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まかない婦のまかない⑥
第4話『ずんだは偉大』
しおりを挟む「これよこれ!!」
リュシアーノ様が目を輝かせている間に、ずんだ餅の方も出来たので試食用をおふたりの前に出した。
「……なるほど。枝豆がお菓子に」
ネルヴィスさんは作る工程を知っているので、枝豆の状態を見てもあまり嫌悪感はないようだ。
「さ。温くなる前にどうぞ」
「いっただきまーす!」
「では、せっかくなので」
ストローはないから、グラスに口をつけてくぴっと。
独特の青臭さは少しあるけど……甘くて、なめらかで手作り感満載なシェイクが出来上がっていた!!
これに……と、フォークでずんだ餅の方も食べてみれば……甘くて、ちょっとだけ豆の食感はあるけど。甘さに砂糖以外に蜂蜜も入れたから……優しい甘さでほっと出来る。これは大成功だ!!
「美味しいわ、イツキ!!」
「これは……風味は特徴的ですが、甘いだけでなく滑らかな舌触りが癖になりますね?」
「アーネスト達もだけど、お母様もきっと喜ぶわ!!」
「最初は王妃殿下へでしたか?」
「ええ。お母様もちょっと夏バテ気味だったの」
となれば……と、そこからネルヴィスさんの手配は早かった。
料理長にも自らお願いに行き、枝豆で出来るお餅もだがシェイクもお城の中と外に広めて、夏バテ対策をしようと頑張ってくださったのだ。
城下町には、それぞれの生産ギルドを経由して。
アイスクリームから腹痛や頭痛も起きる注意だけを私が伝えたら、イージアスの特級料理人のひとりである私だからと言う保証付きで各地に伝達された。
お陰で、イージアスにもだが西方大陸の各地に伝わり……今年の夏バテ対策に大きく貢献することが出来てしまいました……。
「とっても美味しいわ、イツキ」
当初の目的通り、夏バテ気味だったヘルミーナ様にもお出しした時にはとても喜ばれました。
「お口に合ってなによりです」
「けど、こう言うのも食べ過ぎはいけないのね? 甘くて冷たくて……とても食べやすいのに」
「冷たいものは適度に。冷え性を起こすと、人によっては体調を崩すだけですみませんから」
「わかったわ。……けど、そうね? 陛下も枝豆は大層気に入られたから」
「……あははは」
ヘルミーナ様が今は飲酒が出来ないため、陛下がこの間晩酌のために厨房に来たのが羨ましいのだろう。
私の料理は、恐れ多くも王族の皆さんのお口にも合うようなので……私の料理を独り占めしたのが、少し悔しいのかもしれない。
なら、ノンアルコールカクテルもとい、ミックスジュースでそれっぽく晩酌を勧めるのもアリかな??
あのシェイカーを使えば、バイト時代の経験があるから作れるし……ちょっと、甘えさせ過ぎかもしれないが。
実は二個違いだし、どうもヘルミーナ様は放っておけないと思ってしまう。友人と名乗るのは畏れ多いけれど、彼女もまた頼ってくださるのでついつい要望に応えたくなるのだ。
ちなみに、アーネストさん達はシェイクで見事夏バテから即復活されました……。
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