259 / 782
上級冒険者のまかない
第3話 義息子とのお茶会
しおりを挟む
まあ、女同士の特権は置いておくとして。
あーくんからは、どんどんいっちゃんとの馴れ初めを話してくれたから、聞くことにした。
「俺の疲れ切った胃袋を落ち着かせてくれて……下手をすれば、料理長以上の腕前です。彼女は今は公表されていますが、特級料理人なので」
「私もあのパーティー以外だと、最初にアンマンとか食べただけだけど……めちゃくちゃ美味しかった!」
東方大陸への遠征先で食べた、オマンジュウと比べ物にならないくらいに。
ふかふかで、熱くて。
けど、外側もだけど、中も優しい甘さでちょうど良くて。
あれはもう二個くらい食べたかった……! 思い出すと、今でも食べたくなるけど……今行っても、シューくんに怒られそう~……。
「はい! 彼女の料理はどれもが絶品揃い!! 俺は最初の試食がきっかけで、イツキのまかないを口に出来ていますが……毎回驚いてしまいます」
「いいな~……! お義母さんとしては、もっと養女のご飯食べたーい!!」
「……定期的に会いに行かれては??」
「あんまり行き過ぎると、シューくんに怒られるの~」
私は冒険者だから、外見以上の食事量を必要とする。
子供の時はともかく、学園を卒業してからシューくんと一緒に冒険者になって……シューくんがイージアス城の料理人の道を選んでからは、ひとりで頑張ってきた。
時々、ひとりが寂しく感じて……ついつい、たくさん食べてしまう。やけ食いだと思われるかもだけど。
「……料理長が怒ると、大変そうですね」
「シューくんが料理長になってからは、特に怒られるからぁ」
「……なるほど」
半年前くらいは、いっちゃんに会いに行くって理由をつけて行ったけど……そこから、シューくんと婚約したし。けど、また最近までは何度か遠征に行ったりと忙しかった。
私は料理とかが、破滅的にダメだし……後継を育てないと、イージアス国の魔物討伐が出来る冒険者達のためにならないからだ。
もし、仮に私が引退したら……シューくんの時ほどじゃなくても大騒ぎされるだろうから。あの時に、当時はB級だったけど今は近衛騎士の一番隊長でもある、レクサスことれっくんも抜けちゃったから……本当に大変だった。
ギルドとかが混乱しないためにも、私ほどじゃなくてもA級冒険者は何人も出来るように育てなくちゃいけない。
「けど……料理も出来たらなあ? シューくんやいっちゃんを手伝えたのに」
冒険者の仕事も楽しいが、ふたりの近くにいることも同じくらい楽しそうではあった。
「…………出来ないんでしたっけ??」
「…………ダンジョンの罠出来上がるような感じに」
「…………やめておいた方がいいですね」
「うん、だから」
シューくんのだけど、いっちゃんをとても大事にしてほしい。
それをお願いすれば、あーくんはいっちゃんが喜びそうなくらいに、とてもいい笑顔になった。
あーくんからは、どんどんいっちゃんとの馴れ初めを話してくれたから、聞くことにした。
「俺の疲れ切った胃袋を落ち着かせてくれて……下手をすれば、料理長以上の腕前です。彼女は今は公表されていますが、特級料理人なので」
「私もあのパーティー以外だと、最初にアンマンとか食べただけだけど……めちゃくちゃ美味しかった!」
東方大陸への遠征先で食べた、オマンジュウと比べ物にならないくらいに。
ふかふかで、熱くて。
けど、外側もだけど、中も優しい甘さでちょうど良くて。
あれはもう二個くらい食べたかった……! 思い出すと、今でも食べたくなるけど……今行っても、シューくんに怒られそう~……。
「はい! 彼女の料理はどれもが絶品揃い!! 俺は最初の試食がきっかけで、イツキのまかないを口に出来ていますが……毎回驚いてしまいます」
「いいな~……! お義母さんとしては、もっと養女のご飯食べたーい!!」
「……定期的に会いに行かれては??」
「あんまり行き過ぎると、シューくんに怒られるの~」
私は冒険者だから、外見以上の食事量を必要とする。
子供の時はともかく、学園を卒業してからシューくんと一緒に冒険者になって……シューくんがイージアス城の料理人の道を選んでからは、ひとりで頑張ってきた。
時々、ひとりが寂しく感じて……ついつい、たくさん食べてしまう。やけ食いだと思われるかもだけど。
「……料理長が怒ると、大変そうですね」
「シューくんが料理長になってからは、特に怒られるからぁ」
「……なるほど」
半年前くらいは、いっちゃんに会いに行くって理由をつけて行ったけど……そこから、シューくんと婚約したし。けど、また最近までは何度か遠征に行ったりと忙しかった。
私は料理とかが、破滅的にダメだし……後継を育てないと、イージアス国の魔物討伐が出来る冒険者達のためにならないからだ。
もし、仮に私が引退したら……シューくんの時ほどじゃなくても大騒ぎされるだろうから。あの時に、当時はB級だったけど今は近衛騎士の一番隊長でもある、レクサスことれっくんも抜けちゃったから……本当に大変だった。
ギルドとかが混乱しないためにも、私ほどじゃなくてもA級冒険者は何人も出来るように育てなくちゃいけない。
「けど……料理も出来たらなあ? シューくんやいっちゃんを手伝えたのに」
冒険者の仕事も楽しいが、ふたりの近くにいることも同じくらい楽しそうではあった。
「…………出来ないんでしたっけ??」
「…………ダンジョンの罠出来上がるような感じに」
「…………やめておいた方がいいですね」
「うん、だから」
シューくんのだけど、いっちゃんをとても大事にしてほしい。
それをお願いすれば、あーくんはいっちゃんが喜びそうなくらいに、とてもいい笑顔になった。
25
お気に入りに追加
5,508
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界で小料理屋さんを自由気ままに営業する〜おっかなびっくり魔物ジビエ料理の数々〜
櫛田こころ
ファンタジー
料理人の人生を絶たれた。
和食料理人である女性の秋吉宏香(あきよしひろか)は、ひき逃げ事故に遭ったのだ。
命には関わらなかったが、生き甲斐となっていた料理人にとって大事な利き腕の神経が切れてしまい、不随までの重傷を負う。
さすがに勤め先を続けるわけにもいかず、辞めて公園で途方に暮れていると……女神に請われ、異世界転移をすることに。
腕の障害をリセットされたため、新たな料理人としての人生をスタートさせようとした時に、尾が二又に別れた猫が……ジビエに似た魔物を狩っていたところに遭遇。
料理人としての再スタートの機会を得た女性と、猟りの腕前はプロ級の猫又ぽい魔物との飯テロスローライフが始まる!!
おっかなびっくり料理の小料理屋さんの料理を召し上がれ?
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
異世界で農業をやろうとしたら雪山に放り出されました。
マーチ・メイ
ファンタジー
異世界召喚に巻き込まれたサラリーマンが異世界でスローライフ。
女神からアイテム貰って意気揚々と行った先はまさかの雪山でした。
※当分主人公以外人は出てきません。3か月は確実に出てきません。
修行パートや縛りゲーが好きな方向けです。湿度や温度管理、土のphや連作、肥料までは加味しません。
雪山設定なので害虫も病気もありません。遺伝子組み換えなんかも出てきません。完璧にご都合主義です。魔法チート有りで本格的な農業ではありません。
更新も不定期になります。
※小説家になろうと同じ内容を公開してます。
週末にまとめて更新致します。
料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します
黒木 楓
恋愛
隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。
どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。
巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。
転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。
そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。
異世界でお取り寄せ生活
マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。
突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。
貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。
意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。
貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!?
そんな感じの話です。
のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。
※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。
アラフォー料理人が始める異世界スローライフ
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
ある日突然、異世界転移してしまった料理人のタツマ。
わけもわからないまま、異世界で生活を送り……次第に自分のやりたいこと、したかったことを思い出す。
それは料理を通して皆を笑顔にすること、自分がしてもらったように貧しい子達にお腹いっぱいになって貰うことだった。
男は異世界にて、フェンリルや仲間たちと共に穏やかなに過ごしていく。
いずれ、最強の料理人と呼ばれるその日まで。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。