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冒険者のまかない⑩
第3話『作ろう、恵方巻き』①
しおりを挟む「まあ! 素敵!!」
ほぼほぼ、恒例になってきた……離宮での食事会っぽいの。
今日は、陛下や妃殿下はいらっしゃらないようで……イツキはんと自分、王女殿下とサフィア以外は……隊長と副隊長。
副隊長は……今日もえらいご機嫌さんやわ。まあ、その心中はよぉ~くわかっとる。
(や~~っと、イツキはんと『そう言う関係』になれたんやなあ?)
実に二年近く。
イツキはんはともかく、副隊長はよぉ我慢出来るのに感服したわ。年頃の男が……婚約した相手と禁欲生活をするのが意味わからんわ!?
普通、貴族だろうがさっさとするもんやろ!?
自分は……まあ、あんま他人の事言えんけど……サフィアとの関係結ぶのも時間かかった。副隊長とそう変わらん、年末近くにようやくや!!
あん時の……サフィアは最っ高に可愛かったわ!! 次もしたいが、お互いの立場を考えるとそうもいかん。
特に……サフィアは、春になったら殿下と共に学園の寄宿舎へ行くかまだ決定されんのや。殿下もひと通りご自分で身支度出来るようになられたとは言え……メイドひとりは同伴必須。王族もやけど、貴族令嬢はそれが当たり前らしいからや。
(……サフィア、と離れ離れ)
それは嫌やけど、自分にはどうにも出来んのや!!
決定がされんと、自分も改めてプロポーズしにくいねん!!
「……レクサス、殿?」
うだうだしとったら、サフィアに声かけられたわ。
ここはシャキッとせんと!? と、すぐに態度を切り替えた。
「なんや? サフィア」
「いえ。……イツキ殿が、エホウマキと言うものを仕上げるのに具材を選びましょうと」
「ほな、選ぼか?」
既に、殿下や隊長らは選んどる最中やったわ。
「出来るだけ太く巻きますが、食べにくいので……適度に選んでください。全部は流石に大変ですから」
具材は……試食で一度食べたネギトロ言うのに加えて、変わったもんは。
細かい粒々の、ちょお赤いペーストぽいの。
あと、ネックレスとかの粒くらいの大きい光った赤いもん。
これはなんやろか?
「イツキはん、こっちのふたつはなんなん?」
「そちらは、いくらと明太子です。明太子は、リュシアーノ様のお気に入りでして。いくらは私が去年の暮れに鮭の卵をいただけたので仕込みました」
「……ほーん?」
どっちも生やろうけど……イツキはんは、まだ亜空間収納の魔法が使えへんから……先輩か冷蔵庫のお陰で保存出来たんやろな?
「イツキ。そのふたつはどのような味なのでしょうか?」
「はい、ネルヴィスさん。明太子は少し辛くて。いくらは醤油をベースにしていますが、少し甘いです」
「私はどっちも入れるわ!!」
「では、僕も」
せっかくやし、自分もやけど……サフィアも同じように入れることにした。
エホウマキの作り方は……書類くらいに大きなノリの上に、自分が手伝どうた米を薄く載せて……手前の端に、思い思い具材を載せていくのがまず最初。
メンタイコとイクラは……同じ場所に置くと味が混ざりすぎるからと。イツキはんの指示もあり、間にキュウリの棒を挟むことで壁を作った。
「載せましたか? では、ゆっくり……バレンを使いながら、ロールケーキのように巻いていきます」
竹が使われた薄い板を組み合わせたもんを使うと……簡単に、くるくるとエホウマキを作れる。
最後に、少し酢をノリに塗って……糊がわりにしてくっつけたら。
めっちゃ太い、一本の棒みたいな食いもんが出来た!?
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