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騎士のまかない⑨

第2話 あちこちへ伝達

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 なので、関係者……。王族の方々へは隊長が伝えてくれるらしく、俺はレクサスや料理長などに伝えることになった。


「イツキはんの誕生日!?」


 部下の訓練を見ている最中に、レクサスを掴まえて伝えたのだ。こいつは、下手すると訓練の指示とかもサボろうとするからな?


えん月の二十二だ」

「ほーん? あんま時間あるようでないなあ?? 副隊長と近いんちゃう?」

「……ああ」

「けど、なんで自分にも教えるん? ふたりで祝えばええやん?」

「……隊長に、内輪で祝おうと言われた」

「ああ……まあ、わからんでもないけど」


 サフィア殿と交際を始めたこいつなら、今の俺の心情もわかるだろう。そのサフィア殿とは、付き合い出してから頻繁に会いに行っているそうだ。王家の方々からも公認になっているらしく、城内のメイド達が隊長の時ほどではないが泣いた人数が多かったとか。


「とりあえず、方々に声をかけている。サフィア殿にも声をかけてくれ」

「おん、サフィアも喜ぶわ」


 訓練が終わってからは、次に中央厨房に行ったがイツキは配達でいなかったのでこれを逃すわけにはいかず、ワルシュ料理長に話を持ちかけた。


「……イツキの誕生日だぁ?」


 相変わらずの悪人面だが、本当のことだと頷くと……料理長もだが副料理長も大きくため息を吐かれた。


「……迂闊でしたね」

養女むすめの誕生日を知らなかったとは……」


 この様子だと、俺と同じように知ったことでショックを受けたのだろう。その気持ちはよーくわかる。


「ネルヴィス隊長からは、王族の方々にお伝えするそうです。料理長方には……料理をお願いしたく」

「ったりめーだ!!」

「ケーキは俺に任せろ!」


 お願いする内容を決めると、おふたりはやる気に満ち溢れた表情になったが……どっちも顔が元から怖いので、遠巻きに見ていた料理人達が怯えてしまっていた。

 とりあえず、日にちと料理。あと参加者も集まることが決まってからは……忙しかった。完全にイツキに秘密ではないが、イツキ……と一応俺もだが誕生日会をやることになったので、執務、訓練、あとプレゼントの調達などなどなど……。日にちはあっという間に過ぎて……俺の誕生日だけは、イツキが俺が好きになったカレードリアを少し豪華に振る舞ってくれた。


「もうすぐ誕生日ですか。実感湧かないです」


 イツキがこの世界に来て、だいたい一年近く経つらしいが……。隊長と料理長に保護されたお陰で、この城でのびのびと過ごせている。そして……俺と恋人になってくれた。

 その事実が改めて嬉しくて……絶対、誕生日会には喜ぶプレゼントを渡そうと意気込んだ!!


「イツキ、楽しみに待っててほしい」

「はい! ありがとうございます!」


 あと数日だが。

 俺は既に祝われたが、イツキも二十六になる。

 大事な日を……大切な女性のために盛大に祝わなくては!!
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