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騎士のまかない㉔
第2話 イツキの微笑み
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「あ、イツキ様だ!!」
「ほんとだ!! イツキ様がいるぞ!!?」
アボカドのフリットを扱う女性に、他にも色々イツキが助言をしていると。
昼間から、イツキが街に居るとわかっている者達が……今日の服装を見て覚えていたのか。こちらに気づくと、こぞって声を上げたのだ。
逃げるか、と俺はイツキの手を握ろうとしたが……彼女から待ったの声をかけられた。
「こんにちは。何かご用でも?」
横顔しか見えないが、イツキがイージアス城でもよく見せてくれる……あの慈愛の女神のような微笑みと柔らかい物言いで、迫って来ていた者達を停止させた。固まった、と言うのが正解かもしれないが。
「あ、あ、いや!!」
「お、俺……とかは、教えて……もらいたくて」
「なにをでしょう?」
イツキは終始微笑みを浮かべたまま。それが、注意されるよりも怒られるよりも、彼らには怯んでしまうものでしかない。
しかし、イツキは拒否をしているわけではないので、男ふたりもだがあとでやって来た者らも花がしぼむように、勢いが落ち着いていった。
「…………あ、あんたはたくさん……生産ギルドにレシピを提供してくれた」
「どれもこれも……コツを添えてくれたことで、街も賑わってきた! けど……あんたは、アレルギーとか制限がある食材も惜しみなく教えてくれた!!」
「「どうしたら、そんな知識が!!?」」
その疑問に行き着くとなれば、ただの馬鹿ではない。
しかし……言えるはずがない。イツキが違う世界からやって来た人間だと言うのは。
イツキの横顔を見ると、微笑みを浮かべたまま……軽く頷いていた。
「私の……故郷の知識です。ここからすごく遠いので、私はもう二度と帰れませんが」
「「……故郷??」」
「下手に詮索しようと言うのなら、こちらもそれなりに対処させてもらう。彼女の素性について……あまり聞かないでやってくれ」
「「あ、はい」」
俺が割り込んだことで、ようやく俺にも気づくと……彼らはまた萎むように態度を変え、フリットを売っていた店主に振り返れば……何故か、彼らとは違って目を輝かせていた。
「あのイツキ様が!? 私の店にご助言を!!?」
「あ、いえ。私の勝手で」
「いえいえいえ!! こんなにもはっきり言っていただける人が今までいなかったもので!! 本当にありがとうございます!!」
イツキが振り返ると、店主は彼女の手を掴んで強く振り……まだ少し正面を見ていた俺の目には……羨ましそうにしていた、集まった者らの姿があった。
(……仕方がないとは言え、これでは頻繁に足を運べば毎回同じ出来事が起きてしまう)
だが、ジェイシリアは陛下のお膝元である城下町。
生産ギルドも冒険者ギルドも、他より抜きん出て大きいから食材の需要も高い。
数少ないが、イツキがこの街に来るとイツキは故郷であるニホンと似た食材があるたびに喜ぶのだから。
彼女の笑顔などを、必要以上に奪いたくない。
しかし……今回のように、イツキのレシピなどが広まったおかげで、このように騒ぎになるのは毎回大変だ。養父である料理長も……元英雄級の冒険者だったから、結婚前後は色々大変だったそうだ。それが、養女の彼女まで功績を出したのだから、無理もない。
とりあえず、ここは解散だと俺が強く言うことで……何とか人垣からは抜け出すことが出来た。
「ほんとだ!! イツキ様がいるぞ!!?」
アボカドのフリットを扱う女性に、他にも色々イツキが助言をしていると。
昼間から、イツキが街に居るとわかっている者達が……今日の服装を見て覚えていたのか。こちらに気づくと、こぞって声を上げたのだ。
逃げるか、と俺はイツキの手を握ろうとしたが……彼女から待ったの声をかけられた。
「こんにちは。何かご用でも?」
横顔しか見えないが、イツキがイージアス城でもよく見せてくれる……あの慈愛の女神のような微笑みと柔らかい物言いで、迫って来ていた者達を停止させた。固まった、と言うのが正解かもしれないが。
「あ、あ、いや!!」
「お、俺……とかは、教えて……もらいたくて」
「なにをでしょう?」
イツキは終始微笑みを浮かべたまま。それが、注意されるよりも怒られるよりも、彼らには怯んでしまうものでしかない。
しかし、イツキは拒否をしているわけではないので、男ふたりもだがあとでやって来た者らも花がしぼむように、勢いが落ち着いていった。
「…………あ、あんたはたくさん……生産ギルドにレシピを提供してくれた」
「どれもこれも……コツを添えてくれたことで、街も賑わってきた! けど……あんたは、アレルギーとか制限がある食材も惜しみなく教えてくれた!!」
「「どうしたら、そんな知識が!!?」」
その疑問に行き着くとなれば、ただの馬鹿ではない。
しかし……言えるはずがない。イツキが違う世界からやって来た人間だと言うのは。
イツキの横顔を見ると、微笑みを浮かべたまま……軽く頷いていた。
「私の……故郷の知識です。ここからすごく遠いので、私はもう二度と帰れませんが」
「「……故郷??」」
「下手に詮索しようと言うのなら、こちらもそれなりに対処させてもらう。彼女の素性について……あまり聞かないでやってくれ」
「「あ、はい」」
俺が割り込んだことで、ようやく俺にも気づくと……彼らはまた萎むように態度を変え、フリットを売っていた店主に振り返れば……何故か、彼らとは違って目を輝かせていた。
「あのイツキ様が!? 私の店にご助言を!!?」
「あ、いえ。私の勝手で」
「いえいえいえ!! こんなにもはっきり言っていただける人が今までいなかったもので!! 本当にありがとうございます!!」
イツキが振り返ると、店主は彼女の手を掴んで強く振り……まだ少し正面を見ていた俺の目には……羨ましそうにしていた、集まった者らの姿があった。
(……仕方がないとは言え、これでは頻繁に足を運べば毎回同じ出来事が起きてしまう)
だが、ジェイシリアは陛下のお膝元である城下町。
生産ギルドも冒険者ギルドも、他より抜きん出て大きいから食材の需要も高い。
数少ないが、イツキがこの街に来るとイツキは故郷であるニホンと似た食材があるたびに喜ぶのだから。
彼女の笑顔などを、必要以上に奪いたくない。
しかし……今回のように、イツキのレシピなどが広まったおかげで、このように騒ぎになるのは毎回大変だ。養父である料理長も……元英雄級の冒険者だったから、結婚前後は色々大変だったそうだ。それが、養女の彼女まで功績を出したのだから、無理もない。
とりあえず、ここは解散だと俺が強く言うことで……何とか人垣からは抜け出すことが出来た。
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