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王女のまかない⑥
第1話 懐かしの年越し料理
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年の暮れが近くなってきた。
そうなってくると、考えてしまうのは今年の秋に思い出したばかりの……前世での記憶の中にあったけど。
新年を祝うだけでなく、年の暮れが近づくにつれて行なう各家庭や企業などの伝統行事について。
それが、転生を成したこの世界では存在していないのだ。
「……おせち料理とか、年越しそば食べたい」
思い返しても、食べ物ばかりだが仕事をしなくていい今の年代だと、考えてしまうのはその程度だもの?
「オセチ? トシコシソバ? ですか?」
うっかりしていたが、今同じ部屋にもうひとりいたわ。けど、聞かれても困らない相手。私の唯一無二とも言える恋人で婚約者のネルヴィス=ラインシードだ。
麗しの……と城内外で人気の高い、超絶イケメンさん。
この彼ともうひとり別の人だけ、私が日本と言う国からの転生者だと言うのは伝えてある。メイドなども、ふたり切りの時には基本的には同席させていないわ。
「そう。私とイツキのいた日本って国では……特に年度末と新年とかを大切にしていたの。労働とかも基本的に、休みを作るくらい。その時に食べてた料理なのよ」
とは言っても、日本にいた頃は年中無休のお店とかが多いけどね?
食品、外食関連もだが、イベントとか特に。私も若菜だった時、一度だけだが巫女さんのバイトもしたりしていた。格好の可愛さで高校時代応募したが……二度とやりたくない。あれは地獄だったわ!
「興味深いですね? こちらでは、年度末は特になく……新年に陛下のお言葉をほうぼうの街で賜るくらいですから」
「お父様も頑張っているわよね……」
そんな行事があるだけで、王妃のお母様と王女の私は特にすることはない。お勉強も一日か二日休みだけど……記憶が蘇った私だと、今の教育レベルは低過ぎた。だから、ネルと付き合う後くらいには家庭教師にお願いして中学生程度に引き上げてもらった。
それでも……学力レベルがちょっと低めのこの世界基準じゃ、まだ小学生の高学年くらいだったわ。
なので、恋人とお茶会する機会も増えて、ネルと一緒に過ごす時間も自然と多い。ネルも仕事はあるけど、素晴らしいくらい書類処理能力が高いせいで、基本的には暇なんですって。イツキが教えてくれたんだけど。
「どんなお料理なんですか?」
「んー? お蕎麦は海老を天ぷらって揚げ物にしたのを、あったかいうどんとも違う麺料理に入れて食べるの。個人によるけど、年内とか年始に食べるわ」
「ほう?」
「お節料理は、年始から三日間くらいは家庭に尽くす女性とかが休めるように、甘いとか甘辛くて保存が効く料理を前もって仕込むのよ。私の前世での実家では、一応作っていたわ」
「その流れだと、作らない家庭も?」
「手間が凄くかかるし……お店で事前に予約する家庭も珍しくないわ。ほとんど甘いもの」
だけど、転生して記憶がほとんど戻った今は……逆に恋しくなってきた。お母さんとよく作った黒豆の煮物とか、伊達巻きに栗きんとんとか食べたい……。
そうなってくると、考えてしまうのは今年の秋に思い出したばかりの……前世での記憶の中にあったけど。
新年を祝うだけでなく、年の暮れが近づくにつれて行なう各家庭や企業などの伝統行事について。
それが、転生を成したこの世界では存在していないのだ。
「……おせち料理とか、年越しそば食べたい」
思い返しても、食べ物ばかりだが仕事をしなくていい今の年代だと、考えてしまうのはその程度だもの?
「オセチ? トシコシソバ? ですか?」
うっかりしていたが、今同じ部屋にもうひとりいたわ。けど、聞かれても困らない相手。私の唯一無二とも言える恋人で婚約者のネルヴィス=ラインシードだ。
麗しの……と城内外で人気の高い、超絶イケメンさん。
この彼ともうひとり別の人だけ、私が日本と言う国からの転生者だと言うのは伝えてある。メイドなども、ふたり切りの時には基本的には同席させていないわ。
「そう。私とイツキのいた日本って国では……特に年度末と新年とかを大切にしていたの。労働とかも基本的に、休みを作るくらい。その時に食べてた料理なのよ」
とは言っても、日本にいた頃は年中無休のお店とかが多いけどね?
食品、外食関連もだが、イベントとか特に。私も若菜だった時、一度だけだが巫女さんのバイトもしたりしていた。格好の可愛さで高校時代応募したが……二度とやりたくない。あれは地獄だったわ!
「興味深いですね? こちらでは、年度末は特になく……新年に陛下のお言葉をほうぼうの街で賜るくらいですから」
「お父様も頑張っているわよね……」
そんな行事があるだけで、王妃のお母様と王女の私は特にすることはない。お勉強も一日か二日休みだけど……記憶が蘇った私だと、今の教育レベルは低過ぎた。だから、ネルと付き合う後くらいには家庭教師にお願いして中学生程度に引き上げてもらった。
それでも……学力レベルがちょっと低めのこの世界基準じゃ、まだ小学生の高学年くらいだったわ。
なので、恋人とお茶会する機会も増えて、ネルと一緒に過ごす時間も自然と多い。ネルも仕事はあるけど、素晴らしいくらい書類処理能力が高いせいで、基本的には暇なんですって。イツキが教えてくれたんだけど。
「どんなお料理なんですか?」
「んー? お蕎麦は海老を天ぷらって揚げ物にしたのを、あったかいうどんとも違う麺料理に入れて食べるの。個人によるけど、年内とか年始に食べるわ」
「ほう?」
「お節料理は、年始から三日間くらいは家庭に尽くす女性とかが休めるように、甘いとか甘辛くて保存が効く料理を前もって仕込むのよ。私の前世での実家では、一応作っていたわ」
「その流れだと、作らない家庭も?」
「手間が凄くかかるし……お店で事前に予約する家庭も珍しくないわ。ほとんど甘いもの」
だけど、転生して記憶がほとんど戻った今は……逆に恋しくなってきた。お母さんとよく作った黒豆の煮物とか、伊達巻きに栗きんとんとか食べたい……。
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