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隊長のまかない⑤
第2話 お花見提案
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イツキにはアーネストが、僕は身なりを整えてからリュシアーノ殿下のいらっしゃる離宮に向かい……サフィア殿の案内でリュシアーノ様のお部屋へ通らせていただく。ちょうど、リュシアーノ様はお勉強を終えられたところだそうです。
「これだわ!!」
サフィア殿も下がらせ、ふたりだけの場になってから僕はサクラの枝をリュシアーノ様の前に取り出しました。
枝を見るなり、彼女は華のようにほころんだ笑顔を見せてくださいました。
「郊外ですし、少し奥地ですが……僕とアーネストが一緒であれば……陛下からもお許しをいただけると思います」
「それでもダメなら、婚約の時みたいに私からもガツンと言い聞かせるわ」
「こらこら、レディらしくないですよ??」
「う……だって、親しい人達とだけのお花見したいんだもの」
「ふふ」
僕やイツキはともかく、ご両親の陛下や王妃殿下には……ご自身が異世界からの転生者だとは、今は言う気がなさそうです。同様の理由で、イツキも陛下方に異世界からの渡航者という事実も言っていません。
料理長にもありますが、陛下の鑑定技能では……どうやら、イツキが渡航者だということは閲覧不可となっているようです。彼女が城に来て一年以上経ちますし、そろそろ……と思っても、色々ややこしくなりますからね??
「いつにしようかしら?」
リュシアーノ様は花よりも食事に興味が移ったのか、蕩けそうな笑顔になられました。
「陛下方もご一緒となれば……イツキは張り切りそうですね?」
「この間の唐揚げも美味しかったでしょう? ザンギもいいけど、唐揚げとか卵焼きがお弁当の定番なの!」
「取り分け易い料理……ということですか??」
「そうね? あと、おにぎり……お母様が大好きなたぬきおにぎりもいいわね? イツキの料理が出来次第、亜空間収納に入れちゃえば冷めないし」
しかし、冷めても美味しい料理がお花見のお弁当では定番らしく。
どんな料理が出来上がるか……とリュシアーノ様と話し合いながら、僕達は陛下の執務室に行くことにしました。
「……わざわざ、郊外で花見??」
仕事がひと段落ついたところで訪れたので、陛下の表情に険しい部分はありませんでした。
「ええ。僕とアーネストが視察中に見つけたのですが……」
「……この花か? 見たことがないが」
「ピンク色の染料の材料となる樹だそうです。樹自体も圧倒されるほど、見事でした」
「お父様! お母様とジェラルドにも気分転換させてあげたいの!! ちょっとだけでもいいから!!」
「…………わざわざ??」
「お弁当をイツキ達に作ってもらって、樹の下で食べるのがしたいわ!!」
「……………………それは、魅力的だが」
陛下も……随分とイツキの料理に胃袋を掴まれてしまってますね??
ワルシュ料理長達の結婚発表の時も、イツキの提案だとは言えご自分で料理を振る舞うくらいですし。……本当に、イツキはいい意味でこの城……もとい、イージアス国を内側からも外側からも変えてくれた恩人です。
「これだわ!!」
サフィア殿も下がらせ、ふたりだけの場になってから僕はサクラの枝をリュシアーノ様の前に取り出しました。
枝を見るなり、彼女は華のようにほころんだ笑顔を見せてくださいました。
「郊外ですし、少し奥地ですが……僕とアーネストが一緒であれば……陛下からもお許しをいただけると思います」
「それでもダメなら、婚約の時みたいに私からもガツンと言い聞かせるわ」
「こらこら、レディらしくないですよ??」
「う……だって、親しい人達とだけのお花見したいんだもの」
「ふふ」
僕やイツキはともかく、ご両親の陛下や王妃殿下には……ご自身が異世界からの転生者だとは、今は言う気がなさそうです。同様の理由で、イツキも陛下方に異世界からの渡航者という事実も言っていません。
料理長にもありますが、陛下の鑑定技能では……どうやら、イツキが渡航者だということは閲覧不可となっているようです。彼女が城に来て一年以上経ちますし、そろそろ……と思っても、色々ややこしくなりますからね??
「いつにしようかしら?」
リュシアーノ様は花よりも食事に興味が移ったのか、蕩けそうな笑顔になられました。
「陛下方もご一緒となれば……イツキは張り切りそうですね?」
「この間の唐揚げも美味しかったでしょう? ザンギもいいけど、唐揚げとか卵焼きがお弁当の定番なの!」
「取り分け易い料理……ということですか??」
「そうね? あと、おにぎり……お母様が大好きなたぬきおにぎりもいいわね? イツキの料理が出来次第、亜空間収納に入れちゃえば冷めないし」
しかし、冷めても美味しい料理がお花見のお弁当では定番らしく。
どんな料理が出来上がるか……とリュシアーノ様と話し合いながら、僕達は陛下の執務室に行くことにしました。
「……わざわざ、郊外で花見??」
仕事がひと段落ついたところで訪れたので、陛下の表情に険しい部分はありませんでした。
「ええ。僕とアーネストが視察中に見つけたのですが……」
「……この花か? 見たことがないが」
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「お父様! お母様とジェラルドにも気分転換させてあげたいの!! ちょっとだけでもいいから!!」
「…………わざわざ??」
「お弁当をイツキ達に作ってもらって、樹の下で食べるのがしたいわ!!」
「……………………それは、魅力的だが」
陛下も……随分とイツキの料理に胃袋を掴まれてしまってますね??
ワルシュ料理長達の結婚発表の時も、イツキの提案だとは言えご自分で料理を振る舞うくらいですし。……本当に、イツキはいい意味でこの城……もとい、イージアス国を内側からも外側からも変えてくれた恩人です。
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