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副料理長のまかない

第4話『ニンニクと焼豚の炒飯』②

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 俺の仕込みも大抵終わってから、俺は出来上がったばかりのそのチャーハンを受け取った。湯気がすごく、熱々なのと暴力的なニンニクの香りにチャーシューの香ばしい匂いが鼻を襲ってきた。

 すぐに食いたい欲求を抑え、まかないを食うところのテーブルに他の連中と一緒に座ってから……スプーンを持った。

 艶々な半円状の表面。リーゾに卵が絡み付いて……整えられた形は、大ぶりのレードルで作ったもんだがそれが正解と思えるくらいに美しい。ところどころ見えるチャーシューの角切り。それの匂いも鼻に届き、胃袋を刺激してくる。スプーンですくい、少しだけ息を吹きかけてから口に入れた。


「ほふ!?」


 出来立ての熱々だったが、揚げ物のような焼ける程の熱さは感じ取れない。ぱらっとしたリーゾはまったくベタついていなく……絡んだ卵のお陰か舌の上で踊るようだ。あまり見向きもしなかった、ネギのアクセントも良い。適度な辛味にふわっと香る匂いも抜群。

 加えて、メインのニンニクのガツンとした風味も良い!! そこにチャーシューの角切りが加わるとどちらも主張していき、リーゾをどんどん口に入れたくなってしまう!!


「「「「「美味しい!!」」」」」

「ふふ、ありがとうございます」


 なんだってないことのように、イツキは手料理を振る舞ってくれているが……このお嬢さんはこの城の厨房にはなくてはなんねー存在だ。

 いずれ、アーネスト様のところに嫁ぐだろうが……それまでは彼女はここの一員だ。たくさんの技術を教わりたいし、色々覚えたい。

 とりあえず、残りのまかないは俺の練習も兼ねて、俺がチャーハンを作ってみることになった。


「……せっかくのリーゾを卵で先に絡めるのか??」

「初心者には、その方がいいと思うので」


 チャーハンには温かいリーゾを使うらしいが、フライパンに引っ付かないように……さらに溶いた卵に混ぜ込んでおくと炒めやすいそうだ。

 ニンニクをごま油で炒め、香りが立ったらそのリーゾを投入。たしかに、卵をまとったことでフライパンの表面に引っ付かずに炒めやすかった。パラパラになったら、刻んだネギ。チャーシューを入れる前に、コカトリスの骨出汁から作ったタレというソースで軽く味付け。

 チャーシューを入れるので、少し控えめに味を整えてからチャーシュー。最後に、黒胡椒をミルで挽いて完成。

 そして、大きめのレードルの中にチャーハンを入れて形を整えたら、皿に盛る。


「お、出来たか?」


 いつのまにか、料理長が戻ってきていたので……イツキの提案で料理長にも召し上がっていただくことになった。


「美味しいですよ!」

「ん、悪かねぇ。リュカルドとかは欲しそうだな?」

「……ありがとうございます」


 陛下に出すのには……とも思うが。陛下と料理長は悪友同士でいらっしゃるし、深くは踏み入らない。

 とりあえず、自分でも味見したらチャーハンは悪くない出来だった。
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