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冒険者のまかない⑧

第3話 キウイフルーツ二種

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 イツキはんは、ペティナイフを使ってスルスルと言う感じに……キウイフルーツの皮を剥いていく。食いもんに見えない茶色の皮の下には、自分が食ったのと同じ綺麗な緑色が出てきた。

 皮を剥き終わり、まな板の上で薄く切ったそれを……イツキはんは渡してきた。

 自分は受け取ったら、ちょぉ躊躇ったが口に入れてみた。


「酸っぱ!? のに……ちょぉ甘い」

「もっと熟成したキウイがあればよかったんですが、今日はこれくらいしかなかったので」

「? これも甘くなるん?」

「はい。品種にあればいいんですが、黄色のものも向こうにはあって……そっちの方が甘くて美味しいんです」

「ほーん? 見分けは?」

「皮の表面がもう少しツルツルで、うっすら黄色いんです。名前も黄色以上に黄金にも見えるので、向こうではゴールデンキウイとも呼ばれていました」

「……派手やなあ?」


 せやけど、この緑色のより……断然に甘いのなら、サフィアにも食わせてやりたい。

 イツキはんに、こっちの仕入れはどこで見つけたのか聞くと。


「ジェイシリアの市場で……この間、アーネストさんと行った時に、格安で売ってたんです。そこの店主さんが言うには、庭で大量に実ったから試験的に売り出したと」

「……市場に行けば、か」

「キウイの成り方は独特ですからね? 最初は食べられるものだとは思えませんから」

「どんなん?」

「品種にもよりますが、枝にこの実がぎっしりと」

「……そりゃ、店主も思い切ったことするなあ?」


 だが、目処がたったのは嬉しかったわ。

 次の休みん時に、転移方陣を使ってジェイシリアに行き……市場に行く前にまず、生産ギルドに行った。かなり久しぶりに来たけど、受付の姉ちゃんとかは俺を覚えとった。一応、冒険者卒業しても、近衛騎士団の第一部隊隊長やし?


「お久しぶりです! 今日はどうされました?」

「おん、キウイフルーツ言うの扱っとらん?」

「あれ? どちらでそれを……あ、そっか。お城にはイツキさんがいらっしゃいますもんね?」

「おん。結構美味かったんやけど……黄色のとか無い?」

「おお! ちょうど、生産者の方から納品があったんですよ!!」


 姉ちゃんが奥から持ってきてくれたんは……たしかに、イツキはんが言ってた黄色っぽいけど、少しツルツルした茶色の皮。

 まだこれからギルマスらと試食するところだったとかで、自分も参加させてもらうことになったわ。


「「「「「あま~~い!!」」」」」

「想像以上に甘いし、ええ酸っぱさや」


 断面も黄金だとイツキはんが言ってたように綺麗なもんやし……これなら、サフィアでも食べやすいんやろうな……と、ギルマスに交渉して多めに買ってから城に戻った。
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