王宮まかない料理番は偉大 見習いですが、とっておきのレシピで心もお腹も満たします

番外編

第230話 コーヒーの餅？

　それと今日は今日で、イツキの新しい厨房でお菓子作りをさせてもらえるの。

　内容は、私が大好きな『モチ』。しかも今日は、ピーチモチのような大きなモチですって！　楽しみだわ！！


「ヘルミーナ様、コーヒーはお好きでしょうか？」


　ただ、始める前にそのようなことを聞かれたので頷いたわ。


「ええ。ジェラルドが乳離れしてからは、お茶と同じように飲むわ」


　それを聞くと言うことは、今日のモチにはコーヒーを使うのかしら？　もしくは合わせると美味しいもの？？


「良かったです。ちょっと変わった大福を作ろうかと思ってまして」

「まあ、そうなの？」

「少しほろ苦くて美味しいです。気に入られるかと」

「是非教えて」


　メイドに服を用意させ、着替えてからさっそく取り掛かることとなった。

　コーヒーは熱いものを用意し、粉類の中に入れて気をつけて混ぜれば……見た目は真っ黒な異物にしか見えないモチが出来上がったわ！？

　これ……食べられるのかしら？


「ふふ。ヘルミーナ様、びっくりしましたよね？」

「え、ええ……」

「ではこれが、以前のチョコレート餅だと思えば違う見方が出来ませんか？」

「……あのチョコレート？？」

「ここに以前とは違う作り方ですが、チョコレートのお餅を入れるんですよ。コーヒーはよく合いますし」

「まあ……」


　たしかに、その見方を変えれば……とても美味しそうに見えるわ。真っ黒だけど、艶々していて……そう思えば、異物になど見えなくなってきた。イツキは言葉選びも素晴らしいわね！！　そう言えば、バターモチも少し黒っぽい茶色だったわ。


「これは片栗粉の上で休ませている間に、今度はチョコレートの方ですね」


　そちらも同じくらい、真っ黒に仕上がったけれど……まるでブラックパールのように艶やかで美しいわ。このまま食べたいが、まだまだ作業は終わっていないから、我慢するしかない……。

　その次に、今度はクリームと言うものを作らなくてはいけなかった。この作業は私が頑張らなきゃいけないので、泡立て器でしっかり混ぜて液体からふんわりしたクリームを作っていく。

　腕が痺れそうになったけど、出来上がった時の達成感がなんとも言えない感覚だったわ。