上 下
456 / 782
番外編

第10話 宝石と食材

しおりを挟む
 女がこぞって欲しがるもんを、受け取らないやつか。


(たしかに……初めて出会った時も、カキの調理で生き生きしてやがったなあ?)


 あの時に、イツキの嬢ちゃんの剣捌きも知ったが……剣技よりも、調理の方がすげー喜んでた。

 時期的に、今カキは産卵期を終えてあの海岸を含める生息地にはいない。

 魔物ゆえに、意思があり自分らで移動してっからなあ?

 となると、他に喜ぶもん?

 ひとりじゃ全然わからん!

 頼みの綱だった、ワルシュですらあんな返答しかもらえんかった!!

 だったら、どうすりゃいいんだ!?


「……真珠はどう、でしょう?」


 俺が悩みに悩んで……スイードとも話し合っていると、あいつが言い出したんだ。


「……真珠?」


 カキとか特定の海辺に生息する貝や貝タイプの魔物の中で、特殊な条件がそろえば採取出来る宝石みたいなもん。

 質が良ければ良いほど……デカく、美しいもんだ。


「……食べ物、でもいいですが。イツキ様へ、ブローチなどを作って贈れば?」

「……たしかに。ある意味貴族になったんなら、着飾る場はちぃっとあんな?」


 最上級の真珠を見つけて……ドワーフの親方に頼めば。

 最高のもんを作ってくれるだろう!!

 俺の婚約者は、女気がないと誰が言い出した?

 めちゃんこ可愛いじゃねぇか!!


「この時期……だと、ホタテがいいかと」

「ついでに、ホタテ渡せば……嬢ちゃんも喜ぶだろうなあ?」


 真珠は貝の魔物であれば、大抵精製されていることが多い。

 ついでに、食材がゲットとなれば……嬢ちゃんもまた生き生きとして調理するだろう。

 そうと決まれば……スイードの休みの日に、二人で海に出向き。

 岩場に着いたら、まずはホタテの捜索からだ。


「……ゲイリッシュ様」


 手分けして探していたら、見つけたのはスイードが先だった。

 案内され、ホタテらの群生を見てみると……寄り添うように集まっていた。こいつは大量だ!


「……よし。カキほど凶暴じゃねぇが、油断すんなよ?」

「……はい」


 お互い、獲物を構えた時の音が響いた時。

 ホタテも、戦闘態勢になり……浅瀬から飛び出て、俺らに飛びかかってきたぜ!!


「おらおらおら!!」

「……!」


 今回は中身優先で、出来るだけ傷つけないようにしなくてはなので……急所を的確に狙い、岩場に落としていく!

 スイードも、俺が指示しなくたって的確に捌いていった。

 暗部としても、相棒としても頼もしい嬢ちゃんだなあ?

 こいつが婚約者であって、めちゃくちゃ嬉しいぜ!

 それから、最後のホタテを倒すまで俺達はそこで戦ったのだった。
しおりを挟む
感想 319

あなたにおすすめの小説

嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜

𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。 だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。 「もっと早く癒せよ! このグズが!」 「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」 「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」 また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、 「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」 「チッ。あの能無しのせいで……」 頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。 もう我慢ならない! 聖女さんは、とうとう怒った。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

人間だった竜人の番は、生まれ変わってエルフになったので、大好きなお父さんと暮らします

吉野屋
ファンタジー
 竜人国の皇太子の番として預言者に予言され妃になるため城に入った人間のシロアナだが、皇太子は人間の番と言う事実が受け入れられず、超塩対応だった。シロアナはそれならば人間の国へ帰りたいと思っていたが、イラつく皇太子の不手際のせいであっさり死んでしまった(人は竜人に比べてとても脆い存在)。  魂に傷を負った娘は、エルフの娘に生まれ変わる。  次の身体の父親はエルフの最高位の大魔術師を退き、妻が命と引き換えに生んだ娘と森で暮らす事を選んだ男だった。 【完結したお話を現在改稿中です。改稿しだい順次お話しをUPして行きます】  

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

私のお父様とパパ様

ファンタジー
非常に過保護で愛情深い二人の父親から愛される娘メアリー。 婚約者の皇太子と毎月あるお茶会で顔を合わせるも、彼の隣には幼馴染の女性がいて。 大好きなお父様とパパ様がいれば、皇太子との婚約は白紙になっても何も問題はない。 ※箱入り娘な主人公と娘溺愛過保護な父親コンビのとある日のお話。 追記(2021/10/7) お茶会の後を追加します。 更に追記(2022/3/9) 連載として再開します。

旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます

おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。 if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります) ※こちらの作品カクヨムにも掲載します

全能で楽しく公爵家!!

山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。 未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう! 転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。 スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。 ※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。 ※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。