王宮まかない料理番は偉大 見習いですが、とっておきのレシピで心もお腹も満たします

番外編

第214話 副料理長の悩み②

　だが、肉でも焼き方を気をつければ……柔らかくしっとり仕上がる料理と言うのが俺は気になった。

　作るには脂身の少ない、赤身の肉の塊が必要らしい。とくれば、ちょうど今肉の解体に取り掛かっている料理長に確認を取りに行くことにした。


「料理長、新メニューに提案したいものがあるんですが」

「お？　なんか決まったか？」

「イツキのレシピ帳にあった……これなんですが」


　レシピのページを見せると、料理長は何故かいい笑顔になった。と言うことは、食った事があるのか？


「『ローストビーフ』か。あれはいいな？　脂身がねぇのにめちゃくちゃ美味い。メインにもなるし、サンドイッチの具にしてもいい」

「……サンドイッチにも？」

「単純なハムよりは豪華になるぜ？　んで、作ってみるか？」

「……やってみます」


　単体でも美味いのに、それをアレンジして使う方法があるとは……余計に興味が湧いた。料理長に使えそうな部位を譲ってもらい、早速調理に取り掛かることにした。

　塩と胡椒とニンニクを、普通のステーキよりは多め……などと注意点に気をつけ、しっかり焼くんじゃなく表面だけを焼くらしい。

　中への火通りについては、ガーゼ用の布にしっかり包んで放置したまま余熱で行き渡らせるんだと。本当に大丈夫か心配になったが、まだ出来上がりではない。フライパンに残った肉汁などを利用してソースを作る。

　味見したが、パンや米リーゾが欲しくなる味わいだった。たしかに、単体で食うよりかは主食と合わせた方がいいな？

　ソースが仕上がってもまだ時間があったんで、レシピ帳を再度読み込んでいくと……別のページにサンドイッチやサラダにも使えるとの記述があった。

　サラダにも扱えるとは画期的過ぎだ。せっかくだから用意するか……と、貯蔵庫に野菜を取りに行く。戻ってきてもまだガーゼが熱かった。野菜を水洗いし、ちぎったりスライスなどをしてもまだ熱いのでサンドイッチ用のパンなどを用意してもまだ熱い。

　しかし、この料理には魔法を使うとせっかくの肉が固くなると記述にあったからな。しばし、他の仕込みで時間を潰すことにしたのだった。