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番外編
第30話 友に相談②
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使用人がいないとは言え、案内された屋敷の中はとても綺麗に整えられていた。
イツキの話によると、出来る範囲で掃除はしているらしい。お腹のふくらみはあれど、動かないでいるのも体にはよくないそうよ。
私の場合は、『王妃』だから身の回りのことはすべてメイドや執事達が世話してくれたから……それとは違うイツキは、全部自分でしなければいけない。
王族と市井の差は仕様がない。
埋められない差があるのは……仕方がないもの。私は陛下と結婚して子を産んだことで今があるのだから。
「こちらへどうぞ」
客間に通されたのだが、こちらは城の部屋よりは断然狭くとも……落ち着いた色合いの調度品に、居心地の良さそうな空気が漂っていた。席や卓の数も少ないが、来訪者の数を考えればこれくらいでいいだろう。
ジェラルドを抱えたまま、上座の席に腰掛けると……柔らかい座り心地に溶けそうな気持ちになれた。
「……ありがとう」
「ハーブティー、持って来ますね?」
こちらに移って来ても、来客が多いせいかイツキは慣れた感じで茶を取りに行った。メイドが手を貸そうとしたが、あらかじめ準備していたのかすぐに戻ってきたの。ふんわり香る、優しいハーブの匂いに気持ちも落ち着きそうだった。
「……いい香りね?」
下手すると、城で飲むのよりも香りが良いんじゃないかしら?
「摘みたてですからね? ヘルミーナ様がいらっしゃる少し前に摘んだ、新鮮なハーブで淹れたんです」
「……あら。わざわざ?」
「飲み過ぎはいけませんが、ハーブティーは体にいいので。私もよく飲むんです」
「……そうなの」
であれば、いつものを私にも振る舞ってくれているだけ。とても嬉しいことだわ。これだから、この人の近くにいるといつも和んでしまうのよね?
ひと口飲んでみると……爽やかな香りと味わいに、日頃の疲れが抜けていきそうだったわ。
「それで、私にご相談とは?」
茶を楽しんでいると、イツキが本題を切り出してくれた。本来の目的を忘れてはいけなかったわ……と思い直して、カップを置いてからジェラルドを抱え直した。だいぶ大きくなったけれど……この子はまだ幼児以上に赤児に近い。
「……この子の食事なのよ」
意欲的に食事を食べるからこそ……どうすればいいのか悩んでしまう。次はどれを食べさせていいのか。ワルシュ先輩も考えてくださるけれど……ジェラルドの食事を一番に考えてくれたイツキだからこそ、すがってしまうのだ。
「離乳食……をもっと種類を増やす感じですか?」
「……ええ」
さすがはイツキだわ。こちらが言いたいことを瞬時に理解してくれている。私が頷けば、彼女はニコッと微笑んでくれた。
「お肉もいいですが、野菜や果物もいいかもしれないですね」
「……普通の食事で?」
「いいえ。お粥のようにすりつぶしたものからのがいいです。試しに、ひとつ作りましょうか?」
「お願いするわ」
簡単に作れると言うことは……私にも出来るのかしら?
ひとまず、イツキは私達を厨房に案内してくれた。
イツキの話によると、出来る範囲で掃除はしているらしい。お腹のふくらみはあれど、動かないでいるのも体にはよくないそうよ。
私の場合は、『王妃』だから身の回りのことはすべてメイドや執事達が世話してくれたから……それとは違うイツキは、全部自分でしなければいけない。
王族と市井の差は仕様がない。
埋められない差があるのは……仕方がないもの。私は陛下と結婚して子を産んだことで今があるのだから。
「こちらへどうぞ」
客間に通されたのだが、こちらは城の部屋よりは断然狭くとも……落ち着いた色合いの調度品に、居心地の良さそうな空気が漂っていた。席や卓の数も少ないが、来訪者の数を考えればこれくらいでいいだろう。
ジェラルドを抱えたまま、上座の席に腰掛けると……柔らかい座り心地に溶けそうな気持ちになれた。
「……ありがとう」
「ハーブティー、持って来ますね?」
こちらに移って来ても、来客が多いせいかイツキは慣れた感じで茶を取りに行った。メイドが手を貸そうとしたが、あらかじめ準備していたのかすぐに戻ってきたの。ふんわり香る、優しいハーブの匂いに気持ちも落ち着きそうだった。
「……いい香りね?」
下手すると、城で飲むのよりも香りが良いんじゃないかしら?
「摘みたてですからね? ヘルミーナ様がいらっしゃる少し前に摘んだ、新鮮なハーブで淹れたんです」
「……あら。わざわざ?」
「飲み過ぎはいけませんが、ハーブティーは体にいいので。私もよく飲むんです」
「……そうなの」
であれば、いつものを私にも振る舞ってくれているだけ。とても嬉しいことだわ。これだから、この人の近くにいるといつも和んでしまうのよね?
ひと口飲んでみると……爽やかな香りと味わいに、日頃の疲れが抜けていきそうだったわ。
「それで、私にご相談とは?」
茶を楽しんでいると、イツキが本題を切り出してくれた。本来の目的を忘れてはいけなかったわ……と思い直して、カップを置いてからジェラルドを抱え直した。だいぶ大きくなったけれど……この子はまだ幼児以上に赤児に近い。
「……この子の食事なのよ」
意欲的に食事を食べるからこそ……どうすればいいのか悩んでしまう。次はどれを食べさせていいのか。ワルシュ先輩も考えてくださるけれど……ジェラルドの食事を一番に考えてくれたイツキだからこそ、すがってしまうのだ。
「離乳食……をもっと種類を増やす感じですか?」
「……ええ」
さすがはイツキだわ。こちらが言いたいことを瞬時に理解してくれている。私が頷けば、彼女はニコッと微笑んでくれた。
「お肉もいいですが、野菜や果物もいいかもしれないですね」
「……普通の食事で?」
「いいえ。お粥のようにすりつぶしたものからのがいいです。試しに、ひとつ作りましょうか?」
「お願いするわ」
簡単に作れると言うことは……私にも出来るのかしら?
ひとまず、イツキは私達を厨房に案内してくれた。
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