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国王のまかない⑦

第4話 息子の食欲

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 オモユの器をジェラルドの前に持っていくと……ジェラルドは興味があるのか、首を横に傾けた。

 姉のリュシアーノに似た、少し巻き毛に近い金髪を揺らして……俺が器を簡易テーブルの上に置くと、手を突っ込もうとしたので慌てて持ち上げた。


「いかんぞ、ジェラルド!? 火傷の心配はないが手が汚れる!!」

「……あぶ?」

「……今、食べ出せてやるから」

「うー!」


 言っていることがわかったのか、今日のジェラルドは手足をバタバタさせるだけだった。

 イツキとヘルミーナに目配せすれば……ふたりには何度か頷かれた。


(……これを逃せば、俺はさらにジェラルドから苦手にされるだろう)


 一緒に持ってきた小さめのスプーンで、オモユをすくい……ジェラルドに近づけさせてやる。他の食事の様子は何度か見たが、このオモユを受け入れてくれるだろうか?

 ゆっくりゆっくりスプーンを近づけさせ……小さな口に当てれば、あむっと言う具合にスプーンにかぶりついた!?


「まあ!」

「やりました!」

「……食べた」


 ジェラルドが食べてくれた!?

 俺がスプーンを外すと、少しこぼれた部分を俺がよだれ掛けで拭いてやったが……嫌がる素振りはなかった。もう一度……とオモユを与えると、然程味はないだろうに口にしてくれたのだ!?


「うーあうー!」


 ただ、いきなり食べさせ過ぎは良くないだろうと……俺は半分くらい与えてから、ジェラルドを抱き上げてみた。すると、機嫌が良いのか泣くことはなかった。


「……美味かったか?」

「う!!」

「……また、食べてくれるか?」

「あう!!」

「……そうか」


 ほんの小さなきっかけだったが……ヘルミーナと見守ってくれている、イツキはやはり素晴らしい知識を教えてくれた。

 リーゾの需要が……西方大陸の食の需要を変えるだけでなく、赤児にも有効的だったとは。

 俺を救ってくれただけでなく、ジェラルドも助けてくれたのだ!!

 今も笑顔で俺に抱き上げられているし、頬に頬擦りしても嫌がる素振りを見せない。


「うー!!」


 ただ、頬擦りし過ぎて……少し嫌がられたりはしたが。

 その後に来たリュシアーノにも、オモユを教えると『やったわ!』と言われ……それから、時々だが俺がジェラルドのオモユを作ることで……ジェラルドとの交流時間を設けることにした。


「健やかに、大きくなるのだぞ?」

「う!!」


 次の離乳食とやらを、イツキや医師らの許可を得て学ばねば……と思わずにいられない。

 王族が……と他国には思われるだろうが、俺は俺だと強く思うことにした。
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