王宮まかない料理番は偉大 見習いですが、とっておきのレシピで心もお腹も満たします

櫛田こころ

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番外編②

第21話 母親の感慨

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 ジェラルドも少しずつ大きくなったから、食べられるものも増えてきた。

 バクス先生にきちんと診ていただいてから、アレルギーがあるかないか確認を取ると。今のところはどの食材も該当しないとされた。ほっとしたが、幼児は風邪などの病にかかりやすいので気をつけなくてはいけない。

 それに、イツキからの情報ではアレルギーは食べ過ぎた場合にも起こりうるから、いつ何時発症するのかわからないそうで。起きたとしても、対応すれば重症化には至らない場合もある。

 だから、のんびり構えていくくらいでいいらしい。


(それにしても、姉弟の仲がこんなに良好だなんて……)


 歳の差のことも心配していたけれど、リュシアーノも学園二年目にして背も伸びてきたし体つきも娘らしくなってきた。

 私に似て金の髪も美しく伸びてきて、少し波打っているのも愛らしく感じる。ネルヴィスの婚約者としての教育も並行して学んでいるらしいが、サフィアの報告を聞く限り順調そう。

 イツキ以外の友人もだんだんと増えたらしいが、一番は変わらないみたい。たしかに、打ち解け具合を思えば仕方がないわ。

 そして、ジェラルドが生まれてくる時まで二人は協力していたんだもの。私が敵うわけがない。


「ね! ねー!」


 ジェラルドは頻繁に会えない姉が戻ってくるたびに、抱っこをせがむくらい慕っている様子。リュシアもわざわざジェラルドのためにイツキから教わったおやつを作って振る舞うくらい慈しんでいるようだわ。

 もうすぐ十歳だけど、八年後にネルの元に嫁いだらジェラルドと似た子を宿すかしら? まだまだ先のことなのに、ついそんなことを考えてしまう。

 まだ我が子が幼いのに、孫の顔を見たいだなんて……私も歳を取ったのかしら? まだ三十代ではあるのに。


「ジェラルド? おかわりほしいの?」

「んまー! う!」

「食べ過ぎはダメよ? また作ってあげるから」

「うー」


 会話が出来ていないはずなのに、通じているように見えるって不思議。リュシアの時はどうだったかしら? あの頃はイツキもいなくて、育児など乳母に任せきりのようだった気がするけれど。


(……リュシアーノともっと向き合うべきなのに。この子はイツキたちのおかげで聡く育っている)


 ネルも居てくれるおかげもあるが、やはりイツキの力が大きいと思う。ジェラルドより少し年下のアルベルトの育児で大変でしょうに、それでもリュシアの話相手にもなってくれるんだから……改めてお礼を言いにいきましょう。

 そう言う口実も作らないと、私もイツキに会いに行けないしジェラルドもアルベルトと会わせられないから。
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