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騎士のまかない⑲
第2話 紅葉デート
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デート当日。
イツキがまた弁当を用意してくれたので、それは俺の亜空間収納に入れておく。転移方陣で途中まで移動して、コーヨーを見に行く先には馬で行くことになったが。
「の、乗るの……ですか?」
そういえば、乗馬が初めてだったイツキには馬に乗るのが怖いのだろう。ぷるぷると愛らしく震えていた。
「だ、大丈夫だぞイツキ? 俺がいる」
「アーネストさんのことは、信頼してます! けど……お馬さんに不安を与えてしまうかと思うと」
「はは。大丈夫ですよ、お嬢さん。この馬は気性が穏やかですから」
馬借の男が優しく言えば、イツキは少し緊張がほぐれたのか……ゆっくりと俺の隣に立った。なので、ゆっくりと馬の背に抱き上げる形で乗せてやったのだ。
「わ!?」
「大丈夫だ。俺が絶対落とさない」
俺もすぐに飛び乗ってから、手綱を握り……馬借に帰りの時刻をだいたい告げて、ゆっくりと馬を動かした。
「ゆ、揺れる!?」
それは当然なのだが、やはり初めてだと色々不安と新鮮さが入り混じっているのだろう。俺も、初めて馬に乗せてもらった時はそんな感じだった気がする。
しばらくして、イツキも乗馬に慣れてきた頃には……イツキから教わった通りに、あちこちの樹々が赤かったり黄色になっているのが見えてきた。
「イツキ、君が言っていたように……美しくコーヨーしているぞ?」
「え?…………わぁ」
俺が軽く肩を叩いたことで、イツキは少し前を見れたようだ。美しい樹々の風景に、春先の花見でもあったのと同じかそれ以上……イツキは顔を輝かせているのだろう。まだ馬を操っているので、よく見えないが。
(……なかなかに、美しいな?)
秋の景観など、これまで特に気にも留めていなかった。
それが今では……愛する女性と一緒であることで、違った見方をすることが出来る。こんなにも、素晴らしいデートはないのでは!? と俺は感動しかけた。
とある事態に悩まされるまでは。
「うぇっぷ!?」
「く……これは!?」
そろそろ降りて、イツキの特製の弁当を食べようとした時に。
コーヨーは相変わらず美しいのだが、それを台無しにするほどの……酷い悪臭が俺とイツキを襲ってきたのだ!!?
周囲を警戒しても、馬も特に反応しない……どう言うことだ?
「あ、大丈夫ですよ。アーネストさん」
先に降りて、俺が剣を構えていると……イツキが鼻を押さえながら手を横に振った。
「……大丈夫?」
「この匂い……魔物じゃなくて、植物です」
「植物??」
なら、植物に似せた魔物かと俺が口にしてもイツキが違うと首を横に振った。
「嗅ぎ覚えがあるんです。日本でも同じ『食べ物』だったので」
「……この臭いがか??」
どう考えても、食べ物の臭いに思えない。
とりあえず、イツキはそこに行きたいと俺に馬から降ろしてくれと頼んできた。
イツキがまた弁当を用意してくれたので、それは俺の亜空間収納に入れておく。転移方陣で途中まで移動して、コーヨーを見に行く先には馬で行くことになったが。
「の、乗るの……ですか?」
そういえば、乗馬が初めてだったイツキには馬に乗るのが怖いのだろう。ぷるぷると愛らしく震えていた。
「だ、大丈夫だぞイツキ? 俺がいる」
「アーネストさんのことは、信頼してます! けど……お馬さんに不安を与えてしまうかと思うと」
「はは。大丈夫ですよ、お嬢さん。この馬は気性が穏やかですから」
馬借の男が優しく言えば、イツキは少し緊張がほぐれたのか……ゆっくりと俺の隣に立った。なので、ゆっくりと馬の背に抱き上げる形で乗せてやったのだ。
「わ!?」
「大丈夫だ。俺が絶対落とさない」
俺もすぐに飛び乗ってから、手綱を握り……馬借に帰りの時刻をだいたい告げて、ゆっくりと馬を動かした。
「ゆ、揺れる!?」
それは当然なのだが、やはり初めてだと色々不安と新鮮さが入り混じっているのだろう。俺も、初めて馬に乗せてもらった時はそんな感じだった気がする。
しばらくして、イツキも乗馬に慣れてきた頃には……イツキから教わった通りに、あちこちの樹々が赤かったり黄色になっているのが見えてきた。
「イツキ、君が言っていたように……美しくコーヨーしているぞ?」
「え?…………わぁ」
俺が軽く肩を叩いたことで、イツキは少し前を見れたようだ。美しい樹々の風景に、春先の花見でもあったのと同じかそれ以上……イツキは顔を輝かせているのだろう。まだ馬を操っているので、よく見えないが。
(……なかなかに、美しいな?)
秋の景観など、これまで特に気にも留めていなかった。
それが今では……愛する女性と一緒であることで、違った見方をすることが出来る。こんなにも、素晴らしいデートはないのでは!? と俺は感動しかけた。
とある事態に悩まされるまでは。
「うぇっぷ!?」
「く……これは!?」
そろそろ降りて、イツキの特製の弁当を食べようとした時に。
コーヨーは相変わらず美しいのだが、それを台無しにするほどの……酷い悪臭が俺とイツキを襲ってきたのだ!!?
周囲を警戒しても、馬も特に反応しない……どう言うことだ?
「あ、大丈夫ですよ。アーネストさん」
先に降りて、俺が剣を構えていると……イツキが鼻を押さえながら手を横に振った。
「……大丈夫?」
「この匂い……魔物じゃなくて、植物です」
「植物??」
なら、植物に似せた魔物かと俺が口にしてもイツキが違うと首を横に振った。
「嗅ぎ覚えがあるんです。日本でも同じ『食べ物』だったので」
「……この臭いがか??」
どう考えても、食べ物の臭いに思えない。
とりあえず、イツキはそこに行きたいと俺に馬から降ろしてくれと頼んできた。
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