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全員のまかない
第21話 騎士のまかない②
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イツキと結婚してから……穏やかな日々を過ごせると思いきや、毎日がドタバタする日常がほとんどだった。
一応、陛下から賜った屋敷で生活することになったものの……イツキは城の厨房のまかない番の仕事がほとんどなので、月の大半はまだ彼女の部屋として残してあるあの管理人室で寝泊まりしているのだ。
屋敷の近くにも、城へ通じる転移方陣が特別に設置されてはいるものの……イツキ自身の仕事内容を考えると、起きてすぐに取り掛かりたいと希望があって……結果的には屋敷で過ごす時間が短い。
新婚ほやほや(?)の時は、なるべく俺と過ごしてくれたが……仕事真面目なイツキなので、一応寝る時は同じでも……ベッドからいつの間にか抜け出して、俺一人で朝を迎えるのは、一度や二度じゃない。
仕方がないとは、最初は思っていたのだが!
「……副隊長。顔むちゃんこ怖いわ」
「……察しろ」
「内容は知っとるわ~」
そして、今日はレクサスとサフィア嬢の婚礼の儀を迎える日だ。イツキが忙しかったのは、二人への祝いの料理を仕込むためでもあったらしい。
友人の結婚とくれば、イツキが張り切らないわけがない。それは俺もわかっているのだが……心情としては複雑極まりないのだ!
「……しかし、お前もようやく結婚か」
「せやなあ? ほんま、イツキはんのお陰や」
普段の装いとは違い、着崩したりせずにレクサスは花婿の正装を身につけている。髪も綺麗に整えられているが……口を開けねば、貴族にも負けず劣らずだがそれは今更だ。
「レクサス、アーネスト。時間ですよ?」
隊長が待合室に来ると、俺達は行こうと顔を合わせた。
途中でレクサスと別れ、隊長とだけになると……隊長は何故かため息を吐いた。
「どうかされましたか?」
「いえ。僕自身仕方がないとわかってはいるのですが……先に、部下が結婚してしまうと思うと」
「……それはたしかに」
隊長と殿下がご成婚を迎えるのは、最低あと十年近く先だ。殿下はもうすぐ、学園での生活が始まるので……結婚どころか行儀作法などをこれまで以上に学ばれるだろう。中身が、転生者で実は隊長と同じくらいであっても……仕方がない。
この秘密も、他にはイツキとレクサスしか知らないのだ。広めるつもりはないし、広めたところで信じられないのが大半だろうから。
「アーネストさん! ネルヴィスさん!!」
あと少しで礼拝堂に着くというところで、なぜかイツキが正装のまま走ってきた。焦りが顔に出ていて、とても慌てている様子だ。
「どうされました?」
「……何かあったのか?」
「それが……結婚式が中止かもしれなくて」
「「え?」」
こんな直前になって中止……だと?
「あ、悪いことではないんです。ただ、色々バタバタしてしまって」
「どういうことですか? イツキ」
「……実は、サフィアさんがおめでたのようで」
「……本当か?」
レクサス……サフィア嬢が殿下の側仕えに任命されたのを了承したのでは?? いや、時期を考えれば……それより前かもしれない。
下世話なことだが、お互いのそういう話題は話し合ったものだ。
「はい。なので、レクサスさんに伝えようと……もう控室に?」
「ええ、つい先程」
「仕方がないとは言え……これは中止だろうな」
そこからは、手分けして中止の知らせを方々に伝え……その間に、俺は少し考えてしまった。
俺も、イツキと結婚してからもそれ以前にもだが……そう言った関係になっても兆しなどがない。
これはまだ……なのだろうか?
とは言え、天からの思し召しがすぐにあるとは限らない。
その未来を、少し不安に思うも楽しみにしながら……レクサスの婚礼の儀を中止する知らせを本人に理由込みで伝えたら、めちゃくちゃ面白い顔になったのには……笑いを堪え切れなかった。
一応、陛下から賜った屋敷で生活することになったものの……イツキは城の厨房のまかない番の仕事がほとんどなので、月の大半はまだ彼女の部屋として残してあるあの管理人室で寝泊まりしているのだ。
屋敷の近くにも、城へ通じる転移方陣が特別に設置されてはいるものの……イツキ自身の仕事内容を考えると、起きてすぐに取り掛かりたいと希望があって……結果的には屋敷で過ごす時間が短い。
新婚ほやほや(?)の時は、なるべく俺と過ごしてくれたが……仕事真面目なイツキなので、一応寝る時は同じでも……ベッドからいつの間にか抜け出して、俺一人で朝を迎えるのは、一度や二度じゃない。
仕方がないとは、最初は思っていたのだが!
「……副隊長。顔むちゃんこ怖いわ」
「……察しろ」
「内容は知っとるわ~」
そして、今日はレクサスとサフィア嬢の婚礼の儀を迎える日だ。イツキが忙しかったのは、二人への祝いの料理を仕込むためでもあったらしい。
友人の結婚とくれば、イツキが張り切らないわけがない。それは俺もわかっているのだが……心情としては複雑極まりないのだ!
「……しかし、お前もようやく結婚か」
「せやなあ? ほんま、イツキはんのお陰や」
普段の装いとは違い、着崩したりせずにレクサスは花婿の正装を身につけている。髪も綺麗に整えられているが……口を開けねば、貴族にも負けず劣らずだがそれは今更だ。
「レクサス、アーネスト。時間ですよ?」
隊長が待合室に来ると、俺達は行こうと顔を合わせた。
途中でレクサスと別れ、隊長とだけになると……隊長は何故かため息を吐いた。
「どうかされましたか?」
「いえ。僕自身仕方がないとわかってはいるのですが……先に、部下が結婚してしまうと思うと」
「……それはたしかに」
隊長と殿下がご成婚を迎えるのは、最低あと十年近く先だ。殿下はもうすぐ、学園での生活が始まるので……結婚どころか行儀作法などをこれまで以上に学ばれるだろう。中身が、転生者で実は隊長と同じくらいであっても……仕方がない。
この秘密も、他にはイツキとレクサスしか知らないのだ。広めるつもりはないし、広めたところで信じられないのが大半だろうから。
「アーネストさん! ネルヴィスさん!!」
あと少しで礼拝堂に着くというところで、なぜかイツキが正装のまま走ってきた。焦りが顔に出ていて、とても慌てている様子だ。
「どうされました?」
「……何かあったのか?」
「それが……結婚式が中止かもしれなくて」
「「え?」」
こんな直前になって中止……だと?
「あ、悪いことではないんです。ただ、色々バタバタしてしまって」
「どういうことですか? イツキ」
「……実は、サフィアさんがおめでたのようで」
「……本当か?」
レクサス……サフィア嬢が殿下の側仕えに任命されたのを了承したのでは?? いや、時期を考えれば……それより前かもしれない。
下世話なことだが、お互いのそういう話題は話し合ったものだ。
「はい。なので、レクサスさんに伝えようと……もう控室に?」
「ええ、つい先程」
「仕方がないとは言え……これは中止だろうな」
そこからは、手分けして中止の知らせを方々に伝え……その間に、俺は少し考えてしまった。
俺も、イツキと結婚してからもそれ以前にもだが……そう言った関係になっても兆しなどがない。
これはまだ……なのだろうか?
とは言え、天からの思し召しがすぐにあるとは限らない。
その未来を、少し不安に思うも楽しみにしながら……レクサスの婚礼の儀を中止する知らせを本人に理由込みで伝えたら、めちゃくちゃ面白い顔になったのには……笑いを堪え切れなかった。
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