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国王のまかない④
第1話 一部公表
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政務も落ち着き、ようやく決める事が出来た。
(…………イツキのための式典の日取り!!)
色々悩んだりしたが、今日ようやく日取りを決める事に落ち着くことが出来た。
臣下達はまだかまだかと問い合わせがあったが、理由もきちんとあった。俺はイツキに初めて会った時に、自分の鑑定スキルですぐに女と見抜いた。
それを、普段はワルシュの意向で男装させていた。理由は、彼女が以前住んでいた場所で……胸の大きさに下手をすると強姦まがいな事態になった時もあるらしく。
厨房の人間がそんな卑怯な真似をしないとはわかっていても、からかいなどで傷付けるかもしれない。それは、俺の臣下達も同じく。
だから、最初はワルシュが知らせてきたアーネストとイツキが結ばれた時点で……公表してもいいかと思ったが俺は待ったをかけた。
式典の要因である『アレルギー』の事態で、イツキは男装をしていても男女共に惚れさせたのだ。あの慈愛に満ちた微笑みを向けられたら、大抵の人間は絆されてしまう。
なので俺は、いきなり公表することで城内を混乱に招く事態を避けるために……すぐにイツキの性別を公表することを伏せた。
(とは言っても、既に事態は起きているに等しいが……)
あれはアーネストが悪い。
事前に知っていたネルやリュシアの協力を得たとしても……イツキと出かけるのは良いが、何故行きでイツキの顔を晒してしまったんだ!?
帰りに隠したとしても遅い!!
城内の一部どころか、大半がイツキが女かもしれないとか、アーネストに恋人が出来てメイドの大半が泣き崩れた……とか。色んな意味で酷かった……。
だが、イツキの人柄のお陰か、彼女を責めるメイド達はいなかった。この国の……恩人であるから、メイド達もわかっているからか。
とにかく、そんな事はあったが……式典の日取りが決定出来た。近侍かネルとかに頼んでも良いだろうが……俺は直接彼女に言おうと決めて執務室を出た。
王としての完全な正装ではないが、まあ王が城内を出歩くので道を歩けば臣下達が左右に移動して腰を折る。
そこは仕方がないが、俺の行く先は決まっている。フルコースがなくなり、城内の一部に食堂を開いたことで今までの厨房を『中央』と呼ぶようになった。そこに、俺は足を運んでいる。
昼間に行くのは久しぶりだ。
ワルシュがまだ料理長でなかった頃、修行時代……俺も王位継承する前はちょくちょく忍んで来ていたが。先代とは違って、ワルシュは我が国の歴史の中でも数少ない英雄級の冒険者だった。だから、魔物肉を取り入れて……俺達に美味である事を教えてくれた。
そんなあいつに、養女とは言え娘として受け入れた女が出来るとは。実際、親子にはあまり見えないが良い関係だと思っている。
その娘の晴れ舞台とするために、俺自身が動くのだ。
「邪魔するぞ!」
俺が厨房の扉を開ければ、中にいたワルシュ以外の人間は全員最敬礼をした。イツキもだ。
「よぉ、リュカルド? なんか用か?」
公式の場でなければ、こいつはいつも俺を学園時代からの悪友として接してくる。厨房の人間のほとんどもそれを知っているのでとやかく言わない。
「ああ、イツキのことだ」
「つーと?」
「アレルギーに関する、勲章授与の式典だ。日取りが決まった」
「ほーぉ?」
ワルシュが感心したような声を上げると、イツキもだがほかの人間も声を上げた。
「日取りは四日後だ。イツキの正装などは、うちのお針子達が準備している。それについてだが」
「あ?」
この物言いでワルシュは俺が言いたいことがわかっただろう。
「…………皆、驚くだろうが。この発言の責は俺が取る。イツキは本来、女性だ。そして、現在近衛騎士団副隊長のアーネストと交際している」
「「「「「「…………えええええええええ!!?」」」」」
「へ……陛下」
まず、厨房の人間達に打ち明けたが……予想以上に驚いて……アーネストとの事も言うとうなだれる奴もいた。
(…………イツキのための式典の日取り!!)
色々悩んだりしたが、今日ようやく日取りを決める事に落ち着くことが出来た。
臣下達はまだかまだかと問い合わせがあったが、理由もきちんとあった。俺はイツキに初めて会った時に、自分の鑑定スキルですぐに女と見抜いた。
それを、普段はワルシュの意向で男装させていた。理由は、彼女が以前住んでいた場所で……胸の大きさに下手をすると強姦まがいな事態になった時もあるらしく。
厨房の人間がそんな卑怯な真似をしないとはわかっていても、からかいなどで傷付けるかもしれない。それは、俺の臣下達も同じく。
だから、最初はワルシュが知らせてきたアーネストとイツキが結ばれた時点で……公表してもいいかと思ったが俺は待ったをかけた。
式典の要因である『アレルギー』の事態で、イツキは男装をしていても男女共に惚れさせたのだ。あの慈愛に満ちた微笑みを向けられたら、大抵の人間は絆されてしまう。
なので俺は、いきなり公表することで城内を混乱に招く事態を避けるために……すぐにイツキの性別を公表することを伏せた。
(とは言っても、既に事態は起きているに等しいが……)
あれはアーネストが悪い。
事前に知っていたネルやリュシアの協力を得たとしても……イツキと出かけるのは良いが、何故行きでイツキの顔を晒してしまったんだ!?
帰りに隠したとしても遅い!!
城内の一部どころか、大半がイツキが女かもしれないとか、アーネストに恋人が出来てメイドの大半が泣き崩れた……とか。色んな意味で酷かった……。
だが、イツキの人柄のお陰か、彼女を責めるメイド達はいなかった。この国の……恩人であるから、メイド達もわかっているからか。
とにかく、そんな事はあったが……式典の日取りが決定出来た。近侍かネルとかに頼んでも良いだろうが……俺は直接彼女に言おうと決めて執務室を出た。
王としての完全な正装ではないが、まあ王が城内を出歩くので道を歩けば臣下達が左右に移動して腰を折る。
そこは仕方がないが、俺の行く先は決まっている。フルコースがなくなり、城内の一部に食堂を開いたことで今までの厨房を『中央』と呼ぶようになった。そこに、俺は足を運んでいる。
昼間に行くのは久しぶりだ。
ワルシュがまだ料理長でなかった頃、修行時代……俺も王位継承する前はちょくちょく忍んで来ていたが。先代とは違って、ワルシュは我が国の歴史の中でも数少ない英雄級の冒険者だった。だから、魔物肉を取り入れて……俺達に美味である事を教えてくれた。
そんなあいつに、養女とは言え娘として受け入れた女が出来るとは。実際、親子にはあまり見えないが良い関係だと思っている。
その娘の晴れ舞台とするために、俺自身が動くのだ。
「邪魔するぞ!」
俺が厨房の扉を開ければ、中にいたワルシュ以外の人間は全員最敬礼をした。イツキもだ。
「よぉ、リュカルド? なんか用か?」
公式の場でなければ、こいつはいつも俺を学園時代からの悪友として接してくる。厨房の人間のほとんどもそれを知っているのでとやかく言わない。
「ああ、イツキのことだ」
「つーと?」
「アレルギーに関する、勲章授与の式典だ。日取りが決まった」
「ほーぉ?」
ワルシュが感心したような声を上げると、イツキもだがほかの人間も声を上げた。
「日取りは四日後だ。イツキの正装などは、うちのお針子達が準備している。それについてだが」
「あ?」
この物言いでワルシュは俺が言いたいことがわかっただろう。
「…………皆、驚くだろうが。この発言の責は俺が取る。イツキは本来、女性だ。そして、現在近衛騎士団副隊長のアーネストと交際している」
「「「「「「…………えええええええええ!!?」」」」」
「へ……陛下」
まず、厨房の人間達に打ち明けたが……予想以上に驚いて……アーネストとの事も言うとうなだれる奴もいた。
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