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まかない婦のまかない③
第1話 別サイドでお茶会
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リュシアーノ様に連れられる形で、まだ数回しか入らせてもらっていない彼女のお部屋に入った後。
リュシアーノ様はメイドさんにお茶を用意させてから、私に席に座るように告げる。これはまだ二度目だ。
マナーだなんて、現代社会の会社員程度の作法しか知らない私だけど、リュシアーノ様は気にされていない。と言うより、この方もある意味で私と同郷の出身。
前世が日本人で、名前は『蒼葉若菜』さん。私とは全く接点のない人だが……ネルヴィスさんからの最初の告白でその記憶が戻られた。
だから、私には表向きは王女様の遊び相手。実際は同郷としての友人として接して欲しいと言われている。
そして今日は、レクサスさんがサフィアさんをお茶会に誘う時に遭遇したので帰ろうとした私をここに連れてきたのだ。
「ふふ。レクサスは結構強引そうだから、サフィアは色々大慌てのはずだわ」
外見と言うか、この世界に転生されてから今は子供なのだけど……口調とかは子供っぽくはない。元々の性格も大人びていたせいもあるからだろうが。
しかし、私も別段気にしないので出されたお茶を飲む事にした。さすがは王族のメイドさんのスキルだからか私が淹れたよりも段違いに美味しい。
「そうですね。うまくいくといいですが」
「いくわよ? サフィアはああ見えて、レクサスに首っ丈だったもの」
「首っ丈……よく覚えていますね?」
「前世での先輩OLさんが時々使っていたせいね? けど、これで近衛騎士団のトップからナンバー3まで見事にくっついたわね?」
「え?」
少し意味がわからなかったので首を傾げると、リュシアーノ様は私に向かって子供の手を開いた。
「ネルは私と。アーネストはイツキ。んで、レクサスはサフィア」
「……やっぱり、皆さん人気だったんですね?」
「アーネストは自覚なかったようだけど。公爵家の次男ってことで、狙う女達は多かったわ。あなたと出かけた直後のことで……うちのメイドの一部も泣き崩れていたわよ?」
「……なんか、すみません」
「イツキが謝る事はないわ。うじうじしすぎて、アピールしないあの子達が悪いの」
ふん、と言ってリュシアーノ様はご自分のお茶を飲まれた。その所作は子供ながらもきちんとした美しさを感じる。たしか、この年齢でもマナーレッスンは日常生活に組み込まれているらしい。
「けど、レクサスさんも人気枠だったんですね?」
「そうね? 関西弁丸出しで、だらけた男だけど……顔はいいでしょ? そこから、ネル達とはタイプが違うとかで人気になったそうよ?」
「……私はお友達ですけど」
「話しやすいんでしょ? それはいいんじゃない? あいつにも、日本のこと話したの??」
「と言うか、アーネストさんに打ち明けた時にこっそり聞かれてたので」
「ふーん?」
とりあえず、サフィアさんの事は取り越し苦労にならずに済みそうだ。
私自身については、アレルギーについての式典を開くまで性別は偽らなくちゃならないが……いつなのだろうか?
出来れば、早くしていただきたい。
アーネストさんと、もっと堂々と歩きたい。
日本にいた頃よりも、随分と欲張りになったものだ。
リュシアーノ様はメイドさんにお茶を用意させてから、私に席に座るように告げる。これはまだ二度目だ。
マナーだなんて、現代社会の会社員程度の作法しか知らない私だけど、リュシアーノ様は気にされていない。と言うより、この方もある意味で私と同郷の出身。
前世が日本人で、名前は『蒼葉若菜』さん。私とは全く接点のない人だが……ネルヴィスさんからの最初の告白でその記憶が戻られた。
だから、私には表向きは王女様の遊び相手。実際は同郷としての友人として接して欲しいと言われている。
そして今日は、レクサスさんがサフィアさんをお茶会に誘う時に遭遇したので帰ろうとした私をここに連れてきたのだ。
「ふふ。レクサスは結構強引そうだから、サフィアは色々大慌てのはずだわ」
外見と言うか、この世界に転生されてから今は子供なのだけど……口調とかは子供っぽくはない。元々の性格も大人びていたせいもあるからだろうが。
しかし、私も別段気にしないので出されたお茶を飲む事にした。さすがは王族のメイドさんのスキルだからか私が淹れたよりも段違いに美味しい。
「そうですね。うまくいくといいですが」
「いくわよ? サフィアはああ見えて、レクサスに首っ丈だったもの」
「首っ丈……よく覚えていますね?」
「前世での先輩OLさんが時々使っていたせいね? けど、これで近衛騎士団のトップからナンバー3まで見事にくっついたわね?」
「え?」
少し意味がわからなかったので首を傾げると、リュシアーノ様は私に向かって子供の手を開いた。
「ネルは私と。アーネストはイツキ。んで、レクサスはサフィア」
「……やっぱり、皆さん人気だったんですね?」
「アーネストは自覚なかったようだけど。公爵家の次男ってことで、狙う女達は多かったわ。あなたと出かけた直後のことで……うちのメイドの一部も泣き崩れていたわよ?」
「……なんか、すみません」
「イツキが謝る事はないわ。うじうじしすぎて、アピールしないあの子達が悪いの」
ふん、と言ってリュシアーノ様はご自分のお茶を飲まれた。その所作は子供ながらもきちんとした美しさを感じる。たしか、この年齢でもマナーレッスンは日常生活に組み込まれているらしい。
「けど、レクサスさんも人気枠だったんですね?」
「そうね? 関西弁丸出しで、だらけた男だけど……顔はいいでしょ? そこから、ネル達とはタイプが違うとかで人気になったそうよ?」
「……私はお友達ですけど」
「話しやすいんでしょ? それはいいんじゃない? あいつにも、日本のこと話したの??」
「と言うか、アーネストさんに打ち明けた時にこっそり聞かれてたので」
「ふーん?」
とりあえず、サフィアさんの事は取り越し苦労にならずに済みそうだ。
私自身については、アレルギーについての式典を開くまで性別は偽らなくちゃならないが……いつなのだろうか?
出来れば、早くしていただきたい。
アーネストさんと、もっと堂々と歩きたい。
日本にいた頃よりも、随分と欲張りになったものだ。
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