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王女のまかない⑧

第4話 さらに夏バテ対策に

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 お腹は満たされたけれど、友人のために人肌脱がなきゃ。

 そう思って、イツキが仕事に戻ると厨房に帰って行ってから、入れ替わりになるようにネルを私の部屋に呼んだ。


「お呼びでしょうか、リュシアーノ様」


 今日も素敵に女性顔負けなくらい、綺麗でかっこいい私の恋人。

 キスは相変わらず、髪とか手にしかしてもらえないけど……十分ラブラブだと納得しておくしかないわ。


「いらっしゃい、ネル。ちょっと相談に乗って欲しくて」

「? 僕にですか?」

「ええ。座って」


 ネルの一人称って、ちょっと可愛いのよね?

 仕事モードとかじゃないなら、『僕』だもの。慣れてきたとは言え、ギャップも感じるから可愛く思えちゃうわ。


「相談……もしや、イツキですか?」

「あら、すぐにわかったわね?」

「ふふ。僕達共通の友人ですし……実は、アーネストが少し不甲斐ない状態でいるので」

「あのね?」


 イツキがアーネストに何を言ってしまったのかを教えると……いくらネルヴィスでも、ちょっとお腹を抱えて笑ってしまった。


「……ははは。それは……アーネストには酷なことですね?」

「まあ、イツキのは純粋に相手を気遣っているだけだわ。そう言う料理をアピールするのは、日本だと結構多かったもの」

「それは……少し恥ずかしいかもしれませんね?」

「この世界ではだけど」


 ねばねばとか、とろとろにどろどろは精をつけるため。

 根菜類では、根をつけるためとか。

 ねばねばとかは、納豆を含めて私も大好きだったし。そんな状態のでなければ……うなぎとかいいわね??

 シェイク飲み過ぎ防止のために、うなぎを探して広めるのも悪くはない。実は、食卓に時々うなぎが出るのよ。

 蒲焼きとかは当然ないから、白焼きとかだけど。


「リュシアーノ様?」

「ネル。もう一度イツキを呼ぶわ。夏バテ予防のために、最適な食材を思い出したの」

「最適な?」

「ええ」


 ネルともっとふたりで語らい合いたいのはあるけど、早く決めた方が……国内外で起きている猛暑に耐えている国民達の救いになるかもしれない。

 なので、サフィアにイツキを呼んで来てもらってから……三人でうなぎの活用法を検討することにしたわ。


「……そう言えば、うなぎはありましたね?」

「イツキのお陰で、醤油の需要が少しずつ増えているもの。白焼きにちょっと醤油をかけて食べる方でも……蒲焼きには劣っても、皆食べてくれるはずよ!」


 謳い文句に、例えば王女も絶賛とか付け加えれば……いい宣伝にもなるし、うまくいくはず。

 そう思っていると……イツキが何故かにっこりと笑顔になった。


「いえ、実は……。熟成具合はまずまずですが、あるんですよ?」

「え?」

「何がですか??」

「……蒲焼きのタレです。試作したんですよ」

「イツキ!!」


 本当にこの人は。

 料理もだけど、なんだって出来る天才だわ!!

 思わず、ネルの前だけどイツキの胸にダイブしちゃった! コルセット防具が痛かったけど……そんなの気にならない!!
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