71 / 782
料理長のまかない②
第3話『たぬきおにぎりで茶漬け』②
しおりを挟む
もう一杯いるかとリュカルドに聞くと、いると言ったので二杯目は少し変わり種を入れることにした。
プラムのピクルス。
先代の料理長が趣味で漬け込んで放っておいたものを、これもイツキが引っ張り出して使いたいと言い出したのだ。
『酸っぱ過ぎて食えるもんじゃねーぞ??』
『梅干しはそれがいいところなんですよ! 栄養もたくさんあるんです!』
んで、最初に食わせてくれたのがオニギリ。酸味は当然あるが、白くて柔らかい粒と一緒に食うと酸味が柔らかくなった気がした。
つーか、もっと食いたい衝動に駆られた。んで、チャヅケやパスタとかにも使えると聞いて食わせてもらったが……どいつもめっちゃ上手かった。だもんで、プラムのピクルスの使い勝手を改めることにした。
イツキは『ウメボシ』と呼んでいたピクルスを手で割いてもいいが、包丁で切り込みを入れて表面を剥ぎ。タネを抜いて外側だけを使う。リュカルドもいるから二個使うことにした。タネは別で使えるとイツキが言っていたから取って置く。
表面を包丁で出来るだけペーストにしたら……さっきとほとんど同じ調理法でチャヅケを用意して、オニギリの上にペーストを少し乗せておく。
出来上がった器を持ってリュカルドのとこに戻った。
「ちぃっと味付けを変えてみた」
「? 見た目はあまり変わらないが。この赤いのがか??」
「プラムのピクルスだ。先代が放って置いたもんを、イツキが見つけて使い方を俺らに教えてくれたんだ。美味いぜ?」
「……ほう」
「そのまま食うと結構酸っぱいから混ぜて一緒に食え」
「ああ」
俺もスプーンでぐちゃぐちゃになるまで混ぜてから食うと、やっぱイツキに教わった時のように強烈な酸味がやってきたがオニギリと一緒だとあまり気にならない。
逆にピクルス特有の酸っぱさがあっても、酢を使ったわけじゃないらしいからキツい匂いはしねぇ。メンツユとも相性がいいし、むしろペーストとして合わさることで……また一級品のスープともなる。
(イツキは……東方大陸の茶で作れるとも言っていたが)
アーネストの坊には作ってやっただろうが……ピクルスの使い勝手がこんなに増えると思わなかったぜ。
「美味い!? 酸っぱいが……爽やかで、スープとも合う!?」
「うめぇだろ?」
「ピクルスを米と……しかし、このピクルスは少しだけ甘いな?」
「プラムのだからなあ?」
「果実をあえて……か。先代はどうしてそのようなものを」
「一度、イツキと会わせていいかもな?」
気が合い過ぎて、料理談義が盛り上がりそうなのは予想が出来るが。
「イツキ……か。アーネストとの事で噂が飛びかっているな。式典の時には、ふたりがもし異論がなければ婚約発表も兼ねたいが」
「坊がつめがあめぇからなあ?」
帰りはともかく、行きで盛大に自分の恋人だと堂々と門番に言うか??
あれのせいで、俺にまで問い合わせが来たんだよな!?
プラムのピクルス。
先代の料理長が趣味で漬け込んで放っておいたものを、これもイツキが引っ張り出して使いたいと言い出したのだ。
『酸っぱ過ぎて食えるもんじゃねーぞ??』
『梅干しはそれがいいところなんですよ! 栄養もたくさんあるんです!』
んで、最初に食わせてくれたのがオニギリ。酸味は当然あるが、白くて柔らかい粒と一緒に食うと酸味が柔らかくなった気がした。
つーか、もっと食いたい衝動に駆られた。んで、チャヅケやパスタとかにも使えると聞いて食わせてもらったが……どいつもめっちゃ上手かった。だもんで、プラムのピクルスの使い勝手を改めることにした。
イツキは『ウメボシ』と呼んでいたピクルスを手で割いてもいいが、包丁で切り込みを入れて表面を剥ぎ。タネを抜いて外側だけを使う。リュカルドもいるから二個使うことにした。タネは別で使えるとイツキが言っていたから取って置く。
表面を包丁で出来るだけペーストにしたら……さっきとほとんど同じ調理法でチャヅケを用意して、オニギリの上にペーストを少し乗せておく。
出来上がった器を持ってリュカルドのとこに戻った。
「ちぃっと味付けを変えてみた」
「? 見た目はあまり変わらないが。この赤いのがか??」
「プラムのピクルスだ。先代が放って置いたもんを、イツキが見つけて使い方を俺らに教えてくれたんだ。美味いぜ?」
「……ほう」
「そのまま食うと結構酸っぱいから混ぜて一緒に食え」
「ああ」
俺もスプーンでぐちゃぐちゃになるまで混ぜてから食うと、やっぱイツキに教わった時のように強烈な酸味がやってきたがオニギリと一緒だとあまり気にならない。
逆にピクルス特有の酸っぱさがあっても、酢を使ったわけじゃないらしいからキツい匂いはしねぇ。メンツユとも相性がいいし、むしろペーストとして合わさることで……また一級品のスープともなる。
(イツキは……東方大陸の茶で作れるとも言っていたが)
アーネストの坊には作ってやっただろうが……ピクルスの使い勝手がこんなに増えると思わなかったぜ。
「美味い!? 酸っぱいが……爽やかで、スープとも合う!?」
「うめぇだろ?」
「ピクルスを米と……しかし、このピクルスは少しだけ甘いな?」
「プラムのだからなあ?」
「果実をあえて……か。先代はどうしてそのようなものを」
「一度、イツキと会わせていいかもな?」
気が合い過ぎて、料理談義が盛り上がりそうなのは予想が出来るが。
「イツキ……か。アーネストとの事で噂が飛びかっているな。式典の時には、ふたりがもし異論がなければ婚約発表も兼ねたいが」
「坊がつめがあめぇからなあ?」
帰りはともかく、行きで盛大に自分の恋人だと堂々と門番に言うか??
あれのせいで、俺にまで問い合わせが来たんだよな!?
34
お気に入りに追加
5,502
あなたにおすすめの小説
嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜
𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。
だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。
「もっと早く癒せよ! このグズが!」
「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」
「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」
また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、
「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」
「チッ。あの能無しのせいで……」
頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。
もう我慢ならない!
聖女さんは、とうとう怒った。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
異世界でお取り寄せ生活
マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。
突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。
貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。
意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。
貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!?
そんな感じの話です。
のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。
※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。