王宮まかない料理番は偉大 見習いですが、とっておきのレシピで心もお腹も満たします

番外編

第34話『ふんわりチーズ入りのスフレパンケーキ』①

「殿下、粉の振るいが出来上がりました」

「ありがとう」


　今私は、サフィアと一緒に離宮の小さな厨房でおやつのスフレパンケーキを作っている。ひとりでもよかったけれど、せっかくならサフィアも一緒だったらと思って作っているの。

　サフィアもちょこっとイツキと料理したことあるし、私が料理をするのを止めたりはしない。だから、分担してスフレパンケーキの下ごしらえを進めているわ。メイドだから手際が良くて、私がお願いしたものをあっという間にそろえてくれるのよね。

　今私はメレンゲを作っているんだけど、日本の時のように電動ミキサーがないから全部手作業。かき混ぜてもちっともツノが立つくらい固くなんないから、途中からサフィアにやってもらった。体が小学生だから、力が全然出ないのよね。


「……このような感じでしょうか？」


　サフィアが泡立て器を少し持ち上げて、すっとメレンゲが立ったわ！　いい仕上がりね？


「ええ。……えーっとこれに、卵の黄身と砂糖とか混ぜたものをゆっくり混ぜて」


　レシピを交互に見ながら、材料を合わせていくの。さっきと違って、ふんわり混ぜないとせっかくの泡がつぶれちゃう。焼き上がりもただのホットケーキにはしたくないから、ここは慎重に。

　サフィアと一緒に、生地を仕上げ……リコッタチーズがないから、こっちもイツキに教わった簡単カッテージチーズを入れて……生地が出来上がったら、いよいよ焼きよ！！


「……殿下。ここは私が」

「一枚だけやらせて？　難しそうだったら、サフィアに代わるわ」

「……わかりました」


　心配性だけど……まあ、王女もだけど子どもが火を扱う料理をするのは、ちょっと危険だものね？

　ちょっと背は伸びたけど、まだまだ低い身長だから台座に乗ってコンロの前に立つ。サフィアにはよく熱したフライパンを、濡れ布巾の上にじゅっと置いてもらうわ。いい焼き色のポイントだって、イツキは言っていたのよね？

　もう一度コンロに戻して……私はおたまにすくった生地を、フライパンに流しいると。しゅわっと音がして、ふちがどんどん乾いていくわ。タイマーがないから、ゆっくり待たなきゃだけど。

　ここで、サフィアにはトッピングも準備をお願いしたかったが、『殿下がやけどをしてしまったら大変です』って離れてくれなかった。

　仕方がないので、ひっくり返して綺麗に焼けてから、それは準備することにして。

　少し待って、金属製のフライ返しでひっくり返したら。


「まあ」

「いい出来だわ」


　生地もふんわりしているし、フライ返しから伝わってくる感触はイツキと一緒に作った、フルフルふわふわのパンケーキの生地だったわ。

　焼き色もムラが無くて、とっても綺麗！！