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令嬢のまかない②
第2話 令嬢が料理を①
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私が厨房に行くと、ヨルダンもだが他の料理人達も深く腰を折った。やはり、公爵の令嬢がここに来るのはおかしいだろう。
以前、イツキ殿がいらしたあの時は別だが。
「アイシス様、何か御入用でしょうか?」
そして、前に出てきたヨルダンはそれらしい質問をしてきた。
「いや、違う。……令嬢としてはおかしいだろうが、私も少し料理をしたくて」
「! アイシス様がですか??」
「うん。少しだけ」
興味本位もあるが、剣を扱うのと包丁を扱うのは全然違う。
以前なら、ただ美味しいだけの食事を口にするので満足していたが……イツキ殿と出会ったことで、私は少し変われた。
ただただ、自分が女だと言うのを疎ましく感じ、殿方のように振る舞おうとしていた時と違うのだ。
女であれ、イツキ殿のように国王陛下から認められた方もいらっしゃるのだ。だから、一度この屋敷に来ていただいた時の料理は……どれもこれもが美味揃い。
まったく同じことが出来ないにしても、少しだけ携わりたかったのだ。結構経っているのに今更ではあるが。
事情を簡単にヨルダンに説明すれば、彼はひとつ頷いてくれた。
「でしたら、簡単にサンドイッチからでも」
「……茶会用かな??」
「少し手間を加えると、美味になると……イツキ様がおっしゃっていましたから」
「……そうだね」
単純に見えて、意外と手間がかかる方が美味。
料理の手法のひとつではあるが、あのアボカドのグラタンを作ってくださった時に、彼女はそう口にした。
なので、まずは包丁の扱い方をヨルダンに教わることにした。下手をすると剣より鋭い傷を負うことになるらしいので慎重に。
「サンドイッチには、ゆで卵ときゅうり……あと、せっかくですのでアボカドを使いましょうか??」
「! アボカドのサンドイッチ!!」
「以前ですと、我々だけですぐ食べれる材料でしたが……イツキ様のお陰で、色が変わりにくいように出来ましたし」
アボカドのサンドイッチ。
そのままでも、焼いても揚げても美味なアボカド。
熟成という過程次第で食べてたり食べられなくなってしまう食材だったが……厨房などの使用人達が食べる分としか扱っていなかった。それが、『色が悪くなる』も含まれていたらしい。
だが、イツキ殿のお陰で……特に女には嬉しい効果がある食材だとわかり、父上達が今イージアス国の各地に広めているところだ。
まずは、小さな包丁でアボカドを割るところから習うことになった。
「真ん中にぐるっと切り込みを入れるんだったね??」
「はい。だいたいで……そうです。そして、包丁を置いて……上下を逆方向にひねってみてください」
ヨルダンに言われたように、アボカドを割ってみれば……色鮮やかな翡翠に見える、美しい実の部分が見えた。
種を取る作業は初心者には危ないということで、ヨルダンが包丁で取ってくれた。
以前、イツキ殿がいらしたあの時は別だが。
「アイシス様、何か御入用でしょうか?」
そして、前に出てきたヨルダンはそれらしい質問をしてきた。
「いや、違う。……令嬢としてはおかしいだろうが、私も少し料理をしたくて」
「! アイシス様がですか??」
「うん。少しだけ」
興味本位もあるが、剣を扱うのと包丁を扱うのは全然違う。
以前なら、ただ美味しいだけの食事を口にするので満足していたが……イツキ殿と出会ったことで、私は少し変われた。
ただただ、自分が女だと言うのを疎ましく感じ、殿方のように振る舞おうとしていた時と違うのだ。
女であれ、イツキ殿のように国王陛下から認められた方もいらっしゃるのだ。だから、一度この屋敷に来ていただいた時の料理は……どれもこれもが美味揃い。
まったく同じことが出来ないにしても、少しだけ携わりたかったのだ。結構経っているのに今更ではあるが。
事情を簡単にヨルダンに説明すれば、彼はひとつ頷いてくれた。
「でしたら、簡単にサンドイッチからでも」
「……茶会用かな??」
「少し手間を加えると、美味になると……イツキ様がおっしゃっていましたから」
「……そうだね」
単純に見えて、意外と手間がかかる方が美味。
料理の手法のひとつではあるが、あのアボカドのグラタンを作ってくださった時に、彼女はそう口にした。
なので、まずは包丁の扱い方をヨルダンに教わることにした。下手をすると剣より鋭い傷を負うことになるらしいので慎重に。
「サンドイッチには、ゆで卵ときゅうり……あと、せっかくですのでアボカドを使いましょうか??」
「! アボカドのサンドイッチ!!」
「以前ですと、我々だけですぐ食べれる材料でしたが……イツキ様のお陰で、色が変わりにくいように出来ましたし」
アボカドのサンドイッチ。
そのままでも、焼いても揚げても美味なアボカド。
熟成という過程次第で食べてたり食べられなくなってしまう食材だったが……厨房などの使用人達が食べる分としか扱っていなかった。それが、『色が悪くなる』も含まれていたらしい。
だが、イツキ殿のお陰で……特に女には嬉しい効果がある食材だとわかり、父上達が今イージアス国の各地に広めているところだ。
まずは、小さな包丁でアボカドを割るところから習うことになった。
「真ん中にぐるっと切り込みを入れるんだったね??」
「はい。だいたいで……そうです。そして、包丁を置いて……上下を逆方向にひねってみてください」
ヨルダンに言われたように、アボカドを割ってみれば……色鮮やかな翡翠に見える、美しい実の部分が見えた。
種を取る作業は初心者には危ないということで、ヨルダンが包丁で取ってくれた。
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