276 / 782
まかない婦のまかない⑦
第4話 異世界でスイカ割り
しおりを挟む
かき氷とスイカのフルーツポンチは、エリオさんに言ったように……リュシアーノ様もだが、陛下方にも召し上がっていただきたいので。
バーベキュー会場と同じ、離宮の一部を使って……調理する料理長を含め、親しい人達と一緒にすることになりました。
もちろん。リュシアーノ様の婚約者であるネルヴィスさんもご一緒なので、私の婚約者さんであるアーネストさんも!!
せっかくの夏の風物詩ということで、人が大勢の方が楽しいですから!!
「スイカを……割る??」
「そう言う遊びがあるんです」
かき氷とフルーツポンチはいつでも食べれるようにスタンバイしてあるので……せっかくだからと、キンキンに冷やした真四角のスイカでスイカ割りをしようと提案させていただきました。
手拭いより長めの布、棒は槍稽古用の先端に丸いバチがついたようなもので代用。
トップバッターは……何故か陛下に。
「何も見えんな?」
それは当然なので、私がさくっと説明させていただきます。
「行動者はその場で十回ほど回りまして……方向がわからなくなったら、私達が行動者に行き先を指示させていただきます。スイカの前に立ったら、思いっきり棒を打ち付けてください」
「なるほど。気配察知の訓練に近いな?」
いえ、そう言うことでは。
ただ、陛下もどうやら稽古などはされているようなので、やる気満々のご様子だ。
「お父様ー、頑張ってー!」
リュシアーノ様の応援があってから、競技開始と言うことになり……陛下は私の説明通りにくるくるとその場で回り出した。
「……む。これは結構ふらつくな?」
と、言いつつも足取りはしっかりしていらっしゃるような?
「リュカルド、そこから真っ直ぐ進め」
そして、料理長はわざとこちらに来るように指示を出したのですが……陛下もわかっていらっしゃるのか、ちゃんとスイカの方向に足を向けていた。
「あ、おい!?」
「お前の魂胆はよくわかっている。どうせ、阿呆なことをさせようとしているのだろう?」
「ちっ!」
「陛下~! 少し右ですわ!」
「そのまま真っ直ぐよー!!」
「わかった」
いえ、陛下?
ヘルミーナ様達もわざと違う方向に行かせて……ああ、そちらは茂み!?
で、結果的に茂みに激突……。
「ふふ!」
「私達の指示とは言え、本当に……!」
「……お前達!」
なので、次にネルヴィスさんとかではなく、リュシアーノ様がやりたいとおっしゃったんですが。
指示はネルヴィスさんが頑張ってくださっても、九歳になったリュシアーノ様ではまだ固いスイカは棒でも壊れませんでした。
その後は、ネルヴィスさんが軍人さんらしい足捌きでささっと割ってくださり……かき氷もフルーツポンチもですが、スイカの本当の美味しさを知っていただけたので大好評で終わりました。
さらに、片付けの後に……アーネストさんから、バレンタインのお返しだと素敵なネックレスのチェーンをいただいた。いつもはつけている婚約指輪を外す時などに使ってほしいと。
実は、お養母さんと一緒に選んだらしく……可愛らしいトップスも付いてて、普段使いにもとても良さげで。お風呂に入る以外はいつも身につけておくことにしたのだった。
バーベキュー会場と同じ、離宮の一部を使って……調理する料理長を含め、親しい人達と一緒にすることになりました。
もちろん。リュシアーノ様の婚約者であるネルヴィスさんもご一緒なので、私の婚約者さんであるアーネストさんも!!
せっかくの夏の風物詩ということで、人が大勢の方が楽しいですから!!
「スイカを……割る??」
「そう言う遊びがあるんです」
かき氷とフルーツポンチはいつでも食べれるようにスタンバイしてあるので……せっかくだからと、キンキンに冷やした真四角のスイカでスイカ割りをしようと提案させていただきました。
手拭いより長めの布、棒は槍稽古用の先端に丸いバチがついたようなもので代用。
トップバッターは……何故か陛下に。
「何も見えんな?」
それは当然なので、私がさくっと説明させていただきます。
「行動者はその場で十回ほど回りまして……方向がわからなくなったら、私達が行動者に行き先を指示させていただきます。スイカの前に立ったら、思いっきり棒を打ち付けてください」
「なるほど。気配察知の訓練に近いな?」
いえ、そう言うことでは。
ただ、陛下もどうやら稽古などはされているようなので、やる気満々のご様子だ。
「お父様ー、頑張ってー!」
リュシアーノ様の応援があってから、競技開始と言うことになり……陛下は私の説明通りにくるくるとその場で回り出した。
「……む。これは結構ふらつくな?」
と、言いつつも足取りはしっかりしていらっしゃるような?
「リュカルド、そこから真っ直ぐ進め」
そして、料理長はわざとこちらに来るように指示を出したのですが……陛下もわかっていらっしゃるのか、ちゃんとスイカの方向に足を向けていた。
「あ、おい!?」
「お前の魂胆はよくわかっている。どうせ、阿呆なことをさせようとしているのだろう?」
「ちっ!」
「陛下~! 少し右ですわ!」
「そのまま真っ直ぐよー!!」
「わかった」
いえ、陛下?
ヘルミーナ様達もわざと違う方向に行かせて……ああ、そちらは茂み!?
で、結果的に茂みに激突……。
「ふふ!」
「私達の指示とは言え、本当に……!」
「……お前達!」
なので、次にネルヴィスさんとかではなく、リュシアーノ様がやりたいとおっしゃったんですが。
指示はネルヴィスさんが頑張ってくださっても、九歳になったリュシアーノ様ではまだ固いスイカは棒でも壊れませんでした。
その後は、ネルヴィスさんが軍人さんらしい足捌きでささっと割ってくださり……かき氷もフルーツポンチもですが、スイカの本当の美味しさを知っていただけたので大好評で終わりました。
さらに、片付けの後に……アーネストさんから、バレンタインのお返しだと素敵なネックレスのチェーンをいただいた。いつもはつけている婚約指輪を外す時などに使ってほしいと。
実は、お養母さんと一緒に選んだらしく……可愛らしいトップスも付いてて、普段使いにもとても良さげで。お風呂に入る以外はいつも身につけておくことにしたのだった。
24
お気に入りに追加
5,508
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界で小料理屋さんを自由気ままに営業する〜おっかなびっくり魔物ジビエ料理の数々〜
櫛田こころ
ファンタジー
料理人の人生を絶たれた。
和食料理人である女性の秋吉宏香(あきよしひろか)は、ひき逃げ事故に遭ったのだ。
命には関わらなかったが、生き甲斐となっていた料理人にとって大事な利き腕の神経が切れてしまい、不随までの重傷を負う。
さすがに勤め先を続けるわけにもいかず、辞めて公園で途方に暮れていると……女神に請われ、異世界転移をすることに。
腕の障害をリセットされたため、新たな料理人としての人生をスタートさせようとした時に、尾が二又に別れた猫が……ジビエに似た魔物を狩っていたところに遭遇。
料理人としての再スタートの機会を得た女性と、猟りの腕前はプロ級の猫又ぽい魔物との飯テロスローライフが始まる!!
おっかなびっくり料理の小料理屋さんの料理を召し上がれ?
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します
黒木 楓
恋愛
隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。
どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。
巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。
転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。
そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。
異世界でお取り寄せ生活
マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。
突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。
貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。
意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。
貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!?
そんな感じの話です。
のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。
※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。
アラフォー料理人が始める異世界スローライフ
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
ある日突然、異世界転移してしまった料理人のタツマ。
わけもわからないまま、異世界で生活を送り……次第に自分のやりたいこと、したかったことを思い出す。
それは料理を通して皆を笑顔にすること、自分がしてもらったように貧しい子達にお腹いっぱいになって貰うことだった。
男は異世界にて、フェンリルや仲間たちと共に穏やかなに過ごしていく。
いずれ、最強の料理人と呼ばれるその日まで。
【完結】転生少女は異世界でお店を始めたい
梅丸
ファンタジー
せっかく40代目前にして夢だった喫茶店オープンに漕ぎ着けたと言うのに事故に遭い呆気なく命を落としてしまった私。女神様が管理する異世界に転生させてもらい夢を実現するために奮闘するのだが、この世界には無いものが多すぎる! 創造魔法と言う女神様から授かった恩寵と前世の料理レシピを駆使して色々作りながら頑張る私だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。