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番外編
第234話 ヘタレになるのは
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観察。
と言っても、どう観察すればいいのやら?
近衛騎士団の中では、あちらが先輩なので常に一緒にいるわけではない。むしろ、訓練では最近はいろんな相手との打ち合いをするようにスケジュールが組み込まれているので……むしろ、疎遠だ。
休憩時間もバラバラ。
休みの日も最近一緒にならない。
これでは……タイミングどころかチャンスすらないのでは??
そう思うと、私はどうすれば良いのだろう!? ファーストキスが来るまでただただ待たなくてはいけないのか!? それはよろしくない。非常によろしくない!!
とくれば、ここはひとつ!!
「……なんで俺のとこに来たわけ?」
「色々借りを返していただきたく」
「……そう言われるとなあ」
ミュラー殿のご親友で、先日イツキ義姉上のお屋敷のメイドとお付き合いされたエリオ殿だ。ミュラー殿に直接聞きにくい今、観察のためにこの方にご助力願うのも致し方ない。
私達もその時協力したから……ちょっとくらい借りがあるのだ。
「ミュラー殿は、行動力がお有りなのかと思っていました」
「普通くらいはね? けど、君には違うのはしょうがないよ」
「しょうがない?」
「男って、好きな子には誰だってヘタレになっちゃうもんなんだよ」
「……ミュラー殿が?」
「俺、君の相談を受けた時はそりゃもう……ね?」
「……ふむ」
兄上もイツキ義姉上には相当のヘタレだったと、バーミィ隊長に色々お聞きしたが……一般の男性にも関係があるのか。むしろ、この状況自体も既にそうなのだろうか??
「まあ、もう少し待ってあげなよ? その最初のキスとやらをめちゃくちゃ大事にしたいんならさ。ミュラー自身もタイミング見計らっているんじゃない?」
「……イツキ義姉上と同じですね」
「付き合い始めは特にそんな感じだと思うよ? 俺だって、エミリとはまだだし。……大事にしてあげたいからさ」
「……大事に」
「ずっと一緒にいたい相手の事を考えれば、ヘタレになるさ。慎重に考えちゃうんだよ、男でも」
ずっと一緒にいたい。
その重要さを、私は軽んじていたのか。
エリオ殿と話を終えてから……その言葉を何度も頭の中で繰り返していたのだった。
と言っても、どう観察すればいいのやら?
近衛騎士団の中では、あちらが先輩なので常に一緒にいるわけではない。むしろ、訓練では最近はいろんな相手との打ち合いをするようにスケジュールが組み込まれているので……むしろ、疎遠だ。
休憩時間もバラバラ。
休みの日も最近一緒にならない。
これでは……タイミングどころかチャンスすらないのでは??
そう思うと、私はどうすれば良いのだろう!? ファーストキスが来るまでただただ待たなくてはいけないのか!? それはよろしくない。非常によろしくない!!
とくれば、ここはひとつ!!
「……なんで俺のとこに来たわけ?」
「色々借りを返していただきたく」
「……そう言われるとなあ」
ミュラー殿のご親友で、先日イツキ義姉上のお屋敷のメイドとお付き合いされたエリオ殿だ。ミュラー殿に直接聞きにくい今、観察のためにこの方にご助力願うのも致し方ない。
私達もその時協力したから……ちょっとくらい借りがあるのだ。
「ミュラー殿は、行動力がお有りなのかと思っていました」
「普通くらいはね? けど、君には違うのはしょうがないよ」
「しょうがない?」
「男って、好きな子には誰だってヘタレになっちゃうもんなんだよ」
「……ミュラー殿が?」
「俺、君の相談を受けた時はそりゃもう……ね?」
「……ふむ」
兄上もイツキ義姉上には相当のヘタレだったと、バーミィ隊長に色々お聞きしたが……一般の男性にも関係があるのか。むしろ、この状況自体も既にそうなのだろうか??
「まあ、もう少し待ってあげなよ? その最初のキスとやらをめちゃくちゃ大事にしたいんならさ。ミュラー自身もタイミング見計らっているんじゃない?」
「……イツキ義姉上と同じですね」
「付き合い始めは特にそんな感じだと思うよ? 俺だって、エミリとはまだだし。……大事にしてあげたいからさ」
「……大事に」
「ずっと一緒にいたい相手の事を考えれば、ヘタレになるさ。慎重に考えちゃうんだよ、男でも」
ずっと一緒にいたい。
その重要さを、私は軽んじていたのか。
エリオ殿と話を終えてから……その言葉を何度も頭の中で繰り返していたのだった。
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