王宮まかない料理番は偉大 見習いですが、とっておきのレシピで心もお腹も満たします

隊長のまかない⑦

第4話『未知な卵かけご飯』②

　しかし、これは。

　愛しいと想い続けてきた、リュシアーノ様が絶賛される程の美味なる逸品。

　それを婚約者である僕に勧めてくださったんです。せっかくなので、食べてみなくては！！


「……では、いただいてみます」


　かけるところまで、イツキに作っていただいたので……僕は口にするのみ。

　リュシアーノ様は食べ終えていらっしゃったので……とてもキラキラとピンクの瞳を宝石のように輝かせていらっしゃいました。僕が美味しいと言うかはわかりませんが、是非食べて欲しいと言わんばかりに。

　ゆっくりと、すくい上げてみると……卵をまとった米リーゾはまるで黄金色のように見えました。そのことで、少し偏見意識が薄れたのか……僕はもう、スプーンを口に運んでいました。


「……どーう？　ネル？」


　リュシアーノ様は、僕が口に入れた後の反応を見て、笑みを深めていらっしゃいました。


「これは……！」


　なんて、まろやかで濃厚で。

　それでいて、食べやすい米リーゾなのでしょう！？

　たしかに、先入観を持ち過ぎるとゲテモノを食べているような感覚かもしれませんが。この卵かけはそうではありませんでした！！


(お粥とかではありませんが……サラッと食べられて、すぐに胃に溜まっていきます！！)


　味付けはショーユだけですのに、ショーユの複雑な味わいだけで卵に適度な塩気を加えて……これは、美味しいです！！

　思わず、リュシアーノ様の前だと言うのに、器を持ってがっついてしまう程でした！！


「ふふ！　麗しのネルヴィスが卵かけご飯の虜になってしまったわね！」

「味を知ってしまうと、男女や種族問わず美味しいですから」

「ねぇ、イツキ？　これのお供に出来そうなものってあるかしら？？」

「そうですね？　冷凍してある明太子や生タラコ。あと、お弁当のおにぎり用に作ったしゃけフレークとか」

「お願い！！」

「……さらに美味しくなるのですか！！？」


　あっという間に、一杯を空にしてしまった僕は……リュシアーノ様と一緒に、今度は米リーゾと相性の良い『おかず』と共に……さらに、二杯も卵かけご飯を平らげてしまいました。


「生食を全体的に受け入れられたら……いくらもいずれは作ってみたいですねぇ？」

「イツキ、それはよだれ必須よ！！」


　ホウジ茶でひと息つく時に……イツキがまた新しい卵の知識を教えてくださり……リュシアーノ様が喜ぶとわかれば、僕はその『シャケの卵』の時期になったら仕入れてみることを決意しました！！

　しかしながら、あのメンタイコと言うのがパスタ以外に、米リーゾととても合うとは思いもよらなかったです。

　義兄上……将来的には、義父上ですが。陛下が料理長のために仕込んだと言う珍味も合うとは見事でした。そのイクラと言うのは……リュシアーノ様方のお話だと、米リーゾに大変合う食材のようです。

　時期までまだ数ヶ月ありますが、楽しみになってきました！！