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王女のまかない⑩
第2話『なめらか小豆アイスクリーム』①
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と言っても、作り方はあんこを仕込む以外はとても簡単だそうだ。
「まずは餡子の仕込みからです」
小豆……こっちの世界だとロッシって言うらしいけれど、一晩水に漬けておく必要はないらしい。
「小豆って、一晩漬けて置くのが一般的だと思ってたけど」
「小豆の皮は薄いんですよ。だから、水を吸って膨張し過ぎて……そこから茹でたら、余計に皮が潰れやすいんです。もちろん不正解ではありませんので、いきなり茹でなくても大丈夫ですよ? 今回は粒を残したいので、すぐに茹でる方法を使います」
「……なるほど」
現代料理での進化、と言うわけでもないらしい。イツキは日本にいた時におばあちゃんに教わったそうだ。
小豆を適度な柔らかさになるまで煮て、味付けに大量の砂糖。仕上げにほんの少しの塩。
これが出来上がるだけで、お母様が大好きな焼餅入りのお汁粉とか善哉になるんだけど。今日このあんこで作るのはアイスだ。
「この餡子を……保存袋があると揉みやすいんですが。ないので、生クリームと混ぜたらバットに流し入れて……よく均してから冷やします」
「ねえ、イツキ。私が冷やしてみたいわ」
お互い、宮廷魔術師に生活魔法から順にレベルアップして……今では、防御力を学ぶのに結界を学んだりしているが。
私の特性だと、氷魔法が得意らしい。偶然にもイツキも。
だから、冷蔵庫や冷凍庫があっても……魔法を駆使出来ることがあればやってみたくなる。
「はい。お願いしますね?」
イツキが下がってから……だいぶ背は伸びたけど、まだまだ脚立ほどではない台座が必要なので、それに乗ったら調理台には十分届いた。バットの前に手をかざして、呪文を唱える。
「凍えよ、凍てつけ。我が調べを紡ぐ」
厨二病程じゃないけど……無詠唱の方がまだまだ難しいから、詠唱はきちんとしなくてはいけない。じゃないと、魔法がきちんと発動しないのは魔術師の先生からきつく言われているのだ。この世界では、無詠唱は鍛え続けなければ上級者でも難しいそうで。
逆に、亜人族のエルフとかは別次元だとも言われたけど。
とりあえず、氷の結晶を振りかけて……バットの表面が凍ってきたら、イツキに借りた大きめのスプーンでかき混ぜてみる。もにゅっとした感触がしたわ。
「あと二回程繰り返したら、食べ頃ですね」
「……あんまり固くはならないのね?」
「今回はシャーベットではありませんからね?」
「あのかったいアイスも好きだわ」
「さすがにあれは難しいですね……」
「ふふ。大丈夫よ」
とにかく、もう二回ほど同じ工程を繰り返したら……冷蔵庫で冷やして置いたガラスの器に、イツキが綺麗に盛り付けてくれて。
それを、私が先に覚えた亜空間収納の中に入れて……ふたりでお母様のお部屋に向かったわ。
「失礼します、お母様!」
お部屋に入らせていただくと……絨毯の上で、弟のジェラルドがこっちに向かってハイハイをしていた。
「あー!!」
まだ一歳過ぎたとこだけど、歩けなくないのにジェラルドはハイハイの方が好きらしく。
私を見つけると、走るように早く、ハイハイしてきて脚につかまってきたわ。
「あら、ジェラルド」
「あうー。うー!」
「ふふ。お疲れ様、リュシアーノ。イツキも一緒と言うことは、何か作ってきたの?」
お疲れ様と言うのは、お母様が似合うくらい……ジェラルドのやんちゃぷりに顔が少し疲れていたわ……。
「まずは餡子の仕込みからです」
小豆……こっちの世界だとロッシって言うらしいけれど、一晩水に漬けておく必要はないらしい。
「小豆って、一晩漬けて置くのが一般的だと思ってたけど」
「小豆の皮は薄いんですよ。だから、水を吸って膨張し過ぎて……そこから茹でたら、余計に皮が潰れやすいんです。もちろん不正解ではありませんので、いきなり茹でなくても大丈夫ですよ? 今回は粒を残したいので、すぐに茹でる方法を使います」
「……なるほど」
現代料理での進化、と言うわけでもないらしい。イツキは日本にいた時におばあちゃんに教わったそうだ。
小豆を適度な柔らかさになるまで煮て、味付けに大量の砂糖。仕上げにほんの少しの塩。
これが出来上がるだけで、お母様が大好きな焼餅入りのお汁粉とか善哉になるんだけど。今日このあんこで作るのはアイスだ。
「この餡子を……保存袋があると揉みやすいんですが。ないので、生クリームと混ぜたらバットに流し入れて……よく均してから冷やします」
「ねえ、イツキ。私が冷やしてみたいわ」
お互い、宮廷魔術師に生活魔法から順にレベルアップして……今では、防御力を学ぶのに結界を学んだりしているが。
私の特性だと、氷魔法が得意らしい。偶然にもイツキも。
だから、冷蔵庫や冷凍庫があっても……魔法を駆使出来ることがあればやってみたくなる。
「はい。お願いしますね?」
イツキが下がってから……だいぶ背は伸びたけど、まだまだ脚立ほどではない台座が必要なので、それに乗ったら調理台には十分届いた。バットの前に手をかざして、呪文を唱える。
「凍えよ、凍てつけ。我が調べを紡ぐ」
厨二病程じゃないけど……無詠唱の方がまだまだ難しいから、詠唱はきちんとしなくてはいけない。じゃないと、魔法がきちんと発動しないのは魔術師の先生からきつく言われているのだ。この世界では、無詠唱は鍛え続けなければ上級者でも難しいそうで。
逆に、亜人族のエルフとかは別次元だとも言われたけど。
とりあえず、氷の結晶を振りかけて……バットの表面が凍ってきたら、イツキに借りた大きめのスプーンでかき混ぜてみる。もにゅっとした感触がしたわ。
「あと二回程繰り返したら、食べ頃ですね」
「……あんまり固くはならないのね?」
「今回はシャーベットではありませんからね?」
「あのかったいアイスも好きだわ」
「さすがにあれは難しいですね……」
「ふふ。大丈夫よ」
とにかく、もう二回ほど同じ工程を繰り返したら……冷蔵庫で冷やして置いたガラスの器に、イツキが綺麗に盛り付けてくれて。
それを、私が先に覚えた亜空間収納の中に入れて……ふたりでお母様のお部屋に向かったわ。
「失礼します、お母様!」
お部屋に入らせていただくと……絨毯の上で、弟のジェラルドがこっちに向かってハイハイをしていた。
「あー!!」
まだ一歳過ぎたとこだけど、歩けなくないのにジェラルドはハイハイの方が好きらしく。
私を見つけると、走るように早く、ハイハイしてきて脚につかまってきたわ。
「あら、ジェラルド」
「あうー。うー!」
「ふふ。お疲れ様、リュシアーノ。イツキも一緒と言うことは、何か作ってきたの?」
お疲れ様と言うのは、お母様が似合うくらい……ジェラルドのやんちゃぷりに顔が少し疲れていたわ……。
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