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番外編②

第47話 白いいちごを求め②

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 いちごの旬の時期でしょうが、ここは魔物の巣窟かもしれない場所。気配を探りながらも採取を試みようと群生地に近づけば、たしかに赤でも金でもなく真っ白ないちごでした。

 白くて可愛らしくて、形も普通と違いますね。何故か星のようなものもあればハートもあります。非常に可愛らしいいちごたちですね?


「魔物やったら、食いに来ても問題ないんやけど。それが人間とかの他種族やと」

「「だと?」」


 アーネストもイツキのためにと、いちごをひとつ摘もうとしていましたが……そこで何故か、蔓のようなものが彼の指に巻きつこうとしていたのです!?


「アーネスト?!」

「こ……の!?」


 僕の呼びかけに、すぐに我に返り。アーネストは瞬時にいちごと蔓から離れました。

 僕とレクサスも瞬時に剣を構えて、蔓の攻撃を対処しようとしたところ……足元からわんさかと蠢き出してきたため、跳び上がってそれぞれ木の枝の上へと移動しました。


「……なんですか、あれは」


 僕も驚きを隠せません。いちごの群生地そのものが魔物だったのか、樹木精のような形態に変化していました。 番人というのは、金色のいちごの時と聞いていた内容が全然違いますね?


「身体にうんまいいちご生やして、人間とかを取り込もうとしとる魔物や。せやから、採取はひとりだと面倒やねん」

「お前が乗り気でなかったのはこの理由か!」

「せやけど、隊長は殿下。副隊長はイツキはんのためやろ? 仕方なしに、自分もサフィアんため思って動いたんや」

「となると、対処法はなくもないのですね?」


 僕が聞きますと、レクサスは実にいい笑顔になりました。


「一時的に、魔物を沈静化させる方法があんのや。星型のいちごを三個同時に獲ればええんよ」

「三個」

「同時にですか?」

「ちいっと誤差があってもええ。隊長らもさっきいちごの形は見たやろ?」

「ああ」

「となれば、いくしかありませんね」


 ここで死ぬという選択肢は誰も持っていませんから、それを試さない理由もありません。

 剣で襲いくる蔓を薙ぎ払いながら、星型のいちごを見つけることは容易ではなかったですが……なんとか見つけた僕は、つまむ前にレクサスとアーネストの方を確認すると見つけていたようです。

 であれば!


「「「せーの!!」」」


 出来るだけ同時に摘むと、あれだけ乱暴に蠢いていた蔓が一気に地面に落ちていきます。樹木精の方も形が崩れて地面の草に溶け込んでいきました。つまりは、成功したのでしょう。


「やったか……」

「どうにかですね」

「ぼさっとしとれんで? これも一時的や、十五分くらいで復活すっからなあ。さっさと摘んで帰ろうや」

「レクサス。このいちご自体に毒や薬効のようなものはありませんよね?」

「毒はないけんど、回復薬の材料にはなるらしいで。別に普通に食っても問題ないとかは聞いたことあるわ」

「では、さっさと摘んで帰りましょう」


 食べられないものだったら、リュシアーノ様が残念になられますから。そこは避けたかったのでよかったですよ。
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