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王妃のまかない⑨
第2話『基本のマルゲリータ』
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ワゴンの蓋を開けると、ふわんと良い香りが部屋を包み込むような気がした。
おやつと言うよりかは、食事向きのような良い香り。
嗅いだことがあるようなないような……しかしながら、小腹が空いた今では嬉しい香りだわ。イツキが私の前に皿を持って来てくれると……テーブルに置かれたそれは、見たことがないものだった。
「……これは?」
皿とほとんど同じ大きさの、丸い何か。
ケーキのように切り込みが入れてあるわ。上に載っている白くて少し黄色いのは、チーズ?
あと、点々と散らばっている緑の野菜。
チーズらしき下には、赤いソース。香りからしてトマトのソースかしら?
それらを支えているのは?
とにかく、初めて見る料理だった。
「こちらは、ピザと言います。パンをベースにした料理のひとつですね」
「……ピザ?」
「チーズ、お野菜にトマトのソースが一般的ですが。他にも具材を変えれば色々アレンジ出来ます。今日のは一般的な具材にさせていただきました」
「……いただくわ」
おそらく、パンの料理ということは本来なら手づかみで食べるかもしれないが。これの場合はドレスの上に落としそうなので、用意されていたナイフとフォークでいただくことにした。
余程、チーズに適度な火が通っているのか。
切り込みから、さらに切り分けただけなのに……みょーんと伸びていった。チーズをこのように食べる機会がないため、驚いたが食べたい欲望に抗えず。
口に運ぶと、予想以上の味わいが口いっぱいに広がった!
(塩気……けど、パンの部分はふかふかしてる部分とカリカリしてるところがあって。ソースもほのかに甘いわ! でも……全体と調和していて、これは)
ひと口を食べると、次がまた欲しくなる味わいだ。イツキの料理は、食事でもデザートでもそう。
王族の私達が食べたことがない料理を振る舞ってくれるが……どれもこれも美味揃い。常に、私達の胃袋を掴んでしまう。
アレルギーの一件もあったが、フルコースを無くしてくれた恩人は……私達をいつも喜ばせてくれる。
まるで、世界の慈愛の女神のように。
「いかがでしょう?」
「……とても美味しいわ。これがピザなのね?」
具材を変えれば、また違う味になると言っていたが……どのような味わいになるのだろうか?
このピザからは、少しハーブの香りもしてきたが。
イツキに聞くと、喜んで答えてくれた。
「ソースもひと口にトマトだけではなく。マヨネーズやハーブを使ったもの。あと醤油を使ったものとか。具材も、少し組み合わせを変えるだけで百以上ありますね?」
「……そんなにも?」
だとしたら……これは、リュシア達も喜ぶのではないだろうか?
最近、特に勉強を頑張っているようだもの。
ここは……母として、ひとつ。イツキにこれをリュシアにもだが陛下にも振る舞うのに……私自身で作れないか提案してみた。
陛下も、いくらか作られるのなら……私もと思ったのは、少しばかりの対抗心かしら?
おやつと言うよりかは、食事向きのような良い香り。
嗅いだことがあるようなないような……しかしながら、小腹が空いた今では嬉しい香りだわ。イツキが私の前に皿を持って来てくれると……テーブルに置かれたそれは、見たことがないものだった。
「……これは?」
皿とほとんど同じ大きさの、丸い何か。
ケーキのように切り込みが入れてあるわ。上に載っている白くて少し黄色いのは、チーズ?
あと、点々と散らばっている緑の野菜。
チーズらしき下には、赤いソース。香りからしてトマトのソースかしら?
それらを支えているのは?
とにかく、初めて見る料理だった。
「こちらは、ピザと言います。パンをベースにした料理のひとつですね」
「……ピザ?」
「チーズ、お野菜にトマトのソースが一般的ですが。他にも具材を変えれば色々アレンジ出来ます。今日のは一般的な具材にさせていただきました」
「……いただくわ」
おそらく、パンの料理ということは本来なら手づかみで食べるかもしれないが。これの場合はドレスの上に落としそうなので、用意されていたナイフとフォークでいただくことにした。
余程、チーズに適度な火が通っているのか。
切り込みから、さらに切り分けただけなのに……みょーんと伸びていった。チーズをこのように食べる機会がないため、驚いたが食べたい欲望に抗えず。
口に運ぶと、予想以上の味わいが口いっぱいに広がった!
(塩気……けど、パンの部分はふかふかしてる部分とカリカリしてるところがあって。ソースもほのかに甘いわ! でも……全体と調和していて、これは)
ひと口を食べると、次がまた欲しくなる味わいだ。イツキの料理は、食事でもデザートでもそう。
王族の私達が食べたことがない料理を振る舞ってくれるが……どれもこれも美味揃い。常に、私達の胃袋を掴んでしまう。
アレルギーの一件もあったが、フルコースを無くしてくれた恩人は……私達をいつも喜ばせてくれる。
まるで、世界の慈愛の女神のように。
「いかがでしょう?」
「……とても美味しいわ。これがピザなのね?」
具材を変えれば、また違う味になると言っていたが……どのような味わいになるのだろうか?
このピザからは、少しハーブの香りもしてきたが。
イツキに聞くと、喜んで答えてくれた。
「ソースもひと口にトマトだけではなく。マヨネーズやハーブを使ったもの。あと醤油を使ったものとか。具材も、少し組み合わせを変えるだけで百以上ありますね?」
「……そんなにも?」
だとしたら……これは、リュシア達も喜ぶのではないだろうか?
最近、特に勉強を頑張っているようだもの。
ここは……母として、ひとつ。イツキにこれをリュシアにもだが陛下にも振る舞うのに……私自身で作れないか提案してみた。
陛下も、いくらか作られるのなら……私もと思ったのは、少しばかりの対抗心かしら?
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