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部下弐のまかない

第1話 友達同士

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 春の日差しがぽっかぽかの日だった。


「あったかいねぇ……」

「ん~……春だよね」


 俺は、最近友達になった近衛騎士のミュラーと……休憩時間が被ったから……中庭で日向ぼっこしていた。春の日差しが程よく降り注ぎ、時間が許されるのなら昼寝でもしたいぐらいだが……俺もミュラーもそんなに時間がない。

 だから、ちょっとだけ日向ぼっこするので我慢するしかないのだ。


「…………今日のご飯も美味しかった~」

「ありがと。どれが良かった?」

「ん~? フライ、だったかな?? 中がふわっふわしてて、食べやすくて……」

「あれかあ? あれ、アジだよ」

「え!? アジ!? 全然匂わなかったけど!?」

「イツキさんのお陰なんだよね?」


 俺の上司であるワルシュ料理長の養女さんで、俺より年上の新人ちょっとの料理人。

 メインは俺達料理人に振る舞ってくれる『まかない』なんだけど、去年の終わりくらいから……食堂での食事提供が切り替わったことで、イツキさんもメニュー会議に加わることになった。

 料理もだけど、食材の仕入れなどについて。彼女が特級料理人だと、陛下から発表されなきゃ俺とかの中級料理人でも納得出来なかったかも。


「どんなことしたの??」

「ほら、特定の人なら亜空間収納使えるでしょ? あれでアジの鮮度を保てば……新鮮な状態でアジを捌けるんだ。だから、臭みもあんまりないんだって」

「…………レクサス隊長も、アサリ入れてたね」

「はは! あの人らしいね?」


 亜空間収納をそんな活用に使うだなんて、今まで誰が考えただろうか??

 多分だけど、イツキさんが関わらなきゃ他の人達も考えつかなったはず。イツキさん本人は、まだ魔法は練習中だからって亜空間収納は使えないみたいだけど。


「でも……そっかぁ。やっぱり、イツキさんは凄い人なんだね~?」

「ほんと。料理長達も認めるくらいの腕前だから、俺もちっとも敵わないや」


 けど、嫌な気分になることはない。

 彼女はまかないもだけど、普段の料理もレシピを惜しみなく俺達に伝えてくれる。危ないと思ったら、すぐに駆けつけてくれる。

 アレルギーの一件がなければ……俺達も死を与える料理を作り続けていたことになってた。あれは……内容を聞いた途端、背筋が凍った気分だけで済まなかったからね?


「エリオ達も凄いと思うよ?」

「え?」

「エリオ達もちゃんと対応出来てるんだから……凄いと僕は思うよ?」

「……ミュラー」


 じゃがいものスイートポテトがきっかけだったとは言え……本当に、良い友達が出来たと思う。

 アレルギーの時は大変だったそうだけど……せっかくだから、何か作ってあげたいなあ?
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