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王妃のまかない⑨
第4話『甘辛いテリヤキピザ』
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トッピング……と言う工程をなんとかこなしたことで、あとは焼くだけと言うところまで出来た。
焼くのは……釜はまだこの簡易厨房にはないので、イツキが魔法を使って焼いてくれることになったわ。
「虚え、広がれ……響け、渡れ」
生活魔法を……以前だと苦手でいたらしいが、リュシアーノと共に宮廷魔術師から習ったことで、扱えるようになったらしい。
詠唱と共に、かざした手のひらから炎の息吹が顕れ……私が作ったピザの上を覆っていく。
チーズ、野菜にソース。
それらが適度に、焼かれていく様子を目の前で見ることが出来たので……料理はこう言う感じに出来上がっていくのかとわかってワクワクしてきたわ。
「はい。お待たせ致しました」
美味しそうに焼き上げてから……イツキはにっこりと微笑んでくれた。手を離してから見えたピザは……綺麗にチーズがとろけた具合が、とても美味しそうだった。トマトのソースもだが、初めて嗅ぐ『テリヤキ』の方も少し甘いが美味しそうな匂いだったわ。
「出来上がりはこのような感じなのね……」
「早速、陛下方にも召し上がっていただきましょう?」
「ええ」
リュシアもだが、陛下にも通達は届けてあるので……私は服を着替えてからイツキと食事を取る部屋へ共に向かうことにした。ジェラルドには申し訳ないが、よく寝ていたのとまだピザが食べられないとイツキに言われたので……メイドに頼んで子守りを任せることにした。
部屋に着くと、リュシアがすぐにこちらにやってきたわ。
「お母様! イツキ!! とっても美味しいお料理を作ったって!!」
「落ち着きなさい、リュシアーノ? 急いで来たら、転ぶわよ?」
「……はい」
ませた部分や、ネルと婚約しても……まだまだ子供の部分は多い。そこが、母親としては安心出来るし、微笑ましくは思うけれど。
とりあえず、ワゴンでイツキが運んでくれたピザをテーブルの中央に置くと、リュシアもだが陛下も目を丸くしてくださった。
「これは……なんだ?」
「ピザと言う、パンの一種だと思ってください。薄い生地の上に具材を載せて、釜などで焼いたものです」
「「……パン??」」
同じ時に声を揃えるふたりが可愛く見えたのは気のせいじゃないと思うわ。
食べた方が早いと、イツキが二種類のピザを切り分けて……私達の前に置いてくれた。それを見ても、陛下達はまだどんな味なのか想像出来ないでいたから。
なら私が……と、食べていないテリヤキの方を少し口にしてみた。
「……まあ」
甘い。少し酸っぱい。……辛いようで辛くない。
不思議な味わいだったが、コカトリスの弾力のある肉との相性も良い。土台は薄くてもちもちしているところとの相性も堪らなく……トマトのソースとはまた違った味わい。
チーズとの相性も抜群に良くて、次……次と欲しくなってしまうわ!!
「美味しいわ!!」
私を見て真似してくれたのか。リュシアもピザを食べ始めてくれた。陛下も。
「……味付けした、パンか? こう言う食べ方があるとは」
ふたりとも、切り分けた二種類ともすぐに完食してくれた。
「仕上げはヘルミーナ様が担当してくださったんですよ?」
「なに?」
「お母様が??」
「……ええ」
正直に頷くと、ふたりとも輝かんばかりの笑顔になってくれて。
それからは、さらに美味しいと口にしながら皆で全部ピザを味わうことになった。
焼くのは……釜はまだこの簡易厨房にはないので、イツキが魔法を使って焼いてくれることになったわ。
「虚え、広がれ……響け、渡れ」
生活魔法を……以前だと苦手でいたらしいが、リュシアーノと共に宮廷魔術師から習ったことで、扱えるようになったらしい。
詠唱と共に、かざした手のひらから炎の息吹が顕れ……私が作ったピザの上を覆っていく。
チーズ、野菜にソース。
それらが適度に、焼かれていく様子を目の前で見ることが出来たので……料理はこう言う感じに出来上がっていくのかとわかってワクワクしてきたわ。
「はい。お待たせ致しました」
美味しそうに焼き上げてから……イツキはにっこりと微笑んでくれた。手を離してから見えたピザは……綺麗にチーズがとろけた具合が、とても美味しそうだった。トマトのソースもだが、初めて嗅ぐ『テリヤキ』の方も少し甘いが美味しそうな匂いだったわ。
「出来上がりはこのような感じなのね……」
「早速、陛下方にも召し上がっていただきましょう?」
「ええ」
リュシアもだが、陛下にも通達は届けてあるので……私は服を着替えてからイツキと食事を取る部屋へ共に向かうことにした。ジェラルドには申し訳ないが、よく寝ていたのとまだピザが食べられないとイツキに言われたので……メイドに頼んで子守りを任せることにした。
部屋に着くと、リュシアがすぐにこちらにやってきたわ。
「お母様! イツキ!! とっても美味しいお料理を作ったって!!」
「落ち着きなさい、リュシアーノ? 急いで来たら、転ぶわよ?」
「……はい」
ませた部分や、ネルと婚約しても……まだまだ子供の部分は多い。そこが、母親としては安心出来るし、微笑ましくは思うけれど。
とりあえず、ワゴンでイツキが運んでくれたピザをテーブルの中央に置くと、リュシアもだが陛下も目を丸くしてくださった。
「これは……なんだ?」
「ピザと言う、パンの一種だと思ってください。薄い生地の上に具材を載せて、釜などで焼いたものです」
「「……パン??」」
同じ時に声を揃えるふたりが可愛く見えたのは気のせいじゃないと思うわ。
食べた方が早いと、イツキが二種類のピザを切り分けて……私達の前に置いてくれた。それを見ても、陛下達はまだどんな味なのか想像出来ないでいたから。
なら私が……と、食べていないテリヤキの方を少し口にしてみた。
「……まあ」
甘い。少し酸っぱい。……辛いようで辛くない。
不思議な味わいだったが、コカトリスの弾力のある肉との相性も良い。土台は薄くてもちもちしているところとの相性も堪らなく……トマトのソースとはまた違った味わい。
チーズとの相性も抜群に良くて、次……次と欲しくなってしまうわ!!
「美味しいわ!!」
私を見て真似してくれたのか。リュシアもピザを食べ始めてくれた。陛下も。
「……味付けした、パンか? こう言う食べ方があるとは」
ふたりとも、切り分けた二種類ともすぐに完食してくれた。
「仕上げはヘルミーナ様が担当してくださったんですよ?」
「なに?」
「お母様が??」
「……ええ」
正直に頷くと、ふたりとも輝かんばかりの笑顔になってくれて。
それからは、さらに美味しいと口にしながら皆で全部ピザを味わうことになった。
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