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まかない婦のまかない⑧
第4話『献上、手毬寿司』
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だから……私は知ってしまった事実を、自分の胸に留めておくことにした。
リュシアーノ様の方だ。アーネストさんへは、信じてもらえるかわからないけれど。
「ところで……それ、お寿司?」
ライラさんが、私が晒し布を被せていた寿司桶に……興味を持ってくださったようだ。
「はい……。今日のまかないの試食をアーネストさんへお願いするのに、ですが」
「横にあるのは……ワサビね?」
「はい」
もしかして、召し上がりたいのかな……と顔を見ると、美少女顔が輝いていた。やっぱり、食べたいみたいようだ。アーネストさんはまだ来ないし……せっかくだから、少し振る舞うか……と、酢飯の桶を手元に寄せた。
冷蔵庫からは、用意しておいたネタを持ってきて……これにも晒し布を被せていたので、乾燥は大丈夫だった。
握ると言うのはあんまり出来ないので、作るのは手毬寿司だ。
細長いシャリじゃなくて、小さめの丸いおむすびのような形に。その上に、内側にはほんのちょっとだけすりおろしたワサビを少し付けたネタを。
ネタを載せて、軽くぎゅぎゅっと握って。ネタがサーモンを使ったので……これまた、コルトさんがお土産にと持ってきてくださった『キャビア』を少々添えて。
これを、二、三個作ったら、陶器のお皿に載せていく。別の小皿には、ワサビ少々とお醤油も入れました。
「まあ、可愛らしい!」
「家庭の作り方ですが」
「そんなことないわよ?」
「あ、お箸出しますね?」
「お寿司だから手で大丈夫。いただきます」
ライラさんは綺麗に手を合わせてから……サーモンの手毬寿司をゆっくりと持ち上げた。綺麗な白い指に、サーモンの手毬寿司がよく映える。うふふ、とまた微笑んでから……ちょんちょんとワサビ醤油の小皿につけて。ひと口では頬張れないので、半分くらいを。
もぐもぐと食べてくださる表情はかわいらしく見えた。
「……いかがでしょう?」
酢飯は味見したとは言え、サーモンとはまだ食べていなかった。ちょっとだけ心配になったが、ライラさんは首を縦に強く振ってくださった。
「すっごく美味しいわ! キャビアもワサビもいい仕事をしている……酢飯の固さも味も絶妙ね!! 兄様の世界の代表料理がここで食べられるだなんて!!」
「お兄さん……ですか?」
「各世界の神々は、私にとっては兄弟神なのよ。ちなみに、旦那さんも兄弟だったの」
日本史とか世界神話でも……兄妹で結婚される神様がいらっしゃったから、不思議……ではないよね??
ライラさんは、お出しした手毬寿司を全部食べ終わってから……私の額に、軽く指を添えた。
「ライラさん?」
「あなたの不安は、私にも届いた。けど、アーネストもあの子なりの考えがあるそうよ? ふたりでしっかり話し合いなさい??」
「え?」
ツン、と額に触られた後……私は覚えがなかった。
気がついたら、床に倒れてて……アーネストさんが起こしてくださるまで眠っていたらしい。アーネストさんには、めちゃくちゃ心配をかけてしまったが。
「大丈夫か! イツキ!」
「だ……じょぶ、です。私……」
「ノックしても返事がなかったが……誰か、先客がいたのか? 食べ終わった跡があったが?」
「え?」
そう言われたが、私にはさっぱり覚えがなくて……。
起き上がって、調理台を見ても……用意した覚えのない包丁セットと、手毬寿司を振る舞った後の皿が置かれていたのだった。
リュシアーノ様の方だ。アーネストさんへは、信じてもらえるかわからないけれど。
「ところで……それ、お寿司?」
ライラさんが、私が晒し布を被せていた寿司桶に……興味を持ってくださったようだ。
「はい……。今日のまかないの試食をアーネストさんへお願いするのに、ですが」
「横にあるのは……ワサビね?」
「はい」
もしかして、召し上がりたいのかな……と顔を見ると、美少女顔が輝いていた。やっぱり、食べたいみたいようだ。アーネストさんはまだ来ないし……せっかくだから、少し振る舞うか……と、酢飯の桶を手元に寄せた。
冷蔵庫からは、用意しておいたネタを持ってきて……これにも晒し布を被せていたので、乾燥は大丈夫だった。
握ると言うのはあんまり出来ないので、作るのは手毬寿司だ。
細長いシャリじゃなくて、小さめの丸いおむすびのような形に。その上に、内側にはほんのちょっとだけすりおろしたワサビを少し付けたネタを。
ネタを載せて、軽くぎゅぎゅっと握って。ネタがサーモンを使ったので……これまた、コルトさんがお土産にと持ってきてくださった『キャビア』を少々添えて。
これを、二、三個作ったら、陶器のお皿に載せていく。別の小皿には、ワサビ少々とお醤油も入れました。
「まあ、可愛らしい!」
「家庭の作り方ですが」
「そんなことないわよ?」
「あ、お箸出しますね?」
「お寿司だから手で大丈夫。いただきます」
ライラさんは綺麗に手を合わせてから……サーモンの手毬寿司をゆっくりと持ち上げた。綺麗な白い指に、サーモンの手毬寿司がよく映える。うふふ、とまた微笑んでから……ちょんちょんとワサビ醤油の小皿につけて。ひと口では頬張れないので、半分くらいを。
もぐもぐと食べてくださる表情はかわいらしく見えた。
「……いかがでしょう?」
酢飯は味見したとは言え、サーモンとはまだ食べていなかった。ちょっとだけ心配になったが、ライラさんは首を縦に強く振ってくださった。
「すっごく美味しいわ! キャビアもワサビもいい仕事をしている……酢飯の固さも味も絶妙ね!! 兄様の世界の代表料理がここで食べられるだなんて!!」
「お兄さん……ですか?」
「各世界の神々は、私にとっては兄弟神なのよ。ちなみに、旦那さんも兄弟だったの」
日本史とか世界神話でも……兄妹で結婚される神様がいらっしゃったから、不思議……ではないよね??
ライラさんは、お出しした手毬寿司を全部食べ終わってから……私の額に、軽く指を添えた。
「ライラさん?」
「あなたの不安は、私にも届いた。けど、アーネストもあの子なりの考えがあるそうよ? ふたりでしっかり話し合いなさい??」
「え?」
ツン、と額に触られた後……私は覚えがなかった。
気がついたら、床に倒れてて……アーネストさんが起こしてくださるまで眠っていたらしい。アーネストさんには、めちゃくちゃ心配をかけてしまったが。
「大丈夫か! イツキ!」
「だ……じょぶ、です。私……」
「ノックしても返事がなかったが……誰か、先客がいたのか? 食べ終わった跡があったが?」
「え?」
そう言われたが、私にはさっぱり覚えがなくて……。
起き上がって、調理台を見ても……用意した覚えのない包丁セットと、手毬寿司を振る舞った後の皿が置かれていたのだった。
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