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全員のまかない
第14話 国王のまかない
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イツキがイージアス城に来て、約三年の月日が経ち。
アレルギーと言う病だけでなく、我ら王族……ひいては、国民を救ってくれた大恩人だ。最初は、悪友であるワルシュの養女として連れてきただけだったが。
そんな彼女が、近衛騎士団の副隊長であるアーネスト=ハインツベルトと二年以上の交際を経て……とうとう、結婚すると決まった。
国王としては、祝いとこれまでの感謝を込めて……アーネストの実家である公爵家の領地の一角に屋敷は建設している。それも、もう間も無く完成しそうだ。
それは順調なのだが……一個人としては、何をしようか悩んでいた。
そんな、ある日に。
「お父様! 皆で一緒に作りたいものがあるの!!」
娘であり、第一王女のリュシアーノが俺の執務室にやってきたのだ。
「リュシア、作りたいと言うのは?」
イツキに頼み込みにいかないとなれば、あらかた予想はつくが。
「イツキへの結婚式のお祝い!! ワルシュの時にイツキが作っていた、あの大きなケーキを私達王族で作ったらきっと喜ぶと思うの!!」
「……あれか」
皆で食べきれないくらいの大きさと量だったが……とても華やかなものだった。ワルシュもだが、サーシャも大層喜んでいたしな?
「お母様は既に賛成よ。あとは、お父様次第だわ」
「しかし……簡単なものはともかく、あれはかなりの大きさじゃなかったか?」
「そうよ? けど、イツキが作る本格的じゃなくて……小さなケーキの土台を重ねて、クリームで飾る方法があるのを教わったことがあるの!! あれなら、私達でも出来ると思うの」
「……なるほど」
たしかに、それなら料理にあまり明るくない俺達でも作れなくない。それに、イツキとは友人であり……彼女とちょくちょく料理をするリュシアが中心となって動けば、ワルシュの手を借りずとも出来るだろうな?
あいつも、かなり悩んでいるとは噂には聞いているが……何を作るのやら。
(……先攻は勝った!)
奴より先に進めるとわかれば、悪友としては喜んでしまう。
とは言え、ワルシュの結婚式の時に出たあのケーキを思いつかないわけではないだろう。
念のため、確認の通達でも送ろうとしたのだが。
「リュカルド!! ちぃっと待て!!」
いきなり、ネルとレクサスを伴って入ってきたワルシュには……やはり、抜け駆けするのは無理か、とため息を吐くしか出来なかった。
「どこから聞いていた……?」
「嬢ちゃんがでかいケーキ作るってとこだ。そう言うのも可愛いらしいが……せっかくだ。全員で作ろうぜ?」
「……俺はともかく、リュシアやヘルミーナには手加減しろよ?」
「そりゃ当然」
「あら、ワルシュ? ネル達とも同じこと話してたの?」
「そうだ。嬢ちゃんのもいいが……俺が一から指導してやる。どうせなら、イツキ達に本格的なケーキ作ろうぜ?」
「んー。ワルシュが教えてくれるならいいけど」
「不服か?」
「初心者らしい可愛いケーキもいいと思ってただけよ?」
昔は、ワルシュを怖がっていたのに……随分と成長したものだ。
これなら、学園でも物怖じなく過ごせそうだと……親としては嬉しい限りだった。
アレルギーと言う病だけでなく、我ら王族……ひいては、国民を救ってくれた大恩人だ。最初は、悪友であるワルシュの養女として連れてきただけだったが。
そんな彼女が、近衛騎士団の副隊長であるアーネスト=ハインツベルトと二年以上の交際を経て……とうとう、結婚すると決まった。
国王としては、祝いとこれまでの感謝を込めて……アーネストの実家である公爵家の領地の一角に屋敷は建設している。それも、もう間も無く完成しそうだ。
それは順調なのだが……一個人としては、何をしようか悩んでいた。
そんな、ある日に。
「お父様! 皆で一緒に作りたいものがあるの!!」
娘であり、第一王女のリュシアーノが俺の執務室にやってきたのだ。
「リュシア、作りたいと言うのは?」
イツキに頼み込みにいかないとなれば、あらかた予想はつくが。
「イツキへの結婚式のお祝い!! ワルシュの時にイツキが作っていた、あの大きなケーキを私達王族で作ったらきっと喜ぶと思うの!!」
「……あれか」
皆で食べきれないくらいの大きさと量だったが……とても華やかなものだった。ワルシュもだが、サーシャも大層喜んでいたしな?
「お母様は既に賛成よ。あとは、お父様次第だわ」
「しかし……簡単なものはともかく、あれはかなりの大きさじゃなかったか?」
「そうよ? けど、イツキが作る本格的じゃなくて……小さなケーキの土台を重ねて、クリームで飾る方法があるのを教わったことがあるの!! あれなら、私達でも出来ると思うの」
「……なるほど」
たしかに、それなら料理にあまり明るくない俺達でも作れなくない。それに、イツキとは友人であり……彼女とちょくちょく料理をするリュシアが中心となって動けば、ワルシュの手を借りずとも出来るだろうな?
あいつも、かなり悩んでいるとは噂には聞いているが……何を作るのやら。
(……先攻は勝った!)
奴より先に進めるとわかれば、悪友としては喜んでしまう。
とは言え、ワルシュの結婚式の時に出たあのケーキを思いつかないわけではないだろう。
念のため、確認の通達でも送ろうとしたのだが。
「リュカルド!! ちぃっと待て!!」
いきなり、ネルとレクサスを伴って入ってきたワルシュには……やはり、抜け駆けするのは無理か、とため息を吐くしか出来なかった。
「どこから聞いていた……?」
「嬢ちゃんがでかいケーキ作るってとこだ。そう言うのも可愛いらしいが……せっかくだ。全員で作ろうぜ?」
「……俺はともかく、リュシアやヘルミーナには手加減しろよ?」
「そりゃ当然」
「あら、ワルシュ? ネル達とも同じこと話してたの?」
「そうだ。嬢ちゃんのもいいが……俺が一から指導してやる。どうせなら、イツキ達に本格的なケーキ作ろうぜ?」
「んー。ワルシュが教えてくれるならいいけど」
「不服か?」
「初心者らしい可愛いケーキもいいと思ってただけよ?」
昔は、ワルシュを怖がっていたのに……随分と成長したものだ。
これなら、学園でも物怖じなく過ごせそうだと……親としては嬉しい限りだった。
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