王宮まかない料理番は偉大 見習いですが、とっておきのレシピで心もお腹も満たします

櫛田こころ

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番外編

第17話 悪友の結婚

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 ゲイリッシュが結婚。

 そこはまだいい。

 問題は相手との歳の差だ。

 好きになった奴が……暗部の現在幹部のひとり。

 まだガキを卒業したばっかの嬢ちゃんだ。だから、三十代の俺らにとっちゃ……ギリギリ親子くらい離れてると言ってもいい。

 とは言え、お互い想い合ってでの結婚決めたんなら……俺だって口は挟めないがな?


「……とうとうか」

「俺らん中じゃ、お前さんが早かったな。リュカルド」


 俺は今、もうひとりの悪友であるリュカルドと居る。と言っても、ただ世間話をしているわけじゃねぇ。

 駄弁りながら、手は動かしている。カードゲームとかではなく、『料理』をしている。

 と言っても、菓子作りだが。

 俺の養女……妊娠して、まかない番は休職中のイツキが教えてくれた『ウェディングケーキ』を作ってんだ。

 リュカルドは国王だが、俺の悪友であるし……イツキと関わったおかげで料理にも意欲的だ。こいつの家族も漏れなくイツキの影響を大に受けている。

 だから、リュカルドも料理するのを嫌と思ってねぇらしい。

 今はひたすら、生クリームを泡立たせてもらってるが嫌な顔ひとつもしない。


「まあ。俺は『王』だしな」

「しゃーねぇっちゃ、しゃーねぇが。だからって、ゲイリッシュはやり過ぎな気もするがな?」

「そうは言うが。……うちの娘を思うと、否定しきれん部分を感じる」

「……まあな」


 まだまだ学園に入りたての、リュカルドんとこの嬢ちゃんと……『麗しのネルヴィス』って通り名のある近衛騎士団隊長のネルとの婚約。

 あれも……ある意味、ぶっ飛んでいるがな?

 とは言え、歳の差だけで言えばゲイリッシュらの方がはるかにやべぇ。

 俺は焼けた生地を、生活魔法を使って粗熱を取ることにした。


「好きになったのであれば、仕方ないだろう」

「……けどなあ。やっぱり、こう」

「うん?」

「ネルの時も驚いたが……なんか犯罪っぽく思わないか?」

「……言うな」


 そこはやっぱ、リュカルドも触れておきたくなかったのだろう。

 並んで俺んとこに挨拶来たが……めちゃくちゃ凸凹な体格差だぜ?

 男女のそう言う事情も込みで、色々ツッコミたかった!

 こいつら大丈夫なのかと!!

 とは言っても、本人らの意思は尊重したいとこもあったから……『おめでとう』とは一応言ったがな?


「……よし。こっちはいいな」


 考えてても仕方ないんで、ケーキ作りを再開させたが。

 イツキにも色々教わったが、『ウェディングケーキ』と言うのは奥深い。

 単純な焼き菓子のケーキより、クリームと甘くした果物を使うとこも面白いんだ。今回は、イツキがスイードの嬢ちゃん宛に、アーネストのぼんとこの妹と先に生クリームのケーキは贈ったと言うことで。

 同じクリーム系でも、チョコレートを使った派手なウェディングケーキを作ろうとしていた。だから、土台の生地も茶色い。

 リュカルドの生クリームにも、溶かしたチョコレートを混ぜる予定だ。
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