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番外編

第169話 孫と再会

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 実質的な血のつながりはないが、ようやく『孫』に出会うことが出来た。

 いきなり、産後明けのイツキから『ちょっとお邪魔します』と通達があったのに、何の用だと思ったが。

 あいつが来るなり、中央の厨房内はそれはもう騒がしくなった。何せ、元同僚だけじゃなく最高のまかない料理番の来訪だかんな? 引き継いだエリオはまだまだひよっこだが、一番組ませていた料理人として信頼していた。

 そのエリオに用があるとは思わなかったがな? なんでも、イツキんとこで雇っているメイドとエリオが相思相愛だったらしい。その仲介人としてイツキはアルベルトも一緒に里帰りしてきた。何故か、近衛騎士の坊主や嬢ちゃんもいたが。

 無事に用件が終わったら、エリオは嬢ちゃん連れてちょっと色々話したいと俺に頼み込んできた。仕事はあったが、その真剣な目に……まあ、仕方ないと許可を出せば。


「代わりに私がしましょうか?」


 とイツキが言い出したら、部下連中の騒ぐこと!? ジェストがいないからいつも以上に雷は盛大に落としたがな!?


「うるせぇ!? イツキは仲間だが、今は赤ん坊の親だぞ!!」

「まあまあ、料理長。いきなり押しかけてきたお詫びです。……おじいちゃんには、孫を預けます」

「は? え?」

「あぅー」


 とかなんとかしてたら、アルベルトを俺に預けてきやがった!?

 ゆっくりだったが、リュカルドんとこの坊主を抱き上げるくらい、久しぶりの赤ん坊。受け止めたが、まだ生後数ヶ月程度の坊主のふにゃふにゃ加減に、壊しそうに思えてしっかり抱きしめた。


「お……っとっと」

「うーあー」


 出産直後に会いに行った以来の、孫との対面。悪人面で有名な俺を怖がらないのは母親似か?

 俺にちっこい手を伸ばして、顎とかに触ろうとしていた。手を握ってやれば、さらに笑う。俺の今までを思えば、あり得ない光景だ。


「「「「りょ、料理長を!?」」」」

「こ、怖がらない!?」

「さすがイツキさんの子ども!?」

「「すっげー……」」

「…………お前ら」


 俺だって、自覚はしているがな?

 人間だから多少は傷つくぞ!!?


「ではでは、エリオさんへはカツサンドでしたから……こっちも揚げ物のサンドイッチにしましょうか?」


 んで、イツキはワンピースの上に誰かが貸したエプロンを身に付け、料理する気満々だった。相変わらず、マイペース言うか掴みどころがない性格をしているなあ。こいつはこいつで。
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