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国王のまかない⑧
第4話『暮れの再び年越し蕎麦』②
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ずずっと……音を立ててしまったが。
パスタとは違う……不思議な感覚だった。
パスタよりは柔らかいが、少し噛みごたえのある『オソバ』は……独特の風味があったが、スープの味と相まって『美味』と感じ取れた。
オソバをすすったことで、スープの味がさらに引き立つと言うべきか。
スープは……いつも口にしている、ポタージュやコンソメのものとはまったく違う。
一見すると……黒い、コーヒーよりいささか薄いが、その中に沈んでいるオソバはグレーの色合いの上、黒い粒々としたものが入っている。
だが、それが。
娘が、とても美味そうに口にしていた為、親である俺も……少し抵抗はあったが口に出来た。ひと口食べるごとに、食べ方はともかく……やはり、イツキの手がけた料理は素晴らしいとわかり……ついつい、側仕えの者らがいる前なのに、がっつく勢いで食べてしまった!!
「……美味い」
俺が……器の半分を食べ終えたくらいで、ようやく勢いを止めることが出来た。
「ええ、陛下。食べ方にも驚きましたが……とても美味しゅうございますわ」
「お父様、お母様! こっちもすっごく美味しいわ!!」
リュシアはオソバを堪能したのか、『カキアゲ』と言う揚げ物も……実に美味そうに口にしていた。
リュシアの顔半分くらいあるそれは……中も火が通っているのか、見るからにサクサクしている。
(……おお)
そちらはナイフとフォークで切り分けられたが……サク、サクッとした感触が食器越しに伝わってきた。イツキが厨房に加わったことで、素揚げ以外の揚げ物もだいぶ馴染み深くなってきたが……これは、初めて……いや、違うな?
(……ネルが一度言っていたな?)
城下町で、イツキのレシピが多数広まり……その中に、不思議な揚げ物もあったと。であれば、これもそのひとつか?
イツキの頭の中には……どれだけ、レシピが多く存在しているのだろう。
東方大陸はそれだけ、食の進化が著しくなっているのか?
ともかく、これも食べてみようと……イツキが言っていたように、添えてある岩塩を軽くつけて口に運んだ。
「まあ!?」
先に食べていたヘルミーナが声を上げるのも、無理はない。
俺もサクサクと音を立てながら……口に入れた『カキアゲ』は。
今までの揚げ物とは、また違った味と食感の驚き……声が出なかったほどだ。
(……肉はない。野菜か? なのに、全然物足りなさを感じない!?)
噛んでいくごとに……細く切った野菜の甘みを十分に感じる。わかったのは、にんじんと玉ねぎだが……一番細い、香りが強いものは何かわからない。だが、独特の清涼感もあり、ちっとも嫌だとは思わない!!
たしかに、これにあのスープで味付けしても美味いだろう。
しかし、これは塩が一番かもしれん。
スープをひと口飲んで、交互に繰り返すことでその味わいもわかったが……俺は、塩の方が好みだった。
「「「はぁ~~……」」」
ほぼ全員同時に食べ終えたが。
誰もが、器一杯と揚げ物ひとつで……十分に満足出来たのだった。
「今日も美味かったぞ。イツキ」
「恐縮です」
俺が労いの言葉をかけても、イツキは柔らかく微笑んで最敬礼をするだけ。
もっと自信を持ってもいいだろうに……特に偉ぶろうとしない姿勢は、俺もだが王族一同気に入っていた。
だからこそ、イツキに何かしてやりたいと思ってしまう。
新年を迎え、リュシアが学園に行くまでには……彼女とアーネストの邸を建設出来れば、とは思った。
食後の休みを終えたら、すぐにハクト親方を執務室に呼ぼうと決め……親方に告げると、自分も建設に加わると言い出して、それには苦笑いが止まらなかった。
パスタとは違う……不思議な感覚だった。
パスタよりは柔らかいが、少し噛みごたえのある『オソバ』は……独特の風味があったが、スープの味と相まって『美味』と感じ取れた。
オソバをすすったことで、スープの味がさらに引き立つと言うべきか。
スープは……いつも口にしている、ポタージュやコンソメのものとはまったく違う。
一見すると……黒い、コーヒーよりいささか薄いが、その中に沈んでいるオソバはグレーの色合いの上、黒い粒々としたものが入っている。
だが、それが。
娘が、とても美味そうに口にしていた為、親である俺も……少し抵抗はあったが口に出来た。ひと口食べるごとに、食べ方はともかく……やはり、イツキの手がけた料理は素晴らしいとわかり……ついつい、側仕えの者らがいる前なのに、がっつく勢いで食べてしまった!!
「……美味い」
俺が……器の半分を食べ終えたくらいで、ようやく勢いを止めることが出来た。
「ええ、陛下。食べ方にも驚きましたが……とても美味しゅうございますわ」
「お父様、お母様! こっちもすっごく美味しいわ!!」
リュシアはオソバを堪能したのか、『カキアゲ』と言う揚げ物も……実に美味そうに口にしていた。
リュシアの顔半分くらいあるそれは……中も火が通っているのか、見るからにサクサクしている。
(……おお)
そちらはナイフとフォークで切り分けられたが……サク、サクッとした感触が食器越しに伝わってきた。イツキが厨房に加わったことで、素揚げ以外の揚げ物もだいぶ馴染み深くなってきたが……これは、初めて……いや、違うな?
(……ネルが一度言っていたな?)
城下町で、イツキのレシピが多数広まり……その中に、不思議な揚げ物もあったと。であれば、これもそのひとつか?
イツキの頭の中には……どれだけ、レシピが多く存在しているのだろう。
東方大陸はそれだけ、食の進化が著しくなっているのか?
ともかく、これも食べてみようと……イツキが言っていたように、添えてある岩塩を軽くつけて口に運んだ。
「まあ!?」
先に食べていたヘルミーナが声を上げるのも、無理はない。
俺もサクサクと音を立てながら……口に入れた『カキアゲ』は。
今までの揚げ物とは、また違った味と食感の驚き……声が出なかったほどだ。
(……肉はない。野菜か? なのに、全然物足りなさを感じない!?)
噛んでいくごとに……細く切った野菜の甘みを十分に感じる。わかったのは、にんじんと玉ねぎだが……一番細い、香りが強いものは何かわからない。だが、独特の清涼感もあり、ちっとも嫌だとは思わない!!
たしかに、これにあのスープで味付けしても美味いだろう。
しかし、これは塩が一番かもしれん。
スープをひと口飲んで、交互に繰り返すことでその味わいもわかったが……俺は、塩の方が好みだった。
「「「はぁ~~……」」」
ほぼ全員同時に食べ終えたが。
誰もが、器一杯と揚げ物ひとつで……十分に満足出来たのだった。
「今日も美味かったぞ。イツキ」
「恐縮です」
俺が労いの言葉をかけても、イツキは柔らかく微笑んで最敬礼をするだけ。
もっと自信を持ってもいいだろうに……特に偉ぶろうとしない姿勢は、俺もだが王族一同気に入っていた。
だからこそ、イツキに何かしてやりたいと思ってしまう。
新年を迎え、リュシアが学園に行くまでには……彼女とアーネストの邸を建設出来れば、とは思った。
食後の休みを終えたら、すぐにハクト親方を執務室に呼ぼうと決め……親方に告げると、自分も建設に加わると言い出して、それには苦笑いが止まらなかった。
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