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まかない婦のまかない⑤
第2話『濃厚フォンダンショコラ』①
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まずは……ガナッシュ作り。
チョコレートと生クリームを使って。鍋に入れて火にかけるので……チョコレートの匂いがどんどん広がっていく。
換気扇をかけたいところだけど……お店とか自宅じゃないお城の中だから、天井が高い。換気の穴もちゃんとあるので大丈夫。もともと、ガスコンロじゃないから一酸化炭素中毒とかにはならないけど。
「溶けたら、バッドに入れて冷蔵庫で冷やして」
電化製品はないのに、電化製品ぽい魔導具って調理器具や保存器具があるのは未だに不思議だ。パン作りに必要な発酵器もちゃんとある。
以前はOLでしかなかったし、専門器具や家電を販売する立場ではあったが使用する機会はあまりなかった。
だから、今は自由に扱えるのが楽しい。魔法もトリップ特典で付与されたのか、少しずつ扱えるようになってはいる。ここ数ヶ月はリュシアーノ様の遊び相手の名目もあるので、一緒に家庭教師さんから勉強させてもらっている。主に魔力のコントロールや繊細な調整部分とか。
お陰で、前は雑だった冷却とか温熱などの調整がスムーズだ。使うのが料理ばかりだけど、使える部分は楽をしたい。この世界には電子レンジがないから、工程で短縮したいところは使いたいのだ。
ガナッシュを冷やしている間に、外側の生地作り。これにもたっぷりチョコレートを使うため、また匂いが充満していくが。
「うわ!? チョコレートの匂い!!」
戻ってきた料理人さんがいたらしく、チョコレートの匂いに驚いていた。
「あ、おかえりなさい。エリオさん」
この職場では先輩だけど、年下の若い男性料理人さんだ。薄緑の髪って、ファンタジー要素満載だけど見た目以外は普通の外国人さんの顔。アーネストさんやネルヴィスさん達と比較しちゃうと、どうしても普通に見えちゃうんです。
「ただいま~。え、イツキさんお菓子作っているの??」
呼び名は料理長の養女と言うこともあり敬称だが、他は私の方が新人なので敬語は無しだ。女と公表された後も……彼もだが他の料理人さん達も、分け隔てなく接してくれている。
「はい。アーネストさんへのお菓子ですが」
「あれ? もう渡したんじゃないの??」
「……ちょっと色々立て込んでいたので」
「そっか? ね、ね? トリュフ作ってるの??」
「いいえ? ケーキみたいな焼き菓子です」
「へー?」
そして、エリオさんはこちらに来ると……作業台に載せたままの材料を見て首を傾げた。ケーキの材料だとすぐにわかったようだけど、作り方の予想がつかないのだろう。
「チョコレートをふんだんに使った、ケーキみたいなものなんですよ」
「ふーん? なんて名前」
「フォンダンショコラです」
「ふぉ……? 言い難いね? それも東方大陸のお菓子??」
「うーん。私も昔教わっただけなので、詳しくは」
まさか、異世界でも外国由来のお菓子だなんて言えません。私が異世界から転移してきた人間だと知っているのは、ほんのひと握りの人達だけだから。
「そっかぁ。作り方見ててもいい??」
「どうぞ」
とは言っても、別にレシピの公開については出し惜しみはしない。アレルギーの一件もあったので、使う材料次第では症状が出る人もいるだろうから……まかないとかでも共有したいのだ。
生地が出来たら、出来るだけ薄い布袋入れて……先端を少し切る。絞り袋の完成だ。今回は口金を使う必要はない。
ガナッシュも、冷却でさらに冷やしたら切り分けて。マフィン型に薄くバターを塗ったら、半分生地を流し入れて……その後に切り分けたガナッシュ。丸めてもよかったが、不均等にチョコが溶けていくのも面白い。手作りならではの醍醐味だ。
あとは、残りの生地でふたをして……これまた魔導具のオーブン窯でだいたい十分焼いていく。時計はあるのに、タイマーとかはないから気をつけて。
これで、さらに匂いが充満していくから。
「すっご!? さらにすっご!!?」
お酒を使ってはいないけど、お酒のフランベ並みに強烈だからエリオさんの顔がうっとりしていく。
そして、ほかの料理人さん達も帰ってきた頃には……作り方を教えて欲しいとせがまれた。流石に、味見はアーネストさん宛だからお断りしましたが。
チョコレートと生クリームを使って。鍋に入れて火にかけるので……チョコレートの匂いがどんどん広がっていく。
換気扇をかけたいところだけど……お店とか自宅じゃないお城の中だから、天井が高い。換気の穴もちゃんとあるので大丈夫。もともと、ガスコンロじゃないから一酸化炭素中毒とかにはならないけど。
「溶けたら、バッドに入れて冷蔵庫で冷やして」
電化製品はないのに、電化製品ぽい魔導具って調理器具や保存器具があるのは未だに不思議だ。パン作りに必要な発酵器もちゃんとある。
以前はOLでしかなかったし、専門器具や家電を販売する立場ではあったが使用する機会はあまりなかった。
だから、今は自由に扱えるのが楽しい。魔法もトリップ特典で付与されたのか、少しずつ扱えるようになってはいる。ここ数ヶ月はリュシアーノ様の遊び相手の名目もあるので、一緒に家庭教師さんから勉強させてもらっている。主に魔力のコントロールや繊細な調整部分とか。
お陰で、前は雑だった冷却とか温熱などの調整がスムーズだ。使うのが料理ばかりだけど、使える部分は楽をしたい。この世界には電子レンジがないから、工程で短縮したいところは使いたいのだ。
ガナッシュを冷やしている間に、外側の生地作り。これにもたっぷりチョコレートを使うため、また匂いが充満していくが。
「うわ!? チョコレートの匂い!!」
戻ってきた料理人さんがいたらしく、チョコレートの匂いに驚いていた。
「あ、おかえりなさい。エリオさん」
この職場では先輩だけど、年下の若い男性料理人さんだ。薄緑の髪って、ファンタジー要素満載だけど見た目以外は普通の外国人さんの顔。アーネストさんやネルヴィスさん達と比較しちゃうと、どうしても普通に見えちゃうんです。
「ただいま~。え、イツキさんお菓子作っているの??」
呼び名は料理長の養女と言うこともあり敬称だが、他は私の方が新人なので敬語は無しだ。女と公表された後も……彼もだが他の料理人さん達も、分け隔てなく接してくれている。
「はい。アーネストさんへのお菓子ですが」
「あれ? もう渡したんじゃないの??」
「……ちょっと色々立て込んでいたので」
「そっか? ね、ね? トリュフ作ってるの??」
「いいえ? ケーキみたいな焼き菓子です」
「へー?」
そして、エリオさんはこちらに来ると……作業台に載せたままの材料を見て首を傾げた。ケーキの材料だとすぐにわかったようだけど、作り方の予想がつかないのだろう。
「チョコレートをふんだんに使った、ケーキみたいなものなんですよ」
「ふーん? なんて名前」
「フォンダンショコラです」
「ふぉ……? 言い難いね? それも東方大陸のお菓子??」
「うーん。私も昔教わっただけなので、詳しくは」
まさか、異世界でも外国由来のお菓子だなんて言えません。私が異世界から転移してきた人間だと知っているのは、ほんのひと握りの人達だけだから。
「そっかぁ。作り方見ててもいい??」
「どうぞ」
とは言っても、別にレシピの公開については出し惜しみはしない。アレルギーの一件もあったので、使う材料次第では症状が出る人もいるだろうから……まかないとかでも共有したいのだ。
生地が出来たら、出来るだけ薄い布袋入れて……先端を少し切る。絞り袋の完成だ。今回は口金を使う必要はない。
ガナッシュも、冷却でさらに冷やしたら切り分けて。マフィン型に薄くバターを塗ったら、半分生地を流し入れて……その後に切り分けたガナッシュ。丸めてもよかったが、不均等にチョコが溶けていくのも面白い。手作りならではの醍醐味だ。
あとは、残りの生地でふたをして……これまた魔導具のオーブン窯でだいたい十分焼いていく。時計はあるのに、タイマーとかはないから気をつけて。
これで、さらに匂いが充満していくから。
「すっご!? さらにすっご!!?」
お酒を使ってはいないけど、お酒のフランベ並みに強烈だからエリオさんの顔がうっとりしていく。
そして、ほかの料理人さん達も帰ってきた頃には……作り方を教えて欲しいとせがまれた。流石に、味見はアーネストさん宛だからお断りしましたが。
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