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隊長のまかない⑥

第1話 教えを請う

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 リュシアーノ様から、イツキとアーネストとの進展を深めさせようかと計画するのを変えることになり。

 ずんだシェイクで多少マシにはなった、夏バテ対策をさらに向上させるための食材を……リュシアーノ様が前世の知識を活かして提案してくださった。

 それにはイツキの力が必要だと、彼女に事情を話せば……『うなぎのカバヤキ』に必要な調味料を試作していたのだとか。

 リュシアーノ様が思わず、イツキに抱きつきにいくほどの調味料なのですね? 女性同士とは言え、リュシアーノ様がなんのためらいもなく抱きつきに行ける相手……少しばかり羨ましいとは……思いましたが。


「イツキ、イツキ!! 蒲焼きってすぐに食べられるの!!?」

「いえ。さすがに料亭とかの人間ではなかったので、捌くのは」

「あ、そうね?」


 うなぎの実物は、僕でも見たことがありますね。

 表面は滑りけがあり、細長く掴みにくい蛇にも似ていますが、噛んだりはしない川の生き物。たまに川で釣りをする時にかかりますが……調理の方法がよくわからないために諦めました。


「捌くのもですが、うなぎには血に微量の毒があるので……と言っても、火を通すなどで消えるらしいですが」

「となると、料理長方に捌いていただくのが得策だと?」

「私も習いたいと思っていたので、頑張ってみます」

「…………蒲焼きがうまくいけば食べられるぅ」


 リュシアーノ様を蕩ける笑みにさせるまでの『カバヤキ』……。これは僕も、頑張らなければいけませんね?


「……ほーん? ネルもやりたいのか?」


 中央厨房にイツキ共に向かい、ワルシュ料理長にうなぎの捌き方の教えを請うことにしました。


「リュシアーノ様に、蒲焼きの説明をしたら食べてみたいとおっしゃったんですよ」

「それで、俺に習いにきたってわけか?」

「……お願いします」


 リュシアーノ様に喜んでいただけるのであれば……なんだってしたい。昔とは違い、思いを違えることはもうしたくありません。

 近くにいるのは自分であるのはおこがましいなどと思うのは……僕とてもうしたくはないのですから。

 僕が頼み込むと、料理長は『わかった』と言ってくださり……ちょうど、調理する予定だったうなぎを籐籠から取り出してくださった。


「こいつだ」


 黒々と光っているような……まるで、蛇のような生き物。

 シラヤキと言うのは僕も食べたことはありますが……カバヤキはさらに美味しいのであれば。

 まずは、これを捌くところから頑張らねば!!


「まずは……まな板にこのまんまじゃ暴れっから……杭で打つ!!」


 と、料理長と副料理長それぞれがまな板にうなぎを乗せて……その首に金属の杭を打ち付けて、さらに木槌で動かないように打ち付けました……。


(ある意味、拷問状態ですね……)


 とは言え、生きたまま調理するわけにはいきませんから。
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