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番外編
第79話『騎士のキャンプカレー』②
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だいたいのアクが取り除けたら、次は野菜が柔らかくなるまで煮ていく。根気のいる料理だ。カレーって、すぐに食べられる料理じゃないんだって、改めて実感出来た。
その間に、釜の隙間を使ってバーミィ隊長とスープを作ってはいくけど。
「イツキはんにも教わったが、ほんま料理ってすごいわ~」
僕なんかよりももっと手際の良い隊長は、独り言のようにつぶやきながらスープの材料を刻んでは鍋に入れていった。
「イツキさんのお屋敷には、よく行かれるのですか?」
「おん。先輩……ワルシュ料理長のお使いも頼まれるついでやけど。この間見に行った時は、ちょぉ腹膨れてたで。屋敷に使用人も入ってたし、順調そうや」
「……え? そのお話だと、しばらくはイツキさんおひとりでお屋敷を切り盛りしてたような」
「しとったんや。イツキはんは」
「えぇ!?」
ハインツベルト副隊長は、ラインシード隊長より家格は少し劣るけど、間違いなくトップクラスのお貴族様の次男坊。
当主じゃないにしても、それなりのお屋敷が与えられているだろうに……そのお住まいを、身重のイツキさんがしばらくひとりで管理していた? 信じられないけど、イツキさんだったら……って、変に納得出来ちゃう。
納得出来ちゃうくらい、イツキさんってやっぱりすんごい人だから!
「お? ええ感じや」
僕が感心している間に、野菜とかが煮えたようなので。次にソースの仕上げらしい。釜から一旦鍋をおろして、バーミィ隊長が用意していた香辛料の粉をゆっくり入れて混ぜていけば。
「いい匂いです……」
お城の食堂で食べていたのと同じとまではいかないけど、カレーの匂いだ。まだ出来上がっていないのに、それだけで空いてるお腹が鳴ってしまいそうだった。
隊長はまた鍋を釜に戻し、僕に鍋底が焦げつかないようにゆっくりかき混ぜるように頼んで、ご自分は米の出来具合を確認するんだって。
僕はいい匂い過ぎて、味見したくなっちゃうけど……なかなかソースにとろみがつかない。シャビシャビのスープのようにしかならないんだ。時間がかかるものなのかな?
「……カレーか」
僕が鍋に集中していたら、誰かが向かい側に立った。顔を上げると、ハインツベルト副隊長が立っていらっしゃったんだ!? み、見回りかな?
「ふ、副隊長!?」
「ああ。かしこまらなくていい。鍋が焦げてしまう」
慌てて敬礼しようとしたら、待ったをかけられた。なので、中途半端だけど……玉じゃくしを鍋でかき混ぜながらひざまずくって姿勢になっちゃった。
「み、見回りでしょうか?」
「ああ。俺はあとで作るからな。まずは皆の確認だ」
そう言えば、副隊長と組んでいる相手は……と思ったが、誰もいないような気がした。ちらっと見ても、ひとりだけ残っている組が見当たらない。
「……お疲れ様です」
「しかし、カレーを手作りか。ペアは……レクサスか」
「はい」
「お? 副隊長ー?」
バーミィ隊長がこちらに来た。手には僕とご自分用にと、出来上がった米を入れたお皿があった。陶器じゃなくて木製だったから、隊長が冒険者時代に使ってたものかな?
「レクサス、凄い匂いだぞ。カレーは騎士らの中でも人気が高い料理じゃないか」
「せやかて、材料あったし。ミュラーは手際ええから」
「……もう作ったのなら仕方がないが。お前にはひとつ問題があるぞ」
「問題?」
「部下らに、作り方をせがまれるぞ」
「げ!」
僕もようやく気づいたけど、周囲から羨望以上に殺気めいた眼差しを向けられていたんだ!?
同僚もだけど、先輩とかの目が怖い!!
その間に、釜の隙間を使ってバーミィ隊長とスープを作ってはいくけど。
「イツキはんにも教わったが、ほんま料理ってすごいわ~」
僕なんかよりももっと手際の良い隊長は、独り言のようにつぶやきながらスープの材料を刻んでは鍋に入れていった。
「イツキさんのお屋敷には、よく行かれるのですか?」
「おん。先輩……ワルシュ料理長のお使いも頼まれるついでやけど。この間見に行った時は、ちょぉ腹膨れてたで。屋敷に使用人も入ってたし、順調そうや」
「……え? そのお話だと、しばらくはイツキさんおひとりでお屋敷を切り盛りしてたような」
「しとったんや。イツキはんは」
「えぇ!?」
ハインツベルト副隊長は、ラインシード隊長より家格は少し劣るけど、間違いなくトップクラスのお貴族様の次男坊。
当主じゃないにしても、それなりのお屋敷が与えられているだろうに……そのお住まいを、身重のイツキさんがしばらくひとりで管理していた? 信じられないけど、イツキさんだったら……って、変に納得出来ちゃう。
納得出来ちゃうくらい、イツキさんってやっぱりすんごい人だから!
「お? ええ感じや」
僕が感心している間に、野菜とかが煮えたようなので。次にソースの仕上げらしい。釜から一旦鍋をおろして、バーミィ隊長が用意していた香辛料の粉をゆっくり入れて混ぜていけば。
「いい匂いです……」
お城の食堂で食べていたのと同じとまではいかないけど、カレーの匂いだ。まだ出来上がっていないのに、それだけで空いてるお腹が鳴ってしまいそうだった。
隊長はまた鍋を釜に戻し、僕に鍋底が焦げつかないようにゆっくりかき混ぜるように頼んで、ご自分は米の出来具合を確認するんだって。
僕はいい匂い過ぎて、味見したくなっちゃうけど……なかなかソースにとろみがつかない。シャビシャビのスープのようにしかならないんだ。時間がかかるものなのかな?
「……カレーか」
僕が鍋に集中していたら、誰かが向かい側に立った。顔を上げると、ハインツベルト副隊長が立っていらっしゃったんだ!? み、見回りかな?
「ふ、副隊長!?」
「ああ。かしこまらなくていい。鍋が焦げてしまう」
慌てて敬礼しようとしたら、待ったをかけられた。なので、中途半端だけど……玉じゃくしを鍋でかき混ぜながらひざまずくって姿勢になっちゃった。
「み、見回りでしょうか?」
「ああ。俺はあとで作るからな。まずは皆の確認だ」
そう言えば、副隊長と組んでいる相手は……と思ったが、誰もいないような気がした。ちらっと見ても、ひとりだけ残っている組が見当たらない。
「……お疲れ様です」
「しかし、カレーを手作りか。ペアは……レクサスか」
「はい」
「お? 副隊長ー?」
バーミィ隊長がこちらに来た。手には僕とご自分用にと、出来上がった米を入れたお皿があった。陶器じゃなくて木製だったから、隊長が冒険者時代に使ってたものかな?
「レクサス、凄い匂いだぞ。カレーは騎士らの中でも人気が高い料理じゃないか」
「せやかて、材料あったし。ミュラーは手際ええから」
「……もう作ったのなら仕方がないが。お前にはひとつ問題があるぞ」
「問題?」
「部下らに、作り方をせがまれるぞ」
「げ!」
僕もようやく気づいたけど、周囲から羨望以上に殺気めいた眼差しを向けられていたんだ!?
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