業再開と言うわけにはいかんが、たまにはレクサスとかに稽古相手してもらうとするか。

 とりあえず、城の厨房に入ったら成果をジェストにも見てもらった。


「圧巻ですね」

「最高だろ?」

「これを食材に……贅沢過ぎますね」


 ザルの中に山盛り存在する白いいちごはたしかに早々お目にかかれない。

 これをどう調理するか、ジェストにもひとつ食ってもらってから考えることにしたが。


「いっそ、白で統一したケーキにしねぇか?」

「ケーキ。普通ではなく、イツキが料理長とサーシャさんに作られたあのタイプを?」

「おう。生地もクリームも白だ。驚くし、絶対綺麗なはずだ」

「面白い試みですね」


 と決まれば、実行あるのみだ!

 材料を揃えてかき混ぜたり、焼いたり冷ましたり……単純な作業だが、作るのが楽しいときた。いつ以来だ? ここまで料理を作るのに心躍ったのは?


(イツキがきっかけだろうな?)


 バターケーキより作る工程は多いが、その繊細さを手掛けるのがめちゃくちゃ楽しいんだ!
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